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アギーレとザックはどう違うのか

まずは、最近の4試合の流れを総括すると大体こうなると思う。

  • ウルグアイ戦:若手のテスト
  • ブラジル戦:勝てないブラジルは捨ててまたテスト
  • ホンジュラス戦:ベテランのテスト
  • オーストラリア戦:ベテランをベースに若手を混ぜる

ここまではテスト段階で、次のアジア杯がとりあえずの本番という感じだと思う。戦績は必ずしも良くないが、親善試合なのでそういう意味では気にする必要はないだろう。アギーレ監督は短期的な勝利にこだわるタイプかと思っていたが、四戦通して見れば割と手順を踏んだ長期的な選考をしており、ボランチの二人の代役が見劣りする点を除けば、まずますの流れ。若干若手のテスト枠から漏れている選手が多すぎる点や、若手じゃない選手を若手枠でテストしている点については憤りを感じる部分もあるが、そもそも以前の日本代表のやり方に比べれば、信じられないほど速い段階で若手のテストに踏み切っており、その点は今までの保守的な歴代の監督に比べて非常に革新的といってもいいだろう。

同じ選手選考でもポジションの違いがある

本田 香川 岡崎 今野
ザック トップ下 左SH 右SH CB
アギーレ 右SH トップ下 CF ボランチ

フォーメーションの違い

ザック:4-2-3-1 (本当は 3-4-3 がやりたかった)
アギーレ:4-3-3(オーストラリア戦では途中から 4-2-3-1 になった)

まず前提としてだが、このフォーメーションの数字というのは日本人が思っているほど決定的なものではないと思う。日本ではこの数字のならびに異常に固執しているが、実際の所同じシステムでも目指すサッカーのスタイルが違えば全く違うサッカーになる。例えば同じ 4-3-3 でも、バルセロナがやっている(4-6-0といわれる事もある)ようなチキタカもあれば、モウリーニョだって4-3-3を使うがやっているサッカーは全く別物だ。それどころか、マンU元監督モイーズがやっていた形だって4-3-3 。クロス主体でサイドからの攻撃をしても、ショートパスで崩しても、カウンターで崩しても4-3-3なのだから。もっというと昔のゾーンプレスのスタイルだってアンカーを1人おけば 4-3-3 なわけで。日本代表が長く使っている4-2-1-3だって4-3-3のすこしずれてる程度の形だが、やっぱりやってるサッカーは違う。同じペップのバルセロナとバイエルン(4-1-4-1)ではフォーメーションは違うが内容は似たものを感じる。結局フォーメーションなどよりも大きな戦術的な違いが別にあると言えると思う。

ここまで書いておいて言うのもなんだけど、アギーレも実は3-4-3に近いものを日本代表に持ち込んでいるところがある。例えば森重がボランチに入るのはスペインなどの3-4-3の場合ならばむしろ良く分かる話で、ボランチが半ばCBを兼ねた動きをする事で守備的に回った時にはDFが4枚になりような変化。3-4-3の以前のアヤックスだとライカールト、バルセロナではブスケッツがここを担っており、そういう意味では森重は、オーストラリア戦でもサイドで見せた突破のように足元の上手さがありながらフィジカルや高さを持ちCBとして普段プレーしているという十分その手のタイプに当てはまる選手だと思う。このスタイルだと遠藤長谷部のダブルボランチの後継者不足を解消はできるという利点がある。代わりが居ないならボランチを違う役目にしてしまえば確かに後継者不足を悩む必要はない。ただし、同時に決定的な守備力を持つ DF も不足している日本の場合、CBが不足してくる。吉田と森重以外で誰がCBをするのか、またSBに長友のような攻撃的過ぎる高い位置を取りたがる選手を配置できるのかなど、別の部分の問題が生じてくる。3-4-3の場合攻撃参加よりもSBもほぼCB的な動きが求められるので、身長の低い長友より酒井や大田が選ばれているのは、高さ対策という意味でもすっきりと理解できる。ボランチの後継者という課題だけに焦点を絞れば「なるほど」という形でもあったと思う。ただし、現実的には森重をあそこに置いた形にはCBの人材不足で守備力に常に課題を残すし、攻撃面でも森重が戦略的にパスを散す能力や前に鋭い縦パスを入れる能力などで、遠藤長谷部と比べるとどうしても見劣りしてしまうという点はあったと思う。するとボールが運べないので、トップ下が下がり結局森重とのダブルボランチになった後トップ下不在と言う感じに実際の試合ではなっていたと思う。その分パス交換でゆっくりトップ下の位置に入れるまでせり上がりやっと攻撃の形となるので、遅攻だとトップ下のない 4-2-3-1 のようになってしまっていたように思う。

オーストラリア戦では後半から今野を入れて香川を前に出やすい形にしたので、そういう意味では、ここに書いた話とは少し違う。

監督以前にメディカルスタッフの対応に不安の残る怪我人対策

日本代表がコンディション面で連戦により常に戦力ダウンをしてきた事を考えれば、長期的には選手のコンディションを悪化させない事が物凄く大事だろう。そういう意味では代表のメディカルスタッフの役割は監督以上に大きい。以前から代表戦後の怪我人の多さがクラブチームの感覚でみたら尋常ではない。常にかなりの数の怪我人がおりサッカー協会は親善試合の選手の管理は杜撰としか言いようがない。代表のメディカルスタッフは怪我に対して常にゴーサインを出すタイプのようなのも気になる。基本選手が出るといっても親善試合では直ぐに交代するべきだろう。特に海外組みの主力メンバーに関しては移動と試合日程が過密しており酷い状態になっている点をもう一度見てみるべきだろう。才能のある選手というのはそれ程数が居ない。使い捨てにしたら当然日本は弱くなる。そして現代表を見ても、本田、内田、長谷部、長友、香川とコンディションが慢性的に悪化している選手や回復の見込みが薄い選手が1人や2人ではない。これは致命的な問題なので、しっかり怪我人が出た時に休ませれる体制を作っておく事が戦術よりもアジア杯などでは遥かに重要になるだろう。そしてターンオーバをちゃんとする事で若手が育つ土壌も同時に用意する事が出来るのではないだろうか。

CBの森重がサイドで見せる謎の突破力

森重の謎の突破力が発揮される右サイド。前のザンビア戦の時も思ったが、森重はCBをやっているがSBをやらしても多分かなり出来るのではないだろうか。特に攻撃面では上がるタイミングやサイドでのドリブル突破、クロスなど重要な点をほぼ兼ね備えている。

ザンビア戦

オーストラリア戦

正直この試合の一番の興味深かった点は、森重の攻撃力が代表でもまぐれではなくある程度可能性があるというのが見て取れた所だった。一度ならまぐれかもしれないが、2度目である。リスクを恐れずにやろうと思ったら一定の確率で成功させる事が出来るという事だろう。後、岡崎のヒールはお洒落だった。大田は前もここで書いたように、若干攻撃では見劣りする部分はあるが守備面では問題なく、長友の控えとしては十分計算が出来る選手だと思う。実は年齢が長友と大差ないという若手ではなかったという点が惜しい点だ。武藤も相変わらずボディバランスのよさを見せていて、高さなら豊田、足元で受けてのポストプレーや反転なら武藤という感じに見えた。

ザッケローニ

以前見た特番が面白かったのでザッケローニの選手への助言をメモ

インテンシティ

1点に集中して得点。得点力不足に悩む時期に

メンタリティ

コンフェデ後のブラジル戦後、選手はブラジルを恐れるあまりメンタルで負けた、自分達のサッカーがどんなものだったか、以前の自分達のビデオを見せた

ゲームコントロール

得点した後のゲームメイク。コンフェデイタリア戦後、リードを奪っても負けたのは得点後のゲームコントロールの問題。サッカーでは常にハードワークする事は体力的に無理、パスを回して集中する時間とリードを維持する時間が必要だ

日本 vs ブラジル

日本 0 – 4 ブラジル
得点 ネイマール(前半18分)
ネイマール(後半3分)
ネイマール(後半32分)
ネイマール(後半36分)
警告

採点

サッカー日本代表
選手名 採点 寸評
GK 川島永嗣 4.0 曖昧な位置取りから裏へのボール、そして失点
DF 酒井高徳 5.5 安定して攻撃参加し守備も要所で活躍した
DF 塩谷 司 5.5 新人DFとしては可能性を感じさせる働き
DF 太田 宏介 6.0 素晴らしいクロス精度と適当な守備
MF 森重真人 4.5 肝心な所で相手のスルーパスを抑えれなかった
MF 柴崎岳 3.5 素晴らしい攻撃と酷すぎる守備。ほぼ全ての失点に絡むロスト。今後の可能性に期待
MF 田中順也 4.5 攻撃は光る所もあったが、ほぼ消えていた
MF 森岡亮太 4.0 守備での失敗とロストが目立った
MF 田口 泰士 4.0 ほぼ消えていた
FW 岡崎慎司 5.0 ミスも合ったがまずボールが岡崎まで来なかった
FW 小林 悠 3.5 年齢を考えると代表は期待できそうにない
MF 細貝萌 5 守備を期待されたが抑えきる事は出来なかった
FW 本田圭佑 5.5 安定していたがコンディションは相変わらず悪そう
FW 柿谷曜一朗 4.5 1回のチャンス以外は見せ場がなかった
FW 武藤嘉紀 5.0 守備の動きが逆サイドの本田と比べかなり見劣りした
監督 アギーレ 4.0 守備陣の建て直しには失敗しており、また交代策も特に効果を見せることはなかった。前半で分析されて後半で対応したブラジルと比べると後半でそのまま失速した日本側はハーフタイムの戦術面でも差をつけられていたように思う。

総評

守備陣とMFとの連携が取れておらず裏へのスルーパスに対応できていない。またスルーパスの出所も同様に潰す事が出来ていない。柴崎の所で取られる可能性を守備陣が想定しておらず、柴崎のロストがほぼ毎回致命的な攻撃に繋がっていた。その割には柴崎が囲まれるまでフォローもない。柴崎に限らずボールを取られた後にほぼ確実にカウンターで数的不利な状況を作っており、日本側のMFがカウンターされた時に戻れずDFだけで守備をするシーンも。基本的に以前から見られるMFのロストでカウンターされる日本の失点パターンへの対策がされていない。

以前から見られる日本代表の典型的な失点パターンは。

  1. トップ下とボランチでロスト
  2. 攻撃参加したSBの裏やDFの裏へスルー
  3. ラインの裏へ出たボールは何故か毎回GKは処理できない
  4. 最終的に1vs1の形で何故かDFが付かずにフリーに

大体この流れで、いずれもカウンターやロストしたタイミングからの守備の対策がほぼ全くなにも拘らずSBやMFが前がかりになっている状態で起きている。走って戻る事になっているのか、そもそもバランスを取って攻撃参加の人数を減らすのかどうもどういう対策になっているのかが分からない。更に高いラインを取る場合のボール回しがおかしくてラインが高いにも拘らず致命的な場面でリスキーな挑戦をしすぎている。FW がクロスに競り負けたり裏への飛び出しに失敗してロストするのとボランチやトップ下が囲まれて取られるのは話が全然違うが、そこで何故かフォローが足りずに取られるし、フォローに行ってないから取られた後もDFしかいない。その後裏へ出されると川島はほぼスルーパスを上がって止める事は出来ないしSBが上がったときなどはサイドへ出されたら川島ではなくてもGKには止めれない。そこからクロスされたらマークするしかないのだが、中のマークがずれてフリーになる。新しく監督になったアギーレはここに至って始めて現状認識するかもしれないが、サッカー協会に関しては前から何度も何度も繰り返し見てるシーンなので、問題はほとんど明らかだと思うんだけど何故か全く対策をしないのは不思議としか言いようがない。

ちなみに以前から代表戦で長友の裏を問題視するのは、このパターンが常に内田の裏ではなく長友サイドで起きており、さらに遠藤と本田のところで起きていたので本田の評価が下がりがちだという点については明記しておかなければいけない。その点、香川は左サイドばかりで起用されておりそういう問題は起きておらず、しかも守備が上手かったので代表での香川押しは戦術的に香川の本田へのフォローが素晴らしく機能しているという印象を与えた体。今回は本田が右で相手のマークはゆるくなり変わりにボールの供給源の柴崎へとプレスが集まった。しかし何故か誰もそれをフォローしないのだ。特に守備の未熟さが見えたのが武藤、田中、田口、大田で、攻撃で良い所が合った大田と武藤はまだしも田中と田口の評価はその点だけでも落第点に限りなく近いと思う。

日本の選手選考について

今回はあまりに酷い選手選考だと思ったのであえてスタッツではなく、代表選手の選出について書く。アギーレジャパンというかサッカー協会の選手選考は戦術以前にかなり不思議な点が多い。まずSBの大田だが、この試合では素晴らしい出来だったので、もう少し若い頃から経験を踏めていれば素晴らしいサブになったはず。ただし残念ながら左SBは長友ばかり使っており大田は既に年を取りすぎている。4年後には大田は31歳とW杯の可能性は相当に低い。小林悠や田中順也も同様で22歳ならば可能性を感じるが、27歳としてはもう全てが遅すぎた。今からFWとして経験を積み足りない部分を補っていくのはあまりにもつらすぎる。現時点での勝負というと、大田は長友並みに、そして小林、田中は岡崎や本田と勝負していかなければいけない年齢で、流石に見劣りしてしまうからだ。控えで考える場合も若くて今後の成長や長期的に見て可能性がある選手がいるなか、この辺を選ぶ意味がよく分からない。そしてそれなりに実力があるだけに、選ぶのがあまりに遅く選手にとっても悲惨としか言いようがない。特にMFやFWに関してはその辺は致命的な問題となる。DFやGKの場合は年齢を増して経験が能力に反映される場合も多いが若い身体能力がモノを言う場合が多い攻撃陣など後になるほど難しくなる。

同じ問題を繰り返さない為にも、現時点で18~22歳くらいの選手を積極的に代表に選びベテランと一緒に練習やプレーをさせて色々なものを吸収させ伝えていかなければいけないのではないかと思う。若い内は試合に出さなくても色々選出して経験の蓄積で後になったときに素晴らしい選手になる可能性が残るわけで、単に選手をテストして「ダメです、ハイお終い」となってしまう年齢でテストをするのはあまりに厳しい。

その点で言えば今回の塩谷や柴崎の選出は意味があり、失敗しても可能性がある分だけ遥かにマシといえるが、Jで好調でしかも実績もある宇佐美や、海外でプレーしている宮市をテストしていない理由が分からない。それ以外にもU19で大活躍している南野などは代表のタイミングが許す限り呼ぶべきメンバーに思える。逆に、香川や本田、岡崎などは既に十分に計算できる選手で実際には出場しなくてもいいし、親善試合では控えでも構わない選手たちだ。むしろそういうクラブでの活躍があり実力が分かっている選手はコンディション調整をしてW杯やアジア杯などの大事なシーンで怪我をしていないようにする必要がある。特に年齢が高い選手やスケジュールが忙しい選手はこの調整が絶対条件だ。ザックジャパンのメンバー固定で怪我人続出という日本代表史上屈指の悲劇(怪我人の数を思い出してみて欲しい)からサッカー協会はコンディション調整や若手育成ターンオーバーについて学ぶべきだと思う。それも、単にデメリットばかりではなく、若手やJの選手が活躍する事で結果的にJの人気につながり代表は新人が発掘できて一石三鳥くらいの効果は期待できるはずだ。年齢については下の以前書いた投稿も参照してみて欲しい。次のW杯に丁度良い人材は今何歳なのか直ぐ逆算できるはずだ。

2014年のW杯チームの平均年齢は? | footballologies
http://football.ologies.net/2014/06/27/2014%e5%b9%b4%e3%81%aew%e6%9d%af%e3%83%81%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%81%ae%e5%b9%b3%e5%9d%87%e5%b9%b4%e9%bd%a2%e3%81%af%ef%bc%9f/

勿論多少のベテランはいてもいいしW杯の合間にピークの年齢を迎える選手もいるだろうから、そこは常識的に判断できる所だと思う。

日本代表がクロスから点を入れれない理由

サッカー日本代表アギーレジャパン公開練習 クロスからのシュート練習


https://www.youtube.com/watch?v=s2nSm2fgfaw

練習を見るとフリーで打っても入ってない。実戦ではここに相手の DF が付くわけで、そりゃ試合で入らないはずだよね・・・。

日本 vs ベネズエラ

日本 2-2 ベネズエラ
武藤嘉紀(後半6分)
柴崎岳(後半21分)
得点 マリオ・ロンドン(後半13分)
ガブリエル・シチェロ(後半26分)
森重真人(前半29分) 警告 ルイス・マヌエル・セイハス(前半10分)

採点

GK 川島永嗣 3.5 防げるコースのロングシュートを弾いて致命的な失点
DF 水本裕貴 4.0 敵のカウンターでファールしPKを与える
DF 長友佑都 4.5 攻撃参加で上がった所を狙われ1失点目のミスにも絡む
DF 森重真人 5.0 守備に安定感をもたらした
DF 吉田麻也 5.5 決定機を防ぐ守備で貢献
DF 酒井高徳 5.0 積極的な攻撃参加で攻守に目立った
MF 細貝萌 5.0 狭い場所での細かい技術を見せた
MF 柴崎岳 6.5 攻撃の組み立ての中心となり1得点
FW 本田圭佑 5.0 精度の高いクロス、FKがあったが点には繋がらず
FW 柿谷曜一朗 4.5 良いポジショニングで決定機を得るが外す
FW 大迫勇也 5.0 日本代表では希少なボールキープやポストプレーを見せる
FW 武藤嘉紀 6.0 ウルグアイ戦に続きドリブルからのシュートを見せ1得点
FW 岡崎慎司 5.5 途中出場し良い連携で流れを変え1アシスト
アギーレ 5.5 選手交代が成功し上手く流れを変えたが、勝ちきれなかった。初戦から続き守備的な選手選考でカウンターによる速攻をするシステムだったが、バランスが取れており速攻以外の崩しも見せた。守備陣のミスには課題が残る。
試合後、アギーレ監督のコメント

「前半はベネズエラが日本を上回っていたと思います。(日本は)相手にとって危険なプレーをつくることができませんでした。後半は選手交代も上手くいって、2得点決めることができましたが、引き分けになってしまいました」

「日本の新しい血が活躍したことは嬉しいですね。われわれは、4年後に向けてプロジェクトを進めているので、満足しています」

「試合にはミスがつきものです。みなさまも見たように、ミスからの失点でした。まだ親善試合でこういうミスが起こったことは、良かったと思います」

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?146837-146837-fl

総評

ベネズエラも実は意外と日本代表は苦手としているチームで、過去の試合ではいずれも引き分けており*元々余裕で勝てる相手ではなかったとは思うが、日本の失点は単純なミスによる2失点で、ゴールは一定の崩しを見せていたので内容的には勝てた試合だった気がする。日本は試合巧者で巧みに隙を付く南米のチームは全体に苦手としており、この試合でもその傾向があったように思う。

日本代表の印象

ウルグアイ戦に続き守備陣の個人的なミスで試合が決まっている為、アギーレジャパンのシステムの効果自体が分かりにくくなっているが、武藤や柴崎など新しく選ばれた若いメンバーによるゴールで、新しい戦力の発掘には一定の成果があったと思う。

スタッツを一つ二つ

と思ったけど、いつもスタッツを見てるGoal.comにまだスタッツが出ていなかったので、とりあえず後で見つけたら何か書く予定

日本 vs ウルグアイ

日本 0-2 ウルグアイ
0 (前半) 1
0 (後半) 1
得点 エディンソン・カバーニ(前半34分)
アベル・エルナンデス(後半28分)
警告 マルティン・カセレス(後半22分)

採点

川島永嗣  4.0 DFの崩れで2失点。DFが統率しきれていない
吉田麻也  5.5 いつもどおり一定の守備力を見せた
長友佑都  5.0 運動量豊富でクロスも上げたが効果が薄かった
森重真人  5.0 守備は効いていたが攻撃への繋ぎは凡庸
酒井宏樹  4.5 失点に繋がるクリアミス。攻撃も右サイドが機能不全
坂井達弥  1.5 2失点に絡む致命的なミス。代表DFとしては不十分
細貝萌   4.5 守備では潰していたが、攻撃では違いが作れない
田中順也  5.0 足元は通用したがクロスやパスの精度が低すぎ
本田圭佑  4.5 サイドの選手としては突破力や運動量が物足りない
岡崎慎司  6.0 良い崩しを見せたがその先の仕事は出来なかった
皆川佑介  5.5 高さとポストプレーで機能。日本代表では希少価値

武藤嘉紀  5.0 目立たないシーンが続いたが慣れてからは決定機も
柿谷曜一朗 4.0 交代出場するが動量が少なく試合から消えていた
酒井高徳  - 
森岡亮太  - 

アギーレ  5  新しいシステムの緒戦としては意図は分かりやすかったが、意図を実現するメンバーの意思疎通や選抜はこれからと言う印象

試合後、アギーレ監督のコメント

ウルグアイは非常に強い相手なのでミスを犯してはいけない。今日は守備のミスが2つあり、それで試合が決まってしまった。今日がデビュー戦だった選手を含めよかったと思う。選手たちが90分間戦ったのがよかったし、武藤のシュートも惜しかった。修正点はたくさんある。例えば、守備のときの集中力だ」

http://live.sportsnavi.yahoo.co.jp/live/sports/soccer_japan/2705

総評

ホームとはいえ、強豪国を良いメンバーで招いた為劣勢は予想された試合だったが、予想以上に実力差があったと言う印象。守備に関してはもう少し粘れればウルグアイのもう少し力を入れた攻撃を経験する事が出来たと思うだけにそこは非常に残念。負荷テストのはずが部分的な問題で製品全体の強度が調べる事が出来なかったのではないだろうか。特にこういう守備的な構成で臨んだ試合の場合の0-2は割りと大敗だと言っていいと思う。0-0や0-1のような緊張した展開に持ち込めなければ守備的なチームは失点した後こちらから点が取れない分、逆転の望みが薄いチームといえると思うからだ。

日本代表の印象

アギーレジャパンの方向性は見えたものの、そのシステムを研ぎ澄ましていく作業が必要だという事も同時に分かった。守備面では坂井のミスが大き過ぎた為、この試合での問題点の洗い出しは難しい気がする。攻撃面では右サイドで本田を使う効果が薄い気がした。

スタッツを一つ二つ

上の採点でも、右サイドの攻撃の問題点と、両サイドからのクロスの精度で減点しているが、その理由はスタッツを見てもらえば割と分かりやすい。まず日本代表のクロスの数だが、圧倒的に左に偏っている。

左クロス 15
右クロス 6

http://www.goal.com/jp/match/%E6%97%A5%E6%9C%AC-vs-%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%82%A4/1837187/stats?ICID=MP_MS_4

これは単純に右サイドからの攻撃より左サイドからの攻撃の方が多かったと言う点がある。長友の突破力が攻撃ではこういう数字になって現れているが、逆にいうと左サイドもこれだけの本数を上げているにも拘らず点につながらない点で、クロスの精度は問題がある事が分かる。

次に、オフサイドの数。日本は基本的に裏への飛び出しが少なかったのではないかと思う。そしてシュート精度の差。スタッツ的に見て突出してウルグアイと差があるのはやはりこの辺りだけでそこで試合が決まっているとも言えそう。DFがある程度機能して、しかも日本が相手と同じ回数だけシュートチャンスを作っても、現状では日本は決定力の差で負けてしまう事を意味していると思う。分かりやすく言うとスタッツ的にはこの精度で戦ったらシュートを3倍打たなければいけないわけで、後半に点を取り返す動きを見せれなかったことも気になる点。

オフサイドの数
日本 0
ウルグアイ 6
7 合計シュート数 8
1 枠内シュート 3
4 ブロックされたシュート 2

http://www.goal.com/jp/match/%E6%97%A5%E6%9C%AC-vs-%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%82%A4/1837187/stats?ICID=MP_MS_4

初めての試合となるアギーレジャパンのメンバー

脳震盪で途中交代した香川真司なども、

▽GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(浦和)
林彰洋(鳥栖)

▽DF
水本裕貴(広島)
長友佑都(インテル)
森重真人(F東京)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーファー)
坂井達弥(鳥栖)
酒井高徳(シュツットガルト)
松原健(新潟)

▽MF
長谷部誠(フランクフルト)
細貝萌(ヘルタ・ベルリン)
田中順也(スポルティング・リスボン)
森岡亮太(神戸)
扇原貴宏(C大阪)
柴崎岳(鹿島)

▽FW
岡崎慎司(マインツ)
本田圭佑(ミラン)
柿谷曜一朗(バーゼル)
大迫勇也(ケルン)
皆川佑介(広島)
武藤嘉紀(F東京)

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?146005-146005-fl


https://twitter.com/CesarePolenghi/status/504878394752770048

ブラジルvsドイツ 2014W杯

ドイツのショートパスを主体としたカウンターがブラジルを切り裂く

ブラジル 1 vs 7 ドイツ
0 (前半) 5
1 (後半) 2
ブラジル ドイツ
得点 オスカル (後半45分) トーマス ミュラー (前半11分)
ミロスラフ クローゼ (前半23分)
トニ クロース (前半24分)
トニ クロース (前半26分)
サミ ケディラ (前半29分)
アンドレ シュールレ (後半24分)
アンドレ シュールレ (後半34分)
警告 ダンテ (後半23分)
ブラジル ドイツ
18 シュート 14
14 直接FK 11
0 間接FK 3
7 CK 5
0 オフサイド 3
51 ボール支配率 49

http://brazil2014.yahoo.co.jp/game/result/?gid=2014070801

2014年ブラジルW杯で、恐らくもっとも衝撃的な試合となったブラジルvsドイツ戦。実は試合前情報でもブラジル人たちはネイマールの怪我とチアゴシウバが欠場により、始まる前から苦戦するだろうと予想をしており半ば敗戦ムードすら漂っていたという部分がある。そしてその攻守の要がかけた代償は思った以上に大きかったようだ。試合の総評は、すでに語りつくされてそうだし、特にいう事がないのでこんな所で。

スタッツを一つ

この試合で気になったスタッツを一つ二つ。あちこちのニュースやブログなどで、ドイツのメンバーはバイエルンの選手が多く、パスサッカーが炸裂して買ったのでペップの影響が大きい。というような話が良く出ているが正直、スタッツは全くそうではない。下に両チームのパス回数とポゼッションを載せる

ブラジル ドイツ
381 パス成功回数 428
86% パス成功率 84%
47% ポゼッション 53%

http://www.goal.com/jp/match/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB-vs-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84/1220138/stats?ICID=MP_MS_4

パス回数はドイツが多いが、パス成功率ではドイツが負けており、ポゼッションもそれほど差がない。これはどういう事かといえば、ドイツは攻撃時に早く攻めたという事だ。ショートパスは主体としたが、バルサやペップ流にポゼッションを高める為のボールキープは選択していない。逆にこのパス回数と試合内容としてはポゼッションが低すぎるので、ドイツはボールを取ったらすぐにショートパスを主体としたカウンターで攻めあがったといえると思う。これはバルサ流の兎に角ボール保持率を高めるやり方のサッカーとはとても呼べないし、カウンターだからといっても一発のスルーパスやロングパスでCR7が裏へ出てドリブルで切り裂くレアルのような今良く見るカウンターサッカーとも別のスタイルだといっていい。持ち上がる時に細かく繋ぐショートパス主体のカウンターチームという組み合わせは、結果的に見てみると意外と新しいサッカーだといわざるを得ない。

2014年のW杯チームの平均年齢は?

Average age for all 32 World Cup squads in 2014

average-age-of-2014-wc-squads1

http://infostradalive.com/2014/06/03/analyse-this-argentina-aiming-to-become-oldest-world-champions/

アルゼンチン代表:28歳336日
ホンジュラス代表:28歳208日
ウルグアイ代表:28歳200日
ポルトガル代表:28歳193日
イラン代表:28歳179日
ギリシャ代表:28歳179日
ブラジル代表:28歳131日
スペイン代表:28歳91日

チリ代表:27歳363日
ロシア代表:27歳357日
イタリア代表:27歳329日
コロンビア代表:27歳318日
コートジボワール代表:27歳303日
アメリカ代表:27歳296日
エクアドル代表:27歳285日
コスタリカ代表:27歳221歳

メキシコ代表:27歳94日
日本代表:27歳84日
クロアチア代表:27歳66日
フランス代表:27歳32日
ボスニア・ヘルツェゴビナ代表:27歳20日
カメルーン代表:26歳226日
アルジェリア代表:26歳222日
オランダ代表:26歳170日

オーストラリア代表:26歳132日
ドイツ代表:26歳114日
韓国代表:26歳71日
スイス代表:26歳24日
ベルギー代表:26歳15日
ナイジェリア代表:25歳297日
ガーナ代表:25歳244日

次のW杯を担う選手は大体何歳か

こういう数値を見ると日本代表が年寄りすぎるのか若すぎるのかなどもわかって、次の4年後のチーム作りをする際には非常に参考になると思う。平均年齢が26歳から27歳程度になっているチームが圧倒的に多い。ベテランを入れることを考えるとベテランを抜いた平均値が若干低めにならないと、平均値はもっと高くなるので、今の日本人で23歳から21歳くらいの選手が次のW杯メンバーには多くなる可能性が高い。