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CLで得点を重ねるザルツブルク南野

チャンピオンズリーグで秘めている真価を見せる南野

試合は43分にザルツブルクが先制すると、直後にも南野が強烈な右足のシュートをゴール左隅に叩き込み、2点のリードを奪う。後半にもゴールを追加し、4-1と快勝を収めている。ドイツ『スポックス』では、南野やアーリング・ハーランド、ファン・ヒチャンなどゴールを奪った3人に最高となる「1」の採点を与えた。

中でも、南野に関しては「マジック・ミナミノ」と題し、「この日本人は攻撃面で常に見つけることができ、前半終了間際にザルツブルクの2点目を奪った。後半にも力強いコンビネーションを見せ、危険なシーンを作った」と高く評価されている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191128-00010013-goal-socc

個人的には南野の評価は元々高いのだけど、中々結果として見せる場に立てていなかったという印象がある。それが最近はチャンピオンズリーグでもスタメンで出場し強豪相手に出場機会を得て、しっかりと結果につながってきている。南野はずいぶん昔からいるイメージがあるが、まだ24歳。なぜこういう年齢とイメージの食い違いが起きるかというとやっぱり大学の4年という問題があると思う。

 ゆっくりとしかし着実に南野拓実

以前書いたこの話。今から見ると4年前の2015年。まだ南野は20歳だった。この時の南野は実際の能力や秘めているポテンシャル以上に過小評価されていた気がする。それで自分はこのまだまだ南野には可能性があるという話を書きたくなって書いたわけだけど。この段階ではあくまで期待値で確率論的な意味で書いた。理論上普通に年齢を計算していけばそうなる確率が高いという話。だけど実際に南野はその予測に近い道を歩んでいる。
同時に当時話題になっていた若手選手として武藤がいた。だから武藤の未来予想を理論上普通に年齢を計算していけばそうなる確率が高いという話も書いた。こちらも残念なことにほぼ理論上の描いた通の道に通じてしまっていた。当時の武藤の評価は南野などよりもはるかに高かったと思うが。やっぱり理論上の評価の方が現実に起きてきている。

ここで問題になるのは1つは大学の4年間。そしてアンダー代表やJリーグでの若手の起用の組み合わせの問題。

大学はセカンドチャンス

 来季からサガン鳥栖に加入し、念願のJリーガーとなる明治大MF森下龍矢(4年=磐田U-18)。27日の加入内定会見で大学4年間での成長を語り、そして“大卒”という肩書きの意味について持論を説いた

https://web.gekisaka.jp/news/detail/?291461-291461-fl

 正直にいえばサッカーの本当にトップ選手になるためには大学って遠回りで可能性をつぶしてしまう4年間だと思う。しかし、一般的なサッカー選手にとってはセカンドチャンスという意味合いもある気はする。みんながトップ選手なわけでもないし、誰もが若い頃から注目されてる選手ばかりではない。有望視されている選手ならば、いきなり海外で成功する可能性もあれば、高卒ですぐにJリーグから呼ばれて試合に出れたりする可能性は今は十分ある。だけど、そうではない選手。一応Jの下部組織には呼ばれるけどとか所属はしても試合には出れないとかそういう選手の方がむしろ一般的に言えば多い。
 特に試合に出れない選手っていうのは実戦がないからどうしても成長もしにくい。その点は大学の方が大学生同士の試合などはあるわけで、成長が遅めの大器晩成型の人や、今は同世代の人と比べても見劣りしている選手が大学生の間にフィジカルが強くなってというパターンもある。
 そのいい実例として長友は大学に所属してフィジカルを磨いて日本代表に選ばれている。大学生の時期はまだ肉体的に身体能力が向上する余地があって、その期間に今はまだ負けてるけどという人が挽回するチャンスにはなりえると思う。極論からいえば、サッカー関係ないけど、大学に行けばサッカー選手にならないという道もできるのだから。

若手の起用の問題

 世界は日本人が思っているより若い

 これも以前に書いた話だけど、世界は日本人が思っているより若い。この問題は今の代表でも全く同じことが起きている。森保ジャパンになってから起用されるようになった中島は私が個人的に見ている限りでは、ロンドンオリンピックのころからすでに今の状態に近いレベルにある選手だった。むしろ今と当時で比較してほとんど成長は感じられない。その間の時間を無駄にしてそのあと代表に呼ばれたことで今若くない年齢で若手として海外に移籍して結果を求められている。これが南野と同じようなパターンだったならば、若い時期に今中島が受けている試練を受けて、26歳ごろにはそれを乗り越えた時間が訪れていた可能性が高い。

当時はそれが大迫や柿谷が若手扱いで、武藤は新人みたいな扱いだった。ただ実際の年齢は柿谷たちは中堅の年齢だったし、武藤は新人ではなく、若手ではあるけどプロ4年目であるはずの年齢だったと言わざるを得ない。これは今の代表でも中島や権田など明らかに若い時から突出した能力を見せていたにもかかわらず成長する機会が少ないまま年齢を重ねてしまっている中堅からベテラン枠に近い選手たちにも現在進行形で起きている問題だと思う。この状態で川島を選ぶとか山口を選ぶようなベテラン重視の選択があり得るのか大いに疑問。むしろ権田がベテラン枠で選ばれる存在だと思う。結果ピークを過ぎてしまったベテランを重複して選びすぎることで最近も目覚ましい活躍を見せているU22以下の代表世代が親善試合などの絶好のテスト機会にすら選ばれなくなってしまう。すると数年後に年齢を重ねすぎた柿谷や若手ではない中島としてまた出てくることになってしまうのではないかと思う。4年だって当時書いた内容は全く予想通りの展開を見せて同じ問題を今のA代表に突き付けている。

年齢の計算はどの選手でもそんなに外れない

「年齢の計算はどの選手でもそんなに外れない」最近はこの感覚を割と強く持ってる。ここに書いたか忘れてしまったが大迫のドイツ2部への移籍の時に初めてこれを意識して計算してみた。その時は大迫は結構Jで結果を出した後の強引の移籍だったから評判は悪かったが、あの年齢で移籍すると最速でブンデス1部の中堅で年齢がピークを迎えてしまうと思った。ただし、大迫の能力自体はおそらくブンデスでも屈指のCFの一人だとは個人的に思っているが、能力に見合った地位が与えられるかは年齢的な制限が結構あると思う。

アトレティコの旭日旗

ロンドンオリンピック以後、サッカーの旗の話で何かとお隣の国から(といっても中国はあまり文句は言っておらずほとんど韓国だけからのクレーム)日本が文句を言われる状況が続いているが、少し前に合ったアトレティコの話が興味深かった。

 16日に行われたUEFAヨーロッパリーグ(EL)決勝のマルセイユ対アトレティコ・マドリーで、アトレティコの観客席で旭日旗が掲げられたことに対し、韓国側が抗議の姿勢を示しているようだ。

「決勝戦でまた旭日旗が登場し、韓国人ファンの眉をひそめさせた」と報じたのは韓国『中央日報』。FWアントワーヌ・グリエーズマンの2ゴールなどでアトレティコが3-0の快勝を飾った一戦について、「試合中、観客席で旭日旗が何度も画面に映った。準決勝第2戦でも観客席に旭日旗が登場して論議を呼んだが、決勝でも同じことが発生した」と指摘している。

 アトレティコサポーターは4日に行われた準決勝第2戦でも旭日旗を掲げており、韓国の広報専門家であるソ・ギョンドク氏は「アトレティコ・マドリーのユニホームが旭日旗と似た赤縞のデザインだとしても、サポーターが旭日旗を持って応援するのは間違いだ」と、アトレティコのクラブ関係者に抗議のメールを送っていたという。

 同氏はこの時にアトレティコサポーターによる旭日旗応援への制裁を要請しており、今回も何らかの動きに出るかもしれない。

https://web.gekisaka.jp/news/detail/?245023-245023-fl

このニュース。成るほど確かに紅白の縞なのでアトレティコは旭日旗と配色がにているけど、また韓国が大袈裟に言って騒いでるんだろうなと思った。が、調べたらちょっと違った。

アトレティコ・マドリーと日本の親和性

アトレティコ・マドリーと日本の親和性は凄く高いのではないかと。どういう経緯でアトレティコが紅白の縞々を旭日旗風にすることになったのかは知らないが、あまりにそのままの形状過ぎて驚いた。



https://twitter.com/chelsea06124300/status/1124978677110849536

アジア杯2019 どうすればよかったのか考えてみた

何が足りなかったのか

 まず感じたのは控えの選手層が薄かった。特にDMFとCFは怪我人が相次ぎ、カタール戦では遠藤が外れたことで守備的な安定性が失われていた。大迫の変わりも見当たらなかった。完全に大迫と同じプレーをする必要はなかったが代えた時に上手く行く形が必要だった。代わりの選手にも大迫と同じものを求めたが、その割には呼ばれた選手のタイプがあまりに違いすぎた。
 例えば、北川が呼ばれていたが大迫の代わりに入った彼は明らかに大迫とタイプが違い同じ動きでは機能しなかった。かといって控えの選手を活かすような組み合わせの戦術の幅もなかった。決定力を持っており逆転できるような力を発揮したのは大迫をCFとした形のみだったのだ。

メンバー選考が戦術の幅を狭めた
  • 特定のポジションの控え選手の人数
  • 物足りない戦術の組み合わせ

 DMFに関しては、遠藤が出た試合は無失点だが、遠藤が居なかった試合は全ての試合で失点した。遠藤以外の組み合わせはCBが吉田冨安、槙野三浦など色々代えていたが遠藤が出なかった3試合は全て失点した。代わりに出た塩谷はCBもプレーする選手だったがむしろ守備面よりミドルでの得点や鋭い縦パスでのアシストなど攻撃面で目立った活躍をしており、守備固めとしては遠藤より硬さを感じさせなかった。
 そして控えの選手はDMFやCFには不足していたがCBなどはむしろ必要以上にいた。吉田冨安が安定していたが、そこに三浦がいて槙野もいて、CBもできる塩谷、佐々木がいた。

戦術的な幅の狭さが交代枠をも狭めた

 CFで言うならば、武藤、北川は大迫とは違った持ち味は持っているが、北川が戦術的に上手く機能している感じはせず大迫と変えるとチームの攻撃力が落ちてしまっていた。武藤が唯一機能した得点は日本代表のものというより、室屋と武藤とういうFC東京の組み合わせの動きで、恐らくSBをあまり攻撃参加させない選択をしていた森保ジャパンとしては珍しい室屋の突破からのクロスで得点だった。
 機能する組み合わせという意味では、親善試合から見ていっても大迫、南野、堂安、中島の4人が基本的に揃っている前提の成立する幅が狭い戦術。その中で中島が欠け、大迫もコンディションが良くなかった。

 そのため交代枠も必然的に比較的機能していると思われる狭い範囲でされることになったし、戦術的な取れる選択の少なさが選手の交代も狭めていた。

交代枠の狭さが疲労を蓄積させた

 大会ではターンオーバーを一応大会中にすることが出来たが、そのサブがあまり機能しなかったことで試合結果が益々大迫への依存を生み出し、その交代枠の狭さが戦術を限定し、カタールの大迫対策を生み出し、そして選手の疲労を蓄積させた。そしてコンディションの条件が交代枠を更に狭めるというスパイラルに入っていた。

出来うることをしたのではなく、出来ることがほとんどなくなっていたといったほうがいい。

連鎖するボタンの掛け違い

 それはよく考えてみればそれは全て親善試合から続いていた。親善試合で堂安南の中島を試すことで若返った気持ちになっていたが、控えの選考を甘くしていたことでDMFが遠藤しか居なくなってしまっていたし、CFも既にW杯で実力の把握できていた大迫ばかり試していた。土壇場の場面でそれが攻撃を代えたいときの控えのカードを狭め、DMFが負傷して控えすら呼べなくなって塩谷を呼び、決勝では塩谷が出場するしか無くなっていた。塩谷は攻撃面で確実に成果を出したが、明らかに想定した戦い方とズレてしまっていた。塩谷はまるで柴崎の変わりのように攻撃の仕事をし守備はむしろ不安定になった。

 FWやDMFだけでなくCBについてもSBについても同じで、中島が居なくなったときの控えはある程度はっきりしていて年齢的にも今後の成長もほぼない原口しかなかったし。急遽呼んだ乾もあまり試す形はしていなかった。そして交代枠の2枚はいつも時間ギリギリで怪我を意識した保守的な交代。カタール戦でも追いつく為の交代はわずかに結果が出ていた武藤しか居なかった。が、結果を出した大きな要因だった室屋ははじめからスタメンに選ばれていなかった。

 メンバー選考が戦術を狭め、戦術の狭さが交代選手の運用を減らし、それが更に疲労や怪我した時の対応にまでつながって連動している。

その時点でやれることはやった症候群

 個人的な印象では、決勝の段階では取れる選択肢が少ない状況だったと思う。決勝の時点に置いては、出来うる事はしているかのような見えた。だが多分それは勘違いだ。西野ジャパンの時も感じたが、よく考えてみればやれる事を全然やってなかったなと思ったようなものを強く強く感じた。あの時は西野ジャパンは急遽監督交代していたため時間がなく試す時間はなかったし仕方がなかったかもしれない。でも今回は違った。コレはもしかして日本人監督のある種の壁なのではという疑惑が頭をもたげてきている。
 その時点。追い込まれた土壇場では確かにやれることはやっていたが、問題はソコじゃなくてその前のところにあったと思う。怪我人がで続けたDMF、CFの控え。そしてそれがまさにそのまま順当に決勝で出たのではないかと。予想通りに順当な結果に過ぎないのではないかと。

 予想される展開は、乾に限らないが、吉田、長友などベテラン陣の疲労。さらに試合から遠ざかっている柴崎や、控え選手のCFが物足りないため明らかに負担が大きくなりそうな大迫。さらに控えで居るはずの選手も長友の代わりはやはりベテランの佐々木。層の薄いDFMの控えもやはり怪我で爆弾を抱えている青山と。ターンオーバーをして戦うチームとしてみた場合はかなりの不安が残ると言わざるを得ない。サウジ、豪州、イラン、韓国とそれぞれ1試合だけ戦うのならばむしろ日本の方が勝率は高いと思うが。これをこの日程で連戦して勝つ確率は仮に1試合が8割位の確率で勝てたとしても優勝する確率は40%程度。条件が悪くなる後半は明らかに8割も日本が勝てるとは思わないので、日本が優勝する確率は2~3割程度ではないかなと予想。

http://football.ologies.net/2019/01/06/%e3%82%a2%e3%82%b8%e3%82%a2%e6%9d%af2019-%e9%96%8b%e5%b9%95%e5%89%8d%e3%81%ae%e4%ba%88%e6%83%b3/

 よく考えたら自分ははじめから予想していた。DMFの層は薄く。実際に青山は怪我で途中離脱。CFの大迫は負担が大きかったのかコンディションは最後まで不安を残した。大迫の控えのカードはじめからなかった。吉田や長友の終盤での疲労や崩れもはじめから想定内だった。優勝確率は開始前の段階でかなり低いと予想していた。でも決勝の段階では何故か勝てる気がしていた。ある種の不思議な感覚、大会前には想定していて書いた事が全て頭から消えていたし何か森保監督の打った手も対応がやや遅すぎた点以外は妥当にすら思えた。

 サッカーは見ていると段々入れ込んできて、妙な熱気みたいなもので行けると思ったり駄目だと思ったりする。けど、結果は本当はもっと早い段階で客観的に感じている違和感が単純に積み上がっていて、引いて見てた時の目線の方が正しかったりする。大会中は優勝できるような気になってみていたけど、実際は2~3割しか優勝確率はないだろうと確かに自分は冷めた目線で書いてたのだ。試合中は戦術的な問題に目を向けたりもしてたが、ただの選手選考の問題と考えると1+1が2になるような単純さ。

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日本代表GKの未来は実は明るいと思う

 森保ジャパンの初のスタメンが発表されたのでついでに。日本人選手のGK不足や日本代表で高齢化している川島を代替できるGKについては話題になる事があるが、最近見ていて思うのだけど今の若手GKはそんな心配するほど悪いのだろうか。特にサッカーファンには何故か信じてもらえないのだが、権田(オーバートレーニング症候群で一時期やや調子を落としていたが)は素晴しいGKだし、W杯前も書いたように個人的な認識では中村(脳震盪問題で怪我については不安だが)もコンディションさえ万全なら既に川島よりいいGKなのではないかと思う。

 といっても中々信じてもらえないので、丁度いい具合に少し前に見かけたOPTAの数字を

93.8 – 権田修一は8月以降、J1ではリーグベストのセーブ率93.8%を記録している。この期間での無失点試合数は最多タイであり、失点数は最少タイ(どちらも西川周作と並び)。砦。

https://twitter.com/OptaJiro/status/1029722369810608129

そう現時点でも権田は十分に素晴しいGKなんだと、言いたい。東口、西川といった日本代表でも見かけるGKはJリーグで明らかに外人GKなどを上回るスタッツを見せているし、若手でも中村、権田は上位を安定的に独占しているメンバー。

ついでにGKの打率的なセーブ率について

GKとスタッツというのはFWとスタッツと同じ位スタッツで分析しやすく数値的な解析と相性がいい。GKならばシュート数に対して何本ゴールを決められているか、枠に飛んできたボールをどのくらいの比率で防げるのかを調べれば露骨にボールを止めるという一番大事な仕事の数字が出るから。そしてこのGKのセーブ率というのは大体6割から8割位のあいだにほとんどの選手が納まる。勿論短期的にはもっと低いセーブ率のGKもいればもっと高いセーブ率のGKもいるが、シーズンを通してみると大体その程度の数値に収まる。年間で6割以下というとリーグ最下位くらいのレベル(参考)。

 そこから言える事が実は沢山ある。試合を見てて前半の段階でシュート数と失点数を見ると、その試合でそのGKがミスをしていたのかそれだけ打たれたのだからある意味し方がない失点だったのかといった簡単な基準は見ている側でも実は直ぐに理解できる。例えば枠に3本打たれたら1本入るという計算は統計的にある意味妥当だということも分かる。だから4本も5本もシュートを打たれていたら止めていても次のシュートは失点に成ってもある意味致し方ない面があるなとか、打たれすぎているから守備が上手くいっていないとか、逆に2本しか枠に飛んでないのに1失点している場合は、ちょっと失点が多いがDFの調子自体は悪いとはいえないなとか。そういう付随する部分が勝手に見えてくる。

別に川島も悪いGKではない

 非難が集まりがちなGK。日本代表でも川島は問題視されがちで実際凄くいいGKかどうかは確かに議論の余地はあるが、物凄い悪いGKでもないという事実はあえて書いておきたい。下の表はW杯のセーブ数ランキング。W杯でも川島は6位であり、別に凄い順位が低いわけではない。セーブ以外の仕事もGKにはあるので総合力では世界屈指のGKと比べると差はあるかもしれないが、極端に悪いというほどでもないという点は一般のサッカーファンが思うイメージとやや剥離があるのではないかと思う。またセーブ率の所で話したがいいGKと悪いGKの差は精々10~20%程度のセーブ率の差でしかないという事。10本もシュートを打ってはじめて1本か2本違うかどうかという事なのだから、ある程度以上のGKの差はそれだけで決定的な差になるとは言い切れない。

W杯2018のセーブ数ランキング

順位 選手名 セーブ数
1 ティボー クルトワ 26
2 ギジェルモ オチョア 23
3 カスパー シュマイケル 16
3 ジョーダン ピックフォード 16
5 イゴール アキンフェエフ 15
6 川島 永嗣 13
6 ヤン ゾマー 13
6 ダニエル スバシッチ 13
9 チョ ヒョヌ 12
10 ウーゴ ロリス 11
11 フェルナンド ムスレラ 10
11 ブラディミル ストイコビッチ 10
11 ロビン オルセン 10
14 マヌエル ノイアー 9
14 ハネス ハルドルソン 9
14 ルイ パトリシオ 9
14 ダビド オスピナ 9
14 ファルーク ベンムスタファ 9
19 アリレザ ベイランバンド 8
19 マシュー ライアン 8
19 ケイロル ナバス 8
22 ハイメ ペネド 7
22 ペドロ ガジェセ 7
24 フランシス ウゾホ 6
25 ムニル モハンド モハメディ 5
25 モハメド エルシェナウィ 5
25 ロブレ カリニッチ 5
25 エサム エルハダリ 5
25 アリソン 5
30 カディム エンディアイエ 4

まあ、悲観的に見れば、お互いのチームがシュートを枠内に10本打ったようなチームが競り合った状態ならば、間違いなくGKの能力によって勝ち負けが変わるというのは否めない。ただし最近になるまで日本代表は強豪国に対してそこまで僅差での勝負が出来ていなかった点を考えると、むしろフィールドプレイヤーの質が上がった今だからこそ、これからGKが大事になるようになってきたのではないかと思う。しかも今の若手は十分に期待できるものがある選手がいるという点が重要だと思う。

ベルギー戦最後の失点はどうするべきだったのか

ファビオ・カペッロ

「私が日本代表監督なら、本田の首根っこに掴みかかって怒っていただろう。もうすぐ94分(で延長戦間近だった)。本田がコーナーキックを蹴ると、そのままクルトワがキャッチして数秒後にはカウンターアタックに移った。彼はボールをキープしてホイッスルを待たなければならなかった。純粋に無責任だ」

https://www.footballchannel.jp/2018/07/03/post279461/

アルベルトザッケローニの寸評

「あの場面に関しては、イタリアでも多くの議論がされている。多くは、なぜ本田はあの場面で普通にコーナーキックを蹴ったのか、という批判だ。得点を狙わずにコーナーフラッグ付近で時間稼ぎをするべきだった、というわけだ。しかし私はその意見には反対だ。あの場面はあくまでゴールを狙いにいくべきだった。CKを蹴った選択は正しかったんだ。

 しかし、問題がひとつだけあった。それがCKを蹴った後のリスク管理ができていなかったこと。相手のカウンターへのマークが明らかにおろそかになっていた。日本はあの場面では前線に7人をかけていた。それ自体は問題ないし、最後の時間帯での得点は狙うべきだ。しかしボールロスト後のリスクを考えた選手配置、これができなかった。ポジショニングが悪く、マークは緩かった。そこをベルギーは完璧な形で突いてきた。しかし繰り返すが、あの場面で時間稼ぎするべきだったという意見に私は賛同しないし、選手の個人批判はすべきではない。最後まで得点を狙いに行った日本を、私は誇らしく思っている」

 そしてお願いがある、そうザッケローニは続けた。

「日本の皆さん、ぜひ日本代表チームのことを誇りに思ってください。帰ってくるチームを空港で迎え、拍手をし、温かく迎えてあげてください。私が言わなくても空港には多くの人が駆けつけることでしょう。彼らはすべてを出して戦った。それは真っ直ぐに伝わってきた。私たちが4年前に達成できなかったベスト16進出を果たし、世界に日本のサッカーを示したのです。日本サッカーは間違いなく正しい道のりを進んでいる」

https://news.yahoo.co.jp/byline/toyofukushin/

ジョルカエフ

「日本人はみな非常に遠慮深くて控えめですが、実はこのホンダはアティピック(異形)なんです。彼は他の日本人とはまったく違っていて、バカでかいエゴを持っています。しかもものすごいエゴなんです。彼は自分がなにをしたいのかがはっきり分かっていて、いつも自信満々なんですよ。なんでもやってのけるのです」
 
 実際に本田のFKはクルトワを脅かした。そして直後にCKを蹴るのだが……これが致命傷となる。あっという間にベルギーのカウンターの餌食になったからだ。そのとき、世界王者ジョルカエフが静かに口を開いた。
 
「エクセ・ド・コンフィアンス(過信)ですね。自己過信がこれを招いたのです。3点目を入れられると過信して、ゴールを狙った。その結果ベルギーに絶好のカウンターチャンスを与えてしまったのです。自己過信はいけない。過信せず、延長戦に行くべきでした」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180703-00043385-sdigestw-socc

ディートマー・ハマン

元ドイツ代表MFディートマー・ハマン氏は、このCKで勝負を懸けた日本の戦略に疑問を呈した。「これは単純に理解できません。日本はとても規律正しく、ハードワークするチーム。若い頃から何をすべきか叩き込まれている。この状況ではレフェリーにまず残りプレー時間を聞かなければいけない。20秒から30秒というところだったと思う。ショートコーナーにするか、スローインにして自陣に戻る時間を作ることもできた。この状況でペナルティーボックスに4、5人もいるのに、2対5や3対5のカウンター攻撃を受けることは受け入れることができない」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180703-00118896-soccermzw-socc

ロニー・ウィーラン

アイルランド公共放送「RTE」の解説者で、元アイルランド代表MFロニー・ウィーラン氏は、驚きの逆転劇を目の当たりにして「ケイスケ・ホンダ、なんてことをしたんだ? 君は酷い、酷いコーナーキックを入れてしまった。そして今、チームはカウンターで打撃を受けてしまった」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180703-00118896-soccermzw-socc

ロベルト・ドナドニ

試合では色々なことが起こる。選手は様々なエピソードに対応する必要があるんだ。そういう意味ではベルギーのほうが経験があった。国際経験豊かで大舞台にも強い。ああいった緊張感のあるシチュエーションにも慣れている。

2−2になった時点で均衡の取れた試合に戻ったんだ。ヨーロッパ的なロジックからすると、フラットに考えなければならない。本田(圭佑)がああいったCKを蹴ってしまったが、「2点を取れたから3点目を取れる」「3−2にして試合を終わらせたかった」という思いがあのプレーの背景にあったのではないか。結果としてベルギーがそのスキを見逃さずにカウンターでチャンスを生かすことになってしまったね。

――日本には「延長戦を戦い抜く余力がなかったのではないか」「だから得点を狙ったのではないか」という見方もあります。

ヨーロッパの選手であれば延長に持ち込むのがベターというのが全員分かっている。そして私はフィジカルや持久力の観点から見れば、日本が優位に立てたと考えている。間違いなく延長に持ち込んだほうが良かった。ベルギーも疲れていたし、日本のほうがガソリンは残っていたように見えたよ。

http://www.goal.com/jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E7%8B%AC%E5%8D%A0%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%8B%E6%B0%8F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E6%96%B0%E7%9B%A3%E7%9D%A3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%8C%91%E6%88%A6%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8C%E3%81%B0%E5%B9%B8%E3%81%9B%E5%BF%AB%E3%81%8F%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%84%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCvol3/1mkeyz5deq0yp1thza3brprhhj

個人的には長友の意見に賛成する

「僕は映像を見てないのであれなんですけど、最終的に数的不利な状況だった? 数的不利でも守れればいいんだけど、そんなに甘い世界ではなくて」
「90分の最後に相手があれだけの走力を使って前に出てきた。僕らは戻れなかった。その走力自体も違いましたね」
「後ろにいる僕らが防ぎきれたら問題ないんだけど……」
「あそこ、みんな帰らないと。死に物狂いで帰らないと、やっぱり点を取られてしまう」

https://www.football-zone.net/archives/118962

 個人的には延長に行っても体力差で負ける可能性もあったのでCKでリスクを取った事は選択できる一つではあったと思う。問題はリスクを取るのならば、その後の守備対応を考えてチームが一致していなかった点にあると思う。CKをどのようにして、その場合どういうリスクを取るからカウンターになったらどうするべきかという事をチームとして団結して動かなければいけなかった。または、リスクを取らないという選択を一致して持つかどちらかで、それを共通理解に出来るコミュニケーション能力の問題かもしれない。

同じ問題を繰り返している

2014のあの頃から日本代表は何か進歩したのだろうか。同じような問題を繰り返しているようにすら思える。進歩しているのかもしれない。恐らく進歩しているのだろう。しかし今回の進歩はあくまで選手個人の技量の総合力やブラジルの時は悲惨だったコンディション管理という極めて当たり前の所にあったのではないかと思う。逆に言うと控え選手の起用やターンオーバーの仕方やキャンプ地の選定、怪我人をどうやって減らすかなど、そういう部分でやっと同じ強豪国と土俵に上がった段階に過ぎないという感覚が凄くする。

西野監督は「何が足りなかったのか」とW杯の試合後のインタビューで答えた。しかし結果を知った後から考えると実際は足りている部分を数える方が速かったのではないか。始まる前は想像もつかなかったが終わった試合を何度見直していると、この結果は起こるべくして起きたのだと思った。
世界の強豪と同じ基準にあったのは本当に数箇所だけだったのではないか。終わってから見ればファンにとっては、控えが物足りない、ベテランが多い、若手がいない、その結果走力がたりない。そしてポーランド戦のターンオーバーで控えの選手あと一歩足りず、その後ベルギーでは最後に走れなくなった。アレがないコレがない。その夫々が繋がって自ずと連動してくる。終わってみれば当然の結果にすら思えてくる。

アメフトの危険プレーが問題視されてるけどサッカーの事件は何故直ぐ問題消えてしまうのか

アメフトの危険プレーが問題視されてるけどサッカーの事件は何故直ぐ問題消えてしまうのか。サッカーでは露骨に監督の指示で飛び出てきてファールどころか普通に殴られたりしているが謝罪会見とか執拗な取材とかあんまり記憶にない。例えば酷いプレーといえば中国と日本代表での歴史に残るラフプレーの嵐の試合もあった

もっと最近の例では浦和はACLで殴られたりしているが、謝罪とかあったのだろうか。

Jリーグでも結構えげつないプレーが普通にあるがこれがたったの4試合出場停止程度で済んだらしい。

アメフトの危険プレーが問題視されてるけどサッカーの事件は何故直ぐ問題消えてしまうのか。大学だから教育だから?みたいな話しているずれたコメンテータが一杯いたけど、スポーツの傷害事件において教育だからとかなんて理由付けが必要だとは思えない。それもアメフトは日本では事実上大学のリーグが一番活発なので教育というよりそれ自体がビジネスとしか思えないし。

ACLや東アジア杯で思った枠組みの話

本質的な問題は移動距離じゃないと思う

 ACL やW杯予選、東アジア杯など近年のサッカーの試合は国際的な試合の枠組みが増えたが、代表のW杯予選やACLを見て一番感じるのは地域が広がりすぎると移動や気候、試合日程的に非常にタフな構成になってしまう点だ。
 この話をすると何かと移動距離の問題として語られるが、本質的な問題は移動距離の問題ではない気がする。移動距離よりも、むしろ時差や気温の変化に選手の体が付いていかない事に問題があるんじゃないかと。日本国内を長時間車の中で過ごしたとしてもそれは極端な問題にはならないのだからやはりそういわざるをえないのではないだろうか。

経度で分ける方法の利点

 経度で南北で組み分けると気候の点では夏と冬が逆転し問題があるが、時差の問題はない。逆に東西で分けると時差がずれるが季節の問題は減る。しかしここで重要な事は東西で分けて季節が同じ夏や冬だったとしても、中東の冬と日本の冬で同じ気候かというと全く違うという点。あくまで多少問題が緩和する程度の事で本質的には気候の変化という問題が残ってしまう。そういう意味でも確実に解消できる時差の方が優先してアジアを東西で切り分けて時差が少ない地域間での試合にしたACLは中々いい決断をしたんじゃないかと思う。(ACLは東西で西地区と東地区に別れて、それぞれの地区で戦い勝ち残ったチームが決勝で戦う形になっている)

商業的な問題

 それ以外にも商業的な利点も見逃せない。時間が同じだとTVの放映時間や試合を見る時間も時差が少なく商業的に向いている。また時差がない方が試合日程がはるかに組みやすいので、試合数が増やしやすくそれは結果的には総観客動員数にもつながる気がする。

本田圭佑のCWC

本田圭佑の高いレベルでサッカーをしたいという気持ち

ミランからメキシコのパチューカに移籍した時はなぜメキシコなのかとは思ったが、CWCを見ればむしろサッカーを諦めない為のメキシコだったのだなと本田の意図が割りと分かった気がした。まずCLに本田は出たがっていたがミランではCLに出れない。かといってCLに出て活躍するレベルのチームとなるとEPLやリーガ、ブンデス、セリエ、リーグアンなどではどこのチームもレベルが高くミランの実績で移籍するのは明らかに難しかった。

しかし、CWCという大会に目を移せば話が少し違う。十分に強豪チームとの試合ができ日本での注目度も低くはない大会。しかも出場するには欧州以外のチームも選択肢に入る。ブラジルやアジアのようにどこが優勝するのか予測し難い地域の場合はCWCをメインに考えて移籍する選択肢は考え難く、その前のACLやリーグ戦が問題になるが、北中米ならばメキシコだけが強くCWCにいける可能性は相当に高い。そしてメキシコのチームでも強いチームしか基本的にはCWCへは行かないのでパチューカのような強豪ならCWCへ出場する可能性というは十分計算できるくらいの確率があったのではないかと。自分が移籍できるチーム内でCLやソレに匹敵するような環境を提供できてサッカーで勝負できる可能性が高いチームという意味でメキシコを選んでいたのかなとCWCを見て思った。もし移籍が単に金目的だったらMSLや中国のチームなどの方がメキシコよりも多く金を積んだのではないか。

CWC2017 は本田圭佑の最後の輝きかもしれない

パチューカの試合を見ていたらコンディションを悪くしてからあまり見られなかったほど本田が動いていた。最近なかったほどのプレーで、ここが残った力を出すステージだと思っていたのではないかと思った。このレベルでもし本田が継続的にプレーできるのだとしたら代表でもクラブチームでもまだ現役の活躍が期待できそうだが、無理をしてプレーしていたならば本田圭佑が輝いた最後の大舞台になる可能性があるように感じた。

CWC 2017 URAWA REDS

日本代表の試合結果場会書いていたが、今年のCWCは日本のJのチームや日本人選手もかなり健闘していたので試合見た印象を残しておく事に。

浦和レッズのCWC

  1. アルジャジーラvs浦和:正直1試合目の地元枠で出たチームとの試合は見るべき点がすくなかった。というかJリーグの方がマシだった
  2. カサブランカvs浦和:5位決定戦ではあったが十分に魅力的なサッカーを展開し2-3で勝利を収めた


http://www.fifa.com/clubworldcup/matches/round=279809/match=300398165/index.html

1試合目は勝てば浦和はレアル戦となる大事な一戦だったにもかかわらずなぜか微妙な試合をして実力を出し切ったと言いがたい内容で敗戦。2試合目のカサブランカ戦は浦和の戦術的な魅力が満載されていた。

カサブランカ戦は興味深い試合でもあった。正直言って個人的な評価としては浦和はACL王者ではあるもののそれほど強い王者ではないという印象を持っていたし、サッカーもコネるばかりであまり魅力的とはいえないサッカーをしていると感じていたが、カサブランカ戦は少し違った。

個人的に興味を引いた点を上げていくと、例えばロングボールの使い方。浦和はポゼッションが比較的高いチームで、日本代表風に言うと昔のザックジャパンのようなサッカーをすることが多かったのだが、カサブランカ戦ではロングボールを多用していた。しかもサイドチェンジでのロングボールや斜めに対角線で逆サイドに回すロングボールが目立った。しかもパスを出す所がMFだけではなくDFからもかなりの精度のロングパスをして見せた(マウリシオは素晴しい能力を見せたと思う)。また相手が引いてもショートパスで崩す傾向にあったように思う浦和だが、この試合ではミドルシュートで得点もしており引いた相手へも定石的なミドルで対応していたのだ。この引いた相手にミドルを打つという戦術は極めて定番の戦術であるにもかかわらず何故かJリーグや日本代表ではあまり見られない。特に日本ではパスサッカーといわれるサッカーが志向されるようになって以来、長い間ミドルシュートどころかクロスボールやロングボールすら回数がへり極端にショートパスでつなぐサッカーに偏重していたように思う。そこに違ったサッカーを見せたのは興味深かったしショートパスのサッカーとは違う別のベクトルの美しいサッカーでもあった気がする

リーグの強さは多様性が必要

この浦和が見せたサイドチェンジを多用するロングパスというのは、今の日本代表が縦に早くという意味で使われるロングパスとも少し違うという点でより素晴しいと思えた。なぜかというと日本のチームの場合、日本代表がショートパスによる崩しを重視したら何故かJリーグのチームすべてがそういうパスサッカーを目指し、その前のSBが上がるサッカーといえば何故か全てのチームのSBがオーバーラップを繰り返し、ラインを上げて前で取るサッカーといえば全てのチームがそれをやって個性もクソもなかった。

でも実際のサッカーの強豪リーグでは、例えばリーガではバルセロナ全盛の時期にもバルセロナのようなチキタカ主体サッカーだけではなかった。カウンターが美しい当時のレアルのようなサッカーもあれば、アトレティコのような堅守のサッカーもあった。欧州全体でみてもバルサが強い時期ですら、EPLはサイドの突破とクロスを重視していたし、アーセナルは相変わらず優雅なサイドチェンジを多用するチキタカとはいえないパスサッカーをしていた。ブンデスではバイエルンがDFラインにGKが入り込むような戦術を取ったり、ドルトムントは極端なプレスを見せていた。そしてそれぞれが十分に違った志向性をもっていてもなお強かった。

CWC2017とACL2017を通じて浦和のサッカーは一つの代表とは違う個性を見せた。浦和が見せたサッカーは強さはまだ十分ではなかったかもしれないが、代表のサッカーに引きずられるJリーグからすれば十分に個性的ですらあった。これは素晴しいことだなと思った。

財前宜之の教訓

何を努力しなければいけないのか

 中田英寿と財前宜之が対談するという動画を見たのだけど、この動画はしびれた。サッカーに限らず何か上手くなるには努力する必要があるわけだが、何を努力すればいいのかというのは実は分かりにくい。我武者羅に努力すれば言いだけだったら案外追い込まれさえすれば人間は誰でも必要に迫られて努力するが、その結果無理をして怪我をしたりする。一般的にいって無理をすれば短期的には成果は出るが長い目で見た場合は、パフォーマンスは落ちてしまっている。だから問題は何か無理をする事が努力をするということではなく、何をどう努力するかというところにある。

補欠だった中田英寿が何故成功したのか

中田英寿
  「僕は自分のことを一度も上手いと思った事はないし、いつも下手な選手だったからこそ、どうやったら生き残れるのか。どうやったらこの上手い選手に勝てるのか?っていうのをずっと考えていた」

財前宜之
  「準備。準備というか、すべてにおいて語学、体づくり、全部準備あってのイタリア出発という感じだったんで、ああいう人が成功するんだなと。準備の天才だと思います」

栄光なき天才たち~財前宜之

29分頃からの発言は実感が篭っている。

「指導者で、一人でも中田英寿みたいなやつが出てくれればいいなって。俺の今の夢はそれかな。俺の若かった頃みたいな子がいっぱいいるわけ。見てて。うわぁ、財前みたいだな。各代表に入ってて、ね。でも、プロになったら違うんだぞ。今だったら俺は言えるんだよ。自分はもう失敗したけれども、今じゃあ思い返したら、ああ、こういう風にやらなければ、絶対お前はダメになるよっていうのを子供たちに伝えられると思うし、そういう環境で、ずっとサッカー人生できたことが、自分の本当に財産というか。」

「ハインリッヒの法則」
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。