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世界は日本人が思っているより若い

日本代表では、去年は25歳の柿谷やら24歳の大迫を新人のように持ち上げてみたり。27歳になってから初めて小林悠を呼んでみたり、27歳になるまでほとんど代表では使われず無駄にしていた大田がいたり。正直若手と考えている範囲が高齢化している。世界のクラブの主力は外国人なので年齢が分かり難いが、実際に年齢を良く見ると活躍している選手が衝撃的に若い。例えば

  • ハメス・ロドリゲス 年齢:22
  • ゲッツェ 年齢:22
  • イスコ 年齢:22
  • オスカール 年齢:22
  • ドラクスラー 年齢:20
  • アザール 年齢:23
  • ポグバ 年齢:21
  • ギュンドアン 年齢:23
  • ルカク 年齢:21
  • ムサ 年齢:21
  • コケ 年齢:22
  • アラバ 年齢:22

しかも十分すぎるほどに既に実績を上げて22歳程度だ。つまり10代後半や20前後で既にチームの主力に呼ばれ、しかも実績を上げているから重要な試合に出ているわけで、これが意味するのは22歳というのはただの若手ではなく既に実績を上げて成果を出す年齢だという事。日本でいう10代後半から20くらいの大学生が若手の期間で、卒業する頃には実力者は既に実績を持っているという事になる。最近は不調だが躍進していた時期のドルトムントはチーム平均が一時は22.2歳という驚異的な若さ*1。シャルケでも23.8歳*2という恐ろしくチーム全体が若く、内田は実は十分すぎるほどのベテラン枠になっている。

つまり、日本でいったら22歳の武藤はすでに実績を持っていなければいけない。それも世界のレベルで。日本代表という視点で見るとこれは非常に厳しい現実で、如何に選抜するタイミングが遅いかという事になる。日本にも折角実績のある21歳の宇佐美や20歳前後で活躍していた南野や宮市がいたが、いい時期には全く代表に呼ばれていない。ベテランの起用は問題ではないと思うが、ベテランもいて若手も居る、またはこのチームはベテラン中心のチームだが、この若手も混ぜるといったような多様性がもう少しあった方がいい気はする。日本の場合Jリーグですらあまり若手が使われないので22歳前後になった時に実績を積むのが難しいという構造的な問題があるのではないか。そもそも、まずJリーグなんて正直な話世界のレベルから見ればベテランで安定した成績を狙わなければ行けないほどの守るものもないと思う。リーグとして、もっとアグレッシブで挑戦的な選手起用をしても、そのまま埋もれて行くよりは遥かにマシではないのか。そしてもし実力のある若手が見つかりでもすれば、それはJリーグが思っている異常に本当は凄い事なんだと思う。

CLで最適な年齢は? 近年の優勝チームは若手主体がトレンド | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!
http://www.footballchannel.jp/2014/11/28/post58241/
2/2 サッカーにおいて24歳は若いのか? [サッカー] All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/377433/2/

吉田麻也の誤解と盲点「危険な選手の隣に居て欲しいのは吉田麻也」

 吉田の守備が酷いという風潮は偏見だと個人的には思っている。そして吉田が持つ本質的な弱点は別にあるような気がする。というような事を以下データを見てて思ったので書いてみる。まず、前回の日本vsコスタリカ戦でも多くのサイトで吉田の守備の不安要素を語り、森重の安定性について主張する話が多かったが、単純なボール奪取回数とボールロストした回数を見ると吉田に対する一部の主張は偏見なのではないかという気がしている。まずは、それについてのデータが下の表だが、ボール奪取回数とボールロストした回数を出している。

選手名 ボール奪取回数 ボールロスト回数
22吉田 麻也 14 1
16山口 蛍 13 2
6森重 真人 7 1
21酒井 宏樹 6 0
4本田 圭佑 6 1
1川島 永嗣 6 2
15今野 泰幸 5 1
10香川 真司 5 2
14青山 敏弘 4 1
7遠藤 保仁 4 1
18大迫 勇也 3 2
2内田 篤人 2 1
13大久保 嘉人 1 1
5長友 佑都 0 0

http://www.football-lab.jp/japan/report/?year=2014&month=06&date=02

調べて見ると、さらに一試合前のキプロス戦も同様に吉田がボール奪取回数No1だと分かる。この二つの試合でも吉田を批判的に語る論調はあったが、この数字を見る限り吉田の守備の問題は、単純な対面能力ではない。むしろ代表チームでは最もボールを奪う、山口と共にボールを奪う能力に特化した選手だといえるだろう。

そこで、タイトルに書いたように「危険な選手の隣に居て欲しいのは吉田麻也」なのだが、これの意味する所は、危険な選手の隣に吉田がいない時があるという事。ちゃんと相手に寄せてさえ居れば吉田は現在の代表で最もボールを奪うのが上手い選手だといわざるを得ないが、その吉田も相手の近くに居ない事には守備が出来ない。あえて吉田の問題とこれからの課題を考える場合は、試合中に見える重要なタイミングでマークを外して相手をフリーにしているシーンなどこそが吉田の本質的な問題だと思う。

同様に分かる選手の守備能力の問題

ちなみに、同様の問題は香川や本田に対しても向けられており、何故か日本では「トップ下=守備ができない」というような論調が中村俊輔以来常に付きまとっているが、実はこういう数値を見ていくと完全な誤解だと分かる。コンディションが悪いとされ守備も批判されていた本田だが、このコスタリカ戦に関しては守備では機能していたといわざるを得ない。また、特に香川はこの試合に限らず安定して常にボール奪取回数が多く。香川の守備能力が代表全体を見てもむしろ高い方だと分かる。香川の場合はインターセプトが上手くパスカットのスタッツが他の情報で見ても素晴らしい数字を常に出している。プレミアリーグにおいても香川のインターセプト回数は素晴らしくマンUの攻撃陣でも1位2位を争う。この数字を見る限り香川の守備に対する批判は、日本の一部のサッカーファンの間に漂うあまりに印象的すぎた中村俊輔の亡霊といわざるを得ない。

長友の苦悩「サイドを駆け上がった末に見える景色」

シュート 成功率
1 本田 圭佑 144 9.7%
2 岡崎 慎司 122 17.2%
3 香川 真司 109 13.8%
4 前田 遼一 46 17.4%
5 長谷部 誠 44 2.3%
6 遠藤 保仁 40 7.5%
7 長友 佑都 38 0.0%

2014 3/6 のデータ http://www.football-lab.jp/japan/ranking/

これは日本代表のシュートが多い順ランキングで、長友はそこで7位につけてる。これ自体は非常に攻撃的で悪い数字ではない。ただ、決定率が0%という問題を除けばだけど。この問題は意外なほど長友のプレーにおいては苦悩を生み出しているのではないかと前々から思っている。長友は派手なドリブル突破、強靭なフィジカルを生かしたボールキープや守備、さらにスタミナを生かしたスプリント回数など素晴らしい特性のある選手だが、日本代表においては一つの問題がある。それはボールを持ち上がった後どうするかという所だ。日本代表のFWは世界の強豪と比べると基本的には決定力が低い傾向があるし、身長も低い選手が多く。ポストプレーで優位に立てない選手が多い。そんな中、サイドでボールを持ちあがった長友は中にクロスをあげても、効果的ではない場面があまりにも多い。そこで自分で切れ込んでシュートを打つパターンが出てくる。しかしシュートが入らない。クロスについては以前の長友は代表では成功率がかなり低い時期があったが、最近は長友自身のクロスの質はかなり良くなってきた。ただし代わりに中にいる選手から前田やハーフナー、豊田という長身でポストプレーも出来るような選手が今はいなくなってしまっている。今のFWは裏へ飛び出してボールを要求するタイプが多く、長友本人も裏への飛び出しがしたいタイプなので二者択一な選択になりがち、長友が裏まで抜けてしまうと相手のラインが下がってFWが裏に抜けるのは難しいし、そこで折り返してもクロスの効果が眼に見えて減っている。そこでシュートかクロスかという2択をせまられるが、中に切れ込んでのシュートが入らない・・・これは長友のプレーを見てると持ち上がった後どうするか本当に苦労してる印象がある。今回のブラジルW杯もハーフナーが選ばれず、長友の苦悩は続きそうだ。

松木安太郎の監督としての成績は意外といい

いつもネタで馬鹿にされてる松木安太郎。実は監督としての実績は結構なものだという事は意外と知られていない。Jリーグの歴代の監督でも実は日本人では勝率が2番目に高く、他に勝率上位に並ぶ監督は助っ人で来た外人監督ばかり、今やアーセナルの名将となったベンゲルに並んでそこには松木安太郎の名前が。

順位 監督名 試合数 勝率
1 鈴木 政一 73 59 6 8 80.82
2 バウミール 34 26 0 8 76.47
3 ハビエル・アスカルゴルタ 66 45 0 21 68.18
4 エメルソン レオン 82 55 1 26 67.07
5 ゼ・マリオ 32 21 1 10 65.63
6 ホルヘ・ソラリ 20 13 0 7 65
7 オタシリオ 62 40 0 22 64.52
8 アーセン・ベンゲル 73 47 0 26 64.38
9 レネ・デザイェレ 30 19 0 11 63.33
10 松木 安太郎 128 78 0 50 60.94

ちなみに、名監督と思われてる監督を並べるといっそう際立つ

西野朗 52.88 % (勝数は最多)
関塚 隆 52.68 % (1試合あたりの得点数は日本人監督では歴代2位)
レヴィー クルピ 50.56 %
長谷川健太 44 %
反町 康治 43.88 %
岡田武史 43 %
早野宏史 41 %
原博実 41 %

松木 安太郎 60.94 %

 監督時代のチームが強かったという事を含めても突出した成績といえると思う。というわけで、当サイトでは密かに松木安太郎の汚名を返上する為に勝率を書いてみた。解説してる時も2chなどで居酒屋で観戦しているおっさんと思われているが、実は大分普通に監督をしていた人だという所をあえてピックアップしたい。
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