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サッカーは走行距離が多いほど勝てるのか?

最近Jリーグでは色々なスタッツを公式サイトから見ることが出来るのだけど、その中に走行距離がある。オシム以来、走るサッカーというのが言われているが、走っているチームは本当に勝てるのだろうかという事が気になったので調べてみた。

トラッキングデータ 走行距離ランキング:Jリーグ.jp

まずはこちらが、Jのチームの走行距離。平均で出されているのもチーム傾向が分りやすくていい。そして次はチームの順位

Jリーグ 順位

なんというか、まず目に付くのが湘南、新潟、サガンで、この走行距離3トップがリーグでは最下位を争っており、走行距離では最下位近くにいる川崎が順位では1位。ひょっとしてこれはむしろ走らない方が強いのではないかという疑惑すら生まれる関係性。

勝手な感想

「走るだけじゃ勝てない」

データとしてみた時、上位と下位にはむしろ走行距離と順位は全く逆の関係性にあり、少なくともJリーグにおいては、ほぼ走行距離と勝率にあまり関係性はないようにみえる。まあ良く考えたら当たり前だよね。そういえばオシムも「走るサッカー」ではなく「考えて走るサッカー」を持論としていたわけで、考えなしに走っても意味ないのかもしれない。

ただし、データは注意深く見る必要があるとは思う。全体でみると走行距離上位の浦和と柏、ガンバなどJではここ数年勝ち続けている強豪が多いのも確か。必要以上に走るだけでは勝てないが、走らなければ勝てるわけではない。全体の走行距離が119kmの時は勝率が著しく落ちるが、116km前後ではむしろ勝率が高い。

ちなみに、ブンデスリーガでは走行距離とスプリント回数に勝るチームが勝つ確率が高いというデータがある。なぜJリーグ違うのかも気になるところ。以前から勝つためにスタッツを詳細に分析して来ていた欧州のチームと比べ、Jリーグではこの走行距離を公開しだしたのは比較的最近の話なので、単純にJではまだ分析が進んでいないのかもしれないし、そもそもスタッツ以前に戦術レベルがブンデスリーガと比べると劣る可能性も否定できない。なにしろ走っているのに勝てないということは完全に無駄に走っているという事になるわけで、これは選手の純粋な走力の問題ではなく戦術的な問題が大いにありそうだ。

好調を維持するドルトムントと欧州の異常な日程から導き出される事

去年書いたけど公開するのを忘れていたので、今更だけど2月末の日程と絡んだ話なので良いかなということで公開。

16日に行われたDFBポカール3回戦で、ボルシア・ドルトムントはアウェーでアウクスブルクと対戦し、2?0の勝利を収めた。MF香川真司は途中出場で1アシストを記録している。

10月にブンデスリーガで対戦した際はドルトムントが5?1と大勝したこのカード。前半はスコアが動かず、0?0で折り返す。

ドルトムントは前半途中にトラブルがあったベンダーが交代し、ソクラティスが入って後半開始。試合が動いたのは、58分に香川が投入された後だった。

ドルトムントは61分、中央からムヒタリャンが右前方にスルーパスを送ると、これはDFの裏を取れず。しかし、ピシュチェクが相手がクリアするコースに入ってブロックに成功し、中央にこぼれたボールをオーバメヤンが決めた。

香川のアシストは66分。ペナルティーエリア左手前から中央に横パスを出すと、前を向いて受けたムヒタリャンが持ち出して右足でシュート。追加点を奪った。

これで楽になったドルトムントは、3点目こそ決められなかったが、しっかりと勝ちきって次のラウンドに駒を進めた。

http://www.goal.com/jp/match/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF-vs-%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%B3%E3%83%88/2166649/report

アウグスブルク戦でのトラップで交わしてからの又抜き

異常な日程

良くプレミアが日程が厳しいというが、実はELやCLに出ているチームはブンデスでも他のリーグでも実は日程は厳しい。ELやCLがグループさえ突破すればいい時期から負けられない決勝に入ってくるし、カップ戦もあるので純粋に試合数が多い。ドルトムントも12月にはいってから11日、14日、17日とほぼ3日間隔で試合があり、更に19日にまた試合がある。

ドルトムント結果 - Goal.com

今後の日程も見ると酷い時期がある2月の26日、27日に至っては連日の連戦で、更に中3日あけて3月2日に試合がありその後も3月5日とどうやってこの日程をターンオーバーでやりくりするのかある意味興味深い。ただ、Jリーグや代表戦などと違い、欧州の強豪チームは一応メンバーをそろえてあるので運動量が多いポジションにはスタメンになれる程度の選手を複数いることが多い。ドルトムントも運動量の多い、MFやサイドには一つのポジションに二人くらいは選手がいる。SBにはやや不安が残るが。
ドルトムント日程 - Goal.com

スタメンの固定は不可能

この日程からいえる事は欧州の強豪チームのように試合数が多い場合は、チームのスタメンを固定すると選手が疲れてしまいコンディションの悪化やパフォーマンスの低下があり、最悪の場合は怪我をする。その為、事実上強豪チームではスタメンを完全に固定すると言うのは不可能。特に運動量が多いポジションのメンバーは必ずスタメンレベルのサブを用意しローテーションさせながら使う。日本で言えば野球の投手のような使い方が必要になっている。

香川がスタメンを落ちたとかよく分らない批判が2chでされているが、こういう試合日程を少し知っていれば意味不明な監督批判など出来るわけがなく、そもそも試合を見ている香川ファンなら見る方も試合日程を気にしているので直ぐ分る問題だと思う。恐らくこの辺を理由にトゥヘル批判をしている層は、そもそも試合を見ているファンですらないのではないかと。カップよりさらに重要な優勝争いをしているリーグ戦の試合が二日後にある状態なわけだから、香川に限らず日程がつまっていたこの数試合はメンバーがかなり入れ替わっている。

Jリーグの日程問題とベストメンバー規定

この問題についてはJリーグとの比較が面白いと思う。Jリーグでもガンバ大阪が3冠によってJのチームとしては異常に試合数が増えてしまうという問題があった。Jの場合CLやELなどの住み分けがないので、勝つチームだけが一方的に日程が厳しくなる。更にこれに絡んだ問題としてよく言われるのが「ベストメンバー規定」

ベストメンバー規定(ベストメンバーきてい)とは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)やVリーグにおいて、常時「その時点における最強のチーム」をもって試合に臨まなければならないとする規約・規定の通称である。

この規定によって実際にベストメンバーでスタメンを固定しなければいけないという解釈につながり、結果的に同じ選手ばかりを厳しい日程の中使う事になってしまい、チームが厳しい日程耐えるのが難しい状態になっている。Jリーグによく言われる日程問題は実は本質的には「選手のローテーション」の問題だともいえる。ただし、この規定自体に意味がないものだったというわけでもなく、これによって欧州などで横行している八百長問題をある程度防げているのではないかとも思える。

ベストメンバー規定の主な目的は、totoなどに絡む八百長試合・無気力試合の防止、スター選手のプレーを目的に観戦に訪れるファン・サポーター、または資金を提供してくれるスポンサーへの配慮などである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E8%A6%8F%E5%AE%9A

Jリーグは批判に晒されがちだが、こういう意味ではいい事もある。審判が厳しく取り締まり怪我が増えずに、八百長がしにくいのでスポーツとしての競技性が十分保たれている。ここに関しえてはむしろ欧州より一歩リードしている部分もあると思う。欧州では頻繁に八百長問題が起きており、サッカー賭博と絡んでいる。更にその賭博にはマフィアなどとのつながりがあるといわれて最近でもイタリアでは八百長問題(カルチョスキャンダル)によりチームが2部に降格するなどという問題が起きていた。

従って、単純にシステム的にどちらがいいとはいえないが、少なくともJリーグにおいてもACLなどの重要性が増している事、更に試合数を増やす事で集客人数を増やせる事を考えれば、試合日程での公平性を保ちつつ八百長を回避する新しいシステム的なサポートが必要なのではないかと思う。少なくとも競技性という今までのJが重視していた観点から見ても一方だけが疲れた状態で試合をするのは望ましいといえない。

似たポジションの選手と比較すると良くわかる香川の得点能力

43 :名無しに人種はない@実況OK・\(^o^)/:2015/12/17(木) 06:38:41.93 ID:NrOM7Ynh.net[1/19]
今季の香川
ブンデス16試合4G6A
EL7試合3G2A
ポカール1G1A
計8G10A

960: 名無しに人種はない@実況OK・\(^o^)/ 2015/12/17(木) 10:51:56.59 ID:Js5dLmte.net
モドリッチ 1G2A
イニエスタ 1G1A
ヤヤトゥーレ 3G6A
ビダル 3G6A
ラキティッチ 3G2A
コケ 2G4A
ガビ 1G4A
フェリペメロ 0G1A
グアリン 1G3A
ポグバ 3G6A

有名なのほぼ並べてみたが
IHで8G10Aはいないww

964: 名無しに人種はない@実況OK・\(^o^)/ 2015/12/17(木) 10:52:59.43 ID:Qyj423aB.net
>>960
リーグ違うし
香川だけ都合よくリーグカップ合算すんな

969: 名無しに人種はない@実況OK・\(^o^)/ 2015/12/17(木) 10:54:27.44 ID:Js5dLmte.net
>>964
全部合算だよ CLもカップも入れてる
それほどIHでアシストやゴールは難しい

http://ikura.2ch.sc/test/read.cgi/football/1450301255/

今季の香川
ブンデス16試合4G6A
EL7試合3G2A
ポカール1G1A
計8G10A
モドリッチ 1G2A
イニエスタ 1G1A
ヤヤトゥーレ 3G6A
ビダル 3G6A
ラキティッチ 3G2A
コケ 2G4A
ガビ 1G4A
フェリペメロ 0G1A
グアリン 1G3A
ポグバ 3G6A

オーウェン、ファーディナンド:放出した選手で作るチームの方が強い


https://twitter.com/btsportfootball/status/674355160559124480

オーウェンやファーディナンドがファン・ハールの放出した選手からチームを組んでみれば、今日のヴォルフスブルク戦に出たユナイテッドには絶対勝つだろうという話をしている。具体的に出しているメンバーは「ナニ、ラファエル、チチャ、ヴィディッチ、エバンス、香川、クレバリー、ファンペルシ」など。

特にファーディナンドのナニとチチャを2度3度と名前を出している所を見ると相当にナニを推しているようだ。出ていない名前でも元マンUだと、ファルカオ、ディマリア、ヤヌザイ、アンデルソン、ウェルベック、などなど十分すぎる活躍が出来そうなメンバーがいる。

マンU・OB痛烈批判

元マンUメンバーの異常な豪華さ

元マンU選手や、最近出てない選手、マンUや干されそうな人も含めて考えると相当強いメンバーが出来そう。サブまでそろう気がする。

ファルカオ(ウェルベック)、チチャ(ペルシ/ルーニー)、ディマリア(ヤヌザイ)、香川、キャリック、フレッチャー(クレバリー)、ラファエル(バレンシア)、ヴィディッチ、エバンス、エブラ、リンガード

ややCBとDMFの控えが足りないものの、攻撃力は十分という感じ。

UEFA Europa League Round of 32 組み合わせ結果

UEFA Europa League Round of 32 draw

日本ではあまり注目されることがないが、このELとCLの抽選日というのは欧州サッカーにとってはお祭り的なノリの日で、抽選の様子がLiveで中継されて大変な話題性がある。

UEFA Europa League - Draws – UEFA.com

シードチーム
● グループ首位突破:モルデ(グループA、ノルウェー)、リバプール(B、イングランド)、クラスノダール(C、ロシア)、ナポリ(D、イタリア)、ラピド・ウィーン(E、オーストリア)、ブラガ(F、ポルトガル)、ラツィオ(G、イタリア)、ロコモティフ・モスクワ(H、ロシア)、バーゼル(I、スイス)、トッテナム・ホットスパー(J、イングランド)、シャルケ(K、ドイツ)、アスレティック(L、スペイン)
● UCLグループステージ3位終了チーム:ポルト(ポルトガル)、オリンピアコス(ギリシャ)、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、バイヤー・レバークーゼン(ドイツ)

ノーシードチーム
● グループ2位突破:フェネルバフチェ(A、トルコ)、シオン(B、スイス)、ドルトムント(C、ドイツ)、ミッティラン(D、デンマーク)、ビジャレアル(E、スペイン)、マルセイユ(F、フランス)、サンテティエンヌ(G、フランス)、スポルティングCP(H、ポルトガル)、フィオレンティーナ(I、イタリア)、アンデルレヒト(J、ベルギー)、スパルタ・プラハ(K、チェコ)、アウクスブルク(L、ドイツ)
● UCLグループステージ3位終了チーム;セビージャ(スペイン)、バレンシア(スペイン)、ガラタサライ(トルコ)、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)

UEFA チャンピオンズリーグ 2015-2016 「ベスト16」

THE LAST 16

CV0I1R5XIAAgStj
https://twitter.com/ChampionsLeague/status/674705231809220608

グループステージを突破したチーム

  • レアル・マドリード
  • パリ・サンジェルマン
  • ヴォルフスブルク
  • PSV
  • ベンフィカ
  • アトレティコ・マドリード
  • マンチェスター・C
  • ユヴェントス
  • バルセロナ
  • ローマ
  • バイエルン
  • アーセナル
  • チェルシー
  • ディナモ・キエフ
  • ゼニト
  • ヘント

Jリーグを育成するサンフレッチェ

サンフレッチェ広島が優勝したらしい

サンフレッチェがJリーグの年間優勝していたのが中継されていた。Jリーグって何か今までだと優勝決定が近づいても何故かTVでは放映していなかった気がするけど、2シーズンになってTVで決定戦だけ放映しやすくなったのかもしれない。

サッカーJ1の年間優勝を争うチャンピオンシップ決勝の、サンフレッチェ広島とガンバ大阪の第2戦は、1対1で引き分けましたが、サンフレッチェが2試合の合計で上回り、2年ぶり3回目の優勝を果たしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151205/k10010331141000.html

サンフレッチェ広島  SANFRECCE HIROSHIMA
サンフレッチェ広島の公式ページも優勝にあわせてこんな感じに

サンフレッチェのコストパフォーマンス

なんとなく色々見ていたらサンフレッチェがいいチームにおもえてきたので、その辺について色々書いてみる事にした。まず下の評はJ1のチームの総年俸。見てもらうと分るが、サンフレッチェは優勝したがランキング低い所に注目してもらいたい。

順位 チーム名 2015年 総年俸
1 ガンバ大阪 10億3880万円
2 浦和レッズ 9億9580万円
3 横浜F・マリノス 8億5010万円
4 ヴィッセル神戸 7億6960万円
5 FC東京 7億3780万円
6 名古屋グランパス 7億970万円
7 サンフレッチェ広島 6億3620万円
8 鹿島アントラーズ 6億1820万円
9 柏レイソル 5億6200万円
10 川崎フロンターレ 5億5880万円
11 清水エスパルス 5億1180万円
12 サガン鳥栖 4億1460万円
13 ベガルタ仙台 3億8200万円
14 アルビレックス新潟 3億7180万円
15 湘南ベルマーレ 3億5500万円
16 モンテディオ山形 3億2240万円
17 松本山雅FC 3億1520万円
18 ヴァンフォーレ甲府 2億6020万円

http://www.soccer-money.net/team/in_team.php

安くても優勝するサンフレッチェが意味する所

見たら分るようにサンフレッチェはJ1でも7位と総年俸が極端に高いわけではない。しかし優勝している。そして浦和レッズは「サンフレッズ」などと2chなどではよく言われているように、サンフレッチェから沢山の選手を引き抜いてきたので、浦和には以前サンフレッチェ所属だった選手が多い。年間勝ち点1がサンフレッチェで、2位がレッズなので、これは結構なことだと思う。

これが意味している事は「サンフレッチェがいい選手を育成している」ということだと思う。浦和に引き抜かれても次々にいい選手が出てこなければサンフレッチェが優勝できないわけで、しかも年俸が低いという事は他のチームから金で引き抜いているともいえない。外人に頼っているともいえない。これはかなり重要なことだと思う。

際立つガンバの稼働率

以前のクルピが監督だった時代のセレッソが次々にいい選手を輩出したように今はサンフレッチェとガンバは見るべき点があるチームだと思う。ガンバも年棒は高いがユースなどから育った選手も多く、しかも去年3冠だったため今年の試合数が異常に多い中での成績。ACLも捨てずにすべてしっかり試合をした点は見るべき点があるだろう。特にガンバでは宇佐美、今野(今野はスタッツを良く見る私としては凄い選手だと思うのだけど中々見合った評価がされていないように思う)は足跡を残したといえるのではないだろうか。これは浦和が事実上ACLを捨てたことと対照的にガンバを褒めていいところだと思う。

サッカー協会とJリーグの際立つおかしさ

勝つほど苦しくなる日程っておかしいでしょ。勝っても負けても試合間隔が極端に厳しくならないようにする調整が必要はあると思う。最低でも欧州のように選手の入れ替えで1チームの稼働率が上がっても大丈夫なように出来る工夫は必要。あまり対策がされていない点をみると、これはリーグ運営している側のな能力不足だと言わざるをえない。

ガリーネビルが分析するバルサのDFライン

個人的にプレミアの解説で見かけるなかではガリーネビルが一番気に入っているのだけど、まあ下の動画を見てもらいたい。ガリーネビルが解説するバルセロナのDFラインについての動画だが、前線からのハイプレスという発想と、DFラインの取る位置についての動画。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm22300189

少し前にバイエルンの話では、バイエルンが守備ラインの裏をGKのノイアーが大きくカバーしているという話を書いた。ペップはバルセロナとバイエルンで同じ事をやっているように思われがちだが、基本構想は同じでも良く見ると実はかなりの違いがあるように思う。ガリーネビルが解説するバルサ時代は今からすると少し前の試合で、今のバイエルンのやり方と完全に同じというわけでもない。それに昔のバルサ時代のペップはそんなにGKが前に行っていた記憶はない。今のバイエルンではノイアーの役割がもう少し大きくGKの動きが少し違っているように思う。そういう意味では実は変化している。

ちなみに、これを見た所ではドルトムントの攻撃と比較がされていた。トゥヘルが監督となったドルトムントの攻撃ではかなり類似点があるのではないかと。そのドルトムントの攻撃はこちら

 以前からドルトムントはCBのフンメルスの高いパス能力に攻撃が依存していた部分があるので、その辺はトゥヘルになったから極端に変化したわけではない。ただし、トゥヘルはプレスやボール回しという部分で、確かにクロップに比べてよりバルセロナに近い部分がある。クロップ時代の場合、怪我の選手が多かった事も影響していると思うが、GKやCBからのロングボールで一発という攻撃も多用していた。初期のクロップはレヴァンドロフスキにボールを当ててポストプレーから素早い攻撃を主体としていた。これはレヴァに当てたボールがこぼれて敵に渡る事も想定した攻撃で、こぼれた所にゲーゲンプレスで詰め寄る前提となっていてブンデスを席巻していた。クロップ後期のドルではスピードのある選手の裏への飛び出しをDFラインからやっており、これにプレスとショートカウンターで素早く裏を突く攻撃を組み合わせている。全体に速くてリスキーな戦術だが破壊力はあるというもの。本人が自分の戦術をロックだといっていたのもプレーを見ると割りと納得できる部分がある。

 トゥヘルは、ロングボールは少なくもう少し後ろからショートパスで組み立てている。クロップ時代には相手に引かれてしまうと苦戦したが、トゥヘルの場合は戦術的に相手をひきつける事で裏のスペースを作る発想が見られる。

トゥヘルとクロップの類似点

トゥヘルがマインツでやって見せていたのはゲーゲンプレスを進化させたような守備だった。そういう意味ではトゥヘルとクロップには類似点がある。トゥヘルが元々ゲーゲンプレスをしていたクロップの後任となる脈絡も十分ある。全く新規性だけで選ばれているわけではないと思う。

親善試合 イラン vs 日本

1178 1348
イラン 1-1 日本
デジャガ(前半47分) 得点 武藤嘉紀(後半3分)
アズムン(後半36分) 警告 吉田麻也(前半32分)

採点

選手名 採点 寸評
GK 西川周作 6.5 流れの中からは無失点。PKも一度はじいて止めるなど最低限の仕事はした
DF 森重真人 6.0 不安定になったMFを後ろから支えた
DF 米倉恒貴 5.5 左サイドでは宇佐美、長谷部と連携しそれなりの崩しを見せた
DF 吉田麻也 4.5 ほとんどの場面で安定していたが、不必要なファールでPKを招くなど課題を残した
DF 酒井高徳 5.0 酒井の裏を何度が狙われたが、攻撃では見せ場も作った
MF 長谷部誠 6.5 MFのボール回しの核として機能した
MF 香川真司 5.0 前半で交代し香川の所にまでほとんどボールが運ばれる事はなかった、また消えている時間が長く戻ってボールをもらいに行くシーンも見られなかった
MF 柴崎岳 4.0 守備での問題点が露見し、さらに縦へ攻め急ぐあまり攻撃のかなりの部分をロストしていた。結果長谷部を経由しないと攻めが続かない状態に。怪我明けという情報もあったのでコンディション面に問題があったのかもしれない
FW 本田圭佑 6.5 縦へのボールで求められたポストプレーは上手く行かなかったが、高い精度のクロスでアシストした。FKは相変わらず結果が出てないので、キッカーの選択は考えるべきだと思う
FW 宇佐美貴史 5.5 過去のないほど高い守備意識をみせ守備では貢献したが、後半のスタミナに課題を残した
FW 武藤嘉紀 7.0 前線にボールが来る回数が少なく、抜け出した決定機でのドリブルミスなどもあったが、1得点と結果は残した(補足:採点は得点で+1、その1点が勝敗を決めたので更に+0.5。プレー自体は5.5。原口や宇佐美との差は点を決めたか決めていないか)
MF 清武弘嗣 5.5 つなぐプレーやセットプレーでの高い精度をみせ強みはみせたが、決定的な違いとはならなかった
FW 岡崎慎司 6.0 得点にはならなかったが何度かシュートシーンを作り攻撃陣の中では明らかな違いをみせた
FW 原口元気 5.5 守備での戻りとドリブルでの体の強さなど局面では良さも光ったが、総合的に見ると得点やチャンスには繋がらず結果が出なかった
MF 柏木陽介 5.5 柴崎と交代して攻撃面での瞬間的な切り替え速度で違いを見せた反面、出し所が少ない時の不安定さもあった
DF 丹羽大輝 6.0 危険なシーンを何度も押さえるえ、DFの控えとして十分な存在感をみせた
FW 南野拓実 A代表デビューも、出場時間が短すぎて採点不能
監督 ハリル 3.5 縦に急ぐ事でボール回しがほとんど出来なくなっており、バランスをとって縦に急がない長谷部を経由しないとほとんど攻撃がくみたてることができなかった。また同様に柴崎が機能しなかった点も相当に戦術的な問題を感じた。セットプレー対策もほとんどなく、相変わらず高さに弱いまま変化は見られなかった。また交代策では清武を入れておいて何故かFKを本田がけるなど交代策との一貫性を感じられなかった。

1日置いてハイライトを眺めなおして、ちょっと考えが変わったので一部修正した。

試合前のハリルホジッチ監督のコメント

──イラン戦に向けて。

 われわれにとって良いテストになる。FIFA(国際サッカー連盟)ランキングはわれわれよりも高い位置にあるからだ(日本が55位に対し、イランは39位)。私が日本代表監督になって最も難しい試合になる。われわれがあるレベルを超えるためには、野心を持たなければならない。親善試合であっても勝つトライをしなければならない。特にシリア戦の前半よりも、さらに良いプレーをする必要がある。(そのために)何人かの選手を替えることになる。私にとっては、何人かの選手の可能性を探るためにも、この試合を有効活用したい。その選手には、表現をしてもらう必要がある。まだ若い、経験を積んでいない選手が、どんなプレーをするのか見てみたい。少しリスクはあるが、親善試合なのでぜひそれを実行したい。選手は素晴らしい行動をしてくれているし、しっかりトレーニングしてくれている。こっちにきてきちんと休んでいるし、1日から2日、ジョギングもしている。気候にも慣れてきたので、イラン戦は良い試合になることを期待している。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201510130005-spnavi

試合後のハリルホジッチ監督のコメント

 良い親善試合だった。戦うシーンもあったが、前半はまったく満足していない。まったくゲームをコントロールできず、相手がフィジカルでわれわれを支配してきた。ビッグチャンスは作らせなかったが、PKを与えたのは集中が足りていなかった。後半はずいぶん良くなって同点に追いつき、さらに2点目、3点目を決めるチャンスもあった。ただしイランも空中戦に強いチームだったので、やはり2点目、3点目を決めるチャンスはあった。結果としては妥当なものだったと思う。

──前半は相手のフィジカルとサイド攻撃が迫力があった。後半に向けてどういう指示を出したのか?(田村修一/フリーランス)

 まず(相手の)アーリークロスでも防ぎにいくこと、無駄なファウルをしないこと。そして彼らのセンタリングのあとにかなりファウルを誘ってくるので、そこを考えながら相手にしっかり付いて守備をしようという話をした。それから21番(アシュカン・デジャガ)と10番(バヒド・アミリ)はクオリティーの高い選手で、個人的なアクションをしてくるだろうから気をつけるように伝えた。向こうは4人から5人くらいの選手が190センチ台だったので、CKとスローインが危険だった。非常に難しかったが、空中戦でもかなり勝ってくれていた。

──アフガニスタン戦を前に日本は「どのチームにも勝てる」と発言していたが、この試合にも勝ちに来たのか、それとも他のプランがあったのか?(イラン人記者)

 勝ちに来た。イランがアジアで最も強いという情報はあったが、私は野心を持って日本に来たし、勝つつもりでここに来ている。日本はまだ向上するし、私は自分のチームの短所も長所も理解している。われわれはワールドカップ(W杯)予選を戦っているが、そのために(今は)たくさんの選手をトライしたい。次のシーズンは代表的なチームを作り、そしてトレーニングを続けていく。今日は勝つ可能性も負ける可能性もあったが、この道を続けるしかない。このようなタイプの試合は、運や経験などちょっとしたことが勝敗を分ける。この試合は経験を積むという意味で、とても良いテストになった。われわれのチームが向上するためには、このような試合が必要だった。

 私はブラジルやアルゼンチン、フランスと対戦する場合でも、いつも勝利という言葉を口にする。それで負けてしまえば確かに負けだが、私のスピリッツとして負ける準備はしない。そのことについて私には少し経験があって、(アルジェリア代表を率いていた)W杯ブラジル大会の時も世界最強の優勝チーム(ドイツ)と対戦したが、勝つためのトライをしようという話をした。少し(言葉の意味を)理解できない選手もいたが、試合が終わってみると「われわれは勝てたんだ」という目をしていた。しかし、結果としてそれは遅過ぎた。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201510140001-spnavi

ブラジルやアルゼンチンを持ち出すというのは少しイランを過大評価しすぎなのではないか。確かにイランは弱いチームではないが、アジアにおいては日本も弱いチームではないのだから。

日本代表の印象

全体に攻撃の緩急が使い分けできておらず前に長いボールを入れてロストするという攻撃を繰り返してしまった。また短いパスでの崩しをするのか、一発で裏を狙うのか、その辺の意思統一に問題点を感じた。簡単なパスミスも多く連携の面でも連動性が見られなかった。得点は結局相手が浮き足立った所を付いた本田の個人技に頼っており、チームとしては物足りない。

香川、本田、岡崎の3人をそれぞれ交代した。親善試合で主軸を温存する形になり、問題点も目についたが、必ずしも悪い点ばかりではなかった。最終予選に向けて親善試合を生かして主軸となる3人がそろわない状態でのチームのレベルを確認できた。不安定だったり時間は短かったりしたが、南野、柴崎、清武などに出場機会を与え現状を確認できた事も大きい。これが公式の予選だった場合、予選敗退というリスクを伴う事を考えれば、このメンバーだとどうなるかを理解できたのは大きい。

試合の総評

攻守が入れ替わりイランはPKから1点、日本は本田のクロスから武藤が1点と、ほぼ互角の戦いとなった。後半には清武がイランの20歳の若手選手と小競り合いをするなど親善試合としては気持ちの入った試合となっていた。

その他特筆すべきコメント

いつもどおりスタッツを探そうと思ったが、試合後の選手のコメントが面白かったので、一部引用しておく

「考え方として、日本が急激にサッカーのレベルをここ20年で上げてきて、上げてくればくるほど、経済と一緒で伸びにくくなる。例えば、中国みたいなもの。ごくごく当たり前に起こり得ること。練習試合ではオランダ、ベルギーと良い勝負をできるところまできた。伸び率は下がりつつも、少しずつでもいいから、中期計画、中長期計画は日本のサッカー全体に確かに求められている。いろいろなことをマネしてレベルが高まってきたけど、日本が周りにマネされるような。それがどういうことなのかと、今までと考え方やアプローチを変えていかないといけないところまできている」

「一番いいのは、こういう環境に自分自身で身を置くことで慣れていく。スタンダードに、選手それぞれの感覚になっていくのがいい。もっと若い選手は海外に出て行くべきだと。ただ、誤解してもらって困るのは、Jリーグが力をつけているし、Jリーグがさらに力をつけていかないといけない。若い選手とJリーグが力をつけることの両方が必要。柴崎が苦しんでいたと質問がありましたけど、岳には岳にしかない特徴がある。それをもっと出す形を、このレベルで慣れていかないといけない。別に岳がパワーをつける必要はない。例えば(アンドレス・)イニエスタは球際に強くない。ただ、そうならない強さがある。このプレッシャーをいなせる形を普段の公式戦から身につければいい」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151014-00010018-soccermzw-socc

W杯予選 シリア vs 日本

シリア 0-3 日本
得点 後半10分(日本)本田
後半25分(日本)岡崎
後半43分(日本)宇佐美

採点

選手名 採点 寸評

今回は試合を見てないので採点はなし。

試合後の監督のコメント

 ロジカルな勝利だったと思う。これがわれわれの目的だった。前半は満足していないが、その後修正した。後半はゲームコントロールの面、特にゴールを決めるところでよくなった。初めてPKを取ったが、それも含めてこの勝利はわれわれに良いものをもたらした。ただチームはもっと向上すると思う。この勝利のスパイラルを続けなければならない。

──後半の修正点は?(大住良之/フリーランス)

 特にボールを使ってゲームを支配することだ。われわれは簡単なパスミスをしていたが、グラウンドが柔らかく疲労もあったと思う。背後へのプレーがなかなかできず、足元で(ボールを)もらうシーンが多かった。そのため、相手は後ろに残った状態のまま前に向かって守備ができた。後半はいくつかの良いアクションがあったが、ワンタッチを伴ったプレーをすることでかなりのチャンスが作れた。左からの素晴らしいアクションで点が取れなかったのが残念だが、そうしたプレーがわれわれのプレーのアイデンティティーとなる。繰り返しになるが、このチームはまだまだ向上の余地がある。われわれのグループで一番難しい相手に勝つという目的を果たすことができた。ただし(選手は)少しプレッシャーを感じていたのかもしれないし、テクニックも習慣化されていない印象だ。後半、より多くのものをもたらしてゴールにつながった。

──ハーフタイムの修正によって勝利できたことをどう評価するか?

 何人かの選手に修正を加えた。山口(蛍)、長谷部(誠)と(香川)真司。さらに本田と原口( 元気)。彼らが広がった状態になって、足元でもらう動きが多かった。岡崎と真司、本田、原口には、お互いもう少し近くでプレーするように要求した。個人よりも組織のアクションが増えると考えたからだ。人が動いて、もっとボールが動くことを要求した。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201510090001-spnavi

ニコ生にあったロングハイライト

ハイライトを見た感想

これを見た限りこの試合で重要だったのは、PKを取った岡崎だと思う。その後岡崎自身でもゴールを決めており、FWとしては圧倒的。現在レスターではチーム状況はいいものの岡崎個人は割りと不遇な扱いになっているが、やはり選手としては衰えてはいなかった。MoMも岡崎だと思う。勿論香川、本田も重要な働きはしていたが、相変わらず香川はシュートには消極的なようで、本田もスピード不足と、右足が使えない為シュートが打てないという感じで、二人とも気になる点も相変わらず同じような感じ。

注目した選手
 原口、清武、宇佐美は注目に値する動きをした。前半の原口が運動量があり意外と良かった。それと清武が完全に復活しており、怪我の前どころか全盛期のようなプレーを連発していた。メンタルとコンディションさえ維持できれば、これからは清武の時代も来るのではないだろうか。特にMFは長期的に見ると本田、長谷部の高齢化で必ず補強が必要なのでポジション的には空きが出る。宇佐美は相手の足が止まってきている状況での破壊力があった。ただ、宇佐美は今の所波がある選手なのであとは安定してこのパフォーマンスを続けられるかも課題。

スタッツ

Syria vs. Japan - 8 October 2015 - Soccerway
http://int.soccerway.com/matches/2015/10/08/asia/wc-qualifying-asia/syria/japan/2028677/