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Jリーグを育成するサンフレッチェ

サンフレッチェ広島が優勝したらしい

サンフレッチェがJリーグの年間優勝していたのが中継されていた。Jリーグって何か今までだと優勝決定が近づいても何故かTVでは放映していなかった気がするけど、2シーズンになってTVで決定戦だけ放映しやすくなったのかもしれない。

サッカーJ1の年間優勝を争うチャンピオンシップ決勝の、サンフレッチェ広島とガンバ大阪の第2戦は、1対1で引き分けましたが、サンフレッチェが2試合の合計で上回り、2年ぶり3回目の優勝を果たしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151205/k10010331141000.html

サンフレッチェ広島  SANFRECCE HIROSHIMA
サンフレッチェ広島の公式ページも優勝にあわせてこんな感じに

サンフレッチェのコストパフォーマンス

なんとなく色々見ていたらサンフレッチェがいいチームにおもえてきたので、その辺について色々書いてみる事にした。まず下の評はJ1のチームの総年俸。見てもらうと分るが、サンフレッチェは優勝したがランキング低い所に注目してもらいたい。

順位 チーム名 2015年 総年俸
1 ガンバ大阪 10億3880万円
2 浦和レッズ 9億9580万円
3 横浜F・マリノス 8億5010万円
4 ヴィッセル神戸 7億6960万円
5 FC東京 7億3780万円
6 名古屋グランパス 7億970万円
7 サンフレッチェ広島 6億3620万円
8 鹿島アントラーズ 6億1820万円
9 柏レイソル 5億6200万円
10 川崎フロンターレ 5億5880万円
11 清水エスパルス 5億1180万円
12 サガン鳥栖 4億1460万円
13 ベガルタ仙台 3億8200万円
14 アルビレックス新潟 3億7180万円
15 湘南ベルマーレ 3億5500万円
16 モンテディオ山形 3億2240万円
17 松本山雅FC 3億1520万円
18 ヴァンフォーレ甲府 2億6020万円

http://www.soccer-money.net/team/in_team.php

安くても優勝するサンフレッチェが意味する所

見たら分るようにサンフレッチェはJ1でも7位と総年俸が極端に高いわけではない。しかし優勝している。そして浦和レッズは「サンフレッズ」などと2chなどではよく言われているように、サンフレッチェから沢山の選手を引き抜いてきたので、浦和には以前サンフレッチェ所属だった選手が多い。年間勝ち点1がサンフレッチェで、2位がレッズなので、これは結構なことだと思う。

これが意味している事は「サンフレッチェがいい選手を育成している」ということだと思う。浦和に引き抜かれても次々にいい選手が出てこなければサンフレッチェが優勝できないわけで、しかも年俸が低いという事は他のチームから金で引き抜いているともいえない。外人に頼っているともいえない。これはかなり重要なことだと思う。

際立つガンバの稼働率

以前のクルピが監督だった時代のセレッソが次々にいい選手を輩出したように今はサンフレッチェとガンバは見るべき点があるチームだと思う。ガンバも年棒は高いがユースなどから育った選手も多く、しかも去年3冠だったため今年の試合数が異常に多い中での成績。ACLも捨てずにすべてしっかり試合をした点は見るべき点があるだろう。特にガンバでは宇佐美、今野(今野はスタッツを良く見る私としては凄い選手だと思うのだけど中々見合った評価がされていないように思う)は足跡を残したといえるのではないだろうか。これは浦和が事実上ACLを捨てたことと対照的にガンバを褒めていいところだと思う。

サッカー協会とJリーグの際立つおかしさ

勝つほど苦しくなる日程っておかしいでしょ。勝っても負けても試合間隔が極端に厳しくならないようにする調整が必要はあると思う。最低でも欧州のように選手の入れ替えで1チームの稼働率が上がっても大丈夫なように出来る工夫は必要。あまり対策がされていない点をみると、これはリーグ運営している側のな能力不足だと言わざるをえない。

W杯予選 カンボジアvs日本

カンボジア

カンボジア 0-2 日本
得点 オウンゴール(後半6分)
本田圭佑(後半45分)
ソス・スハナ(後半34分) 警告 槙野智章(前半30分)
山口蛍(後半12分)

採点

選手 採点 寸評
GK 西川周作 6.0 ほぼプレーする機会はなかったが無失点に抑えて代表の連続無失点記録を伸ばした
DF 長友佑都 5.5 後半はスタミナの差で攻撃の見せ場を作ったが、両SBが同時にあがり、SBの裏が攻撃されるというパターンもいつもどおり。攻撃時のリスク管理には課題を残した
DF 槙野智章 5.5 ドリブルで切れ込まれる場面もあったものの、ポジション取り自体は至って手堅く、自己犠牲的な守備で重要な場面を何度も止めた。
DF 藤春廣輝 5.5 縦への速さは見せたが、長友同様守備でのポジション取りで危ない所も
DF 吉田麻也 4.5 珍プレーと好プレーの繰り返しで激しい波があった。カンボジア相手という事を考慮すると安定性に問題があった
MF 遠藤航 4.5 守備が崩れたわけではなかったが、攻撃の組み立てでは違いを作ることが出来ず見せ場はあまりなかった
MF 香川真司 5.5 技術は見せていたが、連携が何度も失敗しておりチームとの意思疎通に課題が残った
MF 山口蛍 5.0 守備では重要なシーンは押さえたが、柏木が投入されるまでは明らかに攻撃が繋がらなかった
FW 原口元気 5.5 ドリブルでの突破では明らかに違いを見せたが、ゴールには繋がらずFWとしては物足りない
FW 岡崎慎司 5.5 ゴールへの嗅覚と飛び出しは良くオウンゴールを誘ったが、自らの得点はできずPKまで失敗し結果に繋がらなかった
FW 宇佐美貴史 4.0 縦へ抜くプレーもクロスも特に見せ場はなく、運動量の少なさなど悪い点が目立った。
MF 柏木陽介 7.0 途中出場で試合の流れを変えた。セットプレーでも高い精度をみせた。
FW 本田圭佑 6.5 サイドで出場したが中に入りCFの動きをみせ、相手との身長差を生かし空中戦を制して1ゴール。サイドとしては問題もあったが本田の得点力が生きた
MF 南野拓実 出場時間が短すぎて採点不能。
監督 ハリルホジッチ 5.5 最低限の目標であった勝利とサブのメンバーを試すことが出来た。カンボジアというアジアでも強いとはいえないチーム相手を利用してスタメンの選手を大幅に交代をした所は良かったが、あまり機能せず戦術的には課題を残した。またセットプレーも相変わらずで、セットプレーからの得点も柏木のクロスの精度によるオウンゴールで狙い通りとは言いがたかった。流れからの崩しはほぼ成功しておらず、クロスやロングボールで攻撃する形が多く見られたが1得点しか入らなかった。クロスやセットプレーが決まらない明らかな理由のひとつはターゲットになる高さで勝負するFWが1人もいなかった事と無関係ではないだろう。クロスを挙げる戦術を選ぶのなら高さがありポストプレーが出来る選手を入れていないのは良くわからない。
試合後、ハリルホジッチ監督のコメント

「勝利はした。しかし、前半には全く満足していない。後半は良くなったが、2点しか取れなかった」
「試合には満足していない。何人かの選手には怒っている」

日本代表の印象

 5バックで固めた相手に攻めあぐね前半はノーゴール。後半も柏木を投入して流れが変わるまでは効果的に相手の裏を付く事ができなかった。ほぼ空中戦に勝てる事を生かし、本田投入後は低身長の相手DFにクロスを繰り返し本田が競り勝ってゴール。高さを生かした攻撃を主体とするとしては現代表にはタワータイプのFWが不足しており結果的に本田のフィジカルを生かしてCFの代用で得点を決めるという形になった。

明らかに問題があるサッカー協会のコンディション管理

 個人的な意見としてはメンバーを入れ替えて実験した事事態は良かったと思う。むしろW杯予選でも最終予選ですらないわけで全ての試合でサブや試したことがない選手を使っても3点くらいはとって勝つのが普通だと思うので。親善試合に至ってはサブどころか久保や南野といった若手やJリーグの選手で調整すればいいのではないかと思う。ザックジャパンで起きたメンバー固定によるコンディションの極端な悪化を考えれば、無茶な日程は出来る限り避けるべきだろう。

 今回も実は怪我人が出ている。無理な日程で投入されていた清武が右第5中足骨を骨折。クラブでは中心選手で降格争いの大事な時期での怪我となってしまい非常に残念。前回のシンガポール戦で活躍した金崎夢生も打撲、武藤も調子が悪い。前回のシンガポール戦の感想でも書いたが、長谷部は頭をやられ出血していたし森重も膝への危険なプレーがあり、あの試合のラフプレーは酷かったので本来はサッカー協会がシンガポールに抗議して当然のレベルだと思う。この試合も長谷部や森重を入れ替えたのはコンディション面の問題が含まれていたのではないだろうか。

試合の総評

 試合は順当に勝ったが、一言で言うとある意味異常な試合だった。W杯公式の予選にもかかわらずボールが謎のベトナム製(一応FIFA公認ではあったらしい)、ピッチは人工芝でキックするとしたからゴムチップが舞い上がり、水もまかれておらずボールがやけに止まる。そして31度という高温。一見サッカーのようではあったが、野球の試合にテニスボールを使ったような不思議さがあった。正直W杯の予選としては競技以前の条件がかなり異なっていたことは事実だろう。

スタッツを一つ二つ

Cambodia vs. Japan - 17 November 2015 - Soccerway
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ガリーネビルが分析するバルサのDFライン

個人的にプレミアの解説で見かけるなかではガリーネビルが一番気に入っているのだけど、まあ下の動画を見てもらいたい。ガリーネビルが解説するバルセロナのDFラインについての動画だが、前線からのハイプレスという発想と、DFラインの取る位置についての動画。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm22300189

少し前にバイエルンの話では、バイエルンが守備ラインの裏をGKのノイアーが大きくカバーしているという話を書いた。ペップはバルセロナとバイエルンで同じ事をやっているように思われがちだが、基本構想は同じでも良く見ると実はかなりの違いがあるように思う。ガリーネビルが解説するバルサ時代は今からすると少し前の試合で、今のバイエルンのやり方と完全に同じというわけでもない。それに昔のバルサ時代のペップはそんなにGKが前に行っていた記憶はない。今のバイエルンではノイアーの役割がもう少し大きくGKの動きが少し違っているように思う。そういう意味では実は変化している。

ちなみに、これを見た所ではドルトムントの攻撃と比較がされていた。トゥヘルが監督となったドルトムントの攻撃ではかなり類似点があるのではないかと。そのドルトムントの攻撃はこちら

 以前からドルトムントはCBのフンメルスの高いパス能力に攻撃が依存していた部分があるので、その辺はトゥヘルになったから極端に変化したわけではない。ただし、トゥヘルはプレスやボール回しという部分で、確かにクロップに比べてよりバルセロナに近い部分がある。クロップ時代の場合、怪我の選手が多かった事も影響していると思うが、GKやCBからのロングボールで一発という攻撃も多用していた。初期のクロップはレヴァンドロフスキにボールを当ててポストプレーから素早い攻撃を主体としていた。これはレヴァに当てたボールがこぼれて敵に渡る事も想定した攻撃で、こぼれた所にゲーゲンプレスで詰め寄る前提となっていてブンデスを席巻していた。クロップ後期のドルではスピードのある選手の裏への飛び出しをDFラインからやっており、これにプレスとショートカウンターで素早く裏を突く攻撃を組み合わせている。全体に速くてリスキーな戦術だが破壊力はあるというもの。本人が自分の戦術をロックだといっていたのもプレーを見ると割りと納得できる部分がある。

 トゥヘルは、ロングボールは少なくもう少し後ろからショートパスで組み立てている。クロップ時代には相手に引かれてしまうと苦戦したが、トゥヘルの場合は戦術的に相手をひきつける事で裏のスペースを作る発想が見られる。

トゥヘルとクロップの類似点

トゥヘルがマインツでやって見せていたのはゲーゲンプレスを進化させたような守備だった。そういう意味ではトゥヘルとクロップには類似点がある。トゥヘルが元々ゲーゲンプレスをしていたクロップの後任となる脈絡も十分ある。全く新規性だけで選ばれているわけではないと思う。

W杯予選 アフガニスタン vs 日本

アフガニスタン 0-6 日本
得点 香川真司(前半10分)
森重真人(前半35分)
香川真司(後半5分)
岡崎慎司(後半12分)
岡崎慎司(後半15分)
本田圭佑(後半28分)

採点

選手 採点 寸評
GK 西川周作 5.5 ほとんどシュートを打たれることもなかったが0点に抑えた。パスミス、クリアミスなどが少し目に付いた
DF 長友佑都 6.5 堅い守備を見せた。攻撃面では浮かせたボールが基点となるシーンも
DF 森重真人 6.5 ロングパスの精度に課題は残したが1ゴール。守備では完璧に押さえ込んだ
DF 酒井宏樹 5.5 右サイドからはあまり決定的な形にならなかった。
DF 吉田麻也 6.0 手堅い安定した守備を見せた
MF 本田圭佑 6.5 1ゴールはしたが、コンディション面では不安の残る動き
MF 香川真司 7.5 早い時間での得点で試合の流れをつくり、3点目で決定付けた
MF 山口蛍 6.5 カウンターになりそうなシーンを何度も潰し守備で貢献した
MF 長谷部誠 6.5 カンボジア戦よりは積極的な攻撃参加を見せたが決定機に外しゴールにはつながらなかった
FW 原口元気 6.5 持ち味の中に切れ込むドリブルで何度も突破した。突破した後のクロスは精度に欠けたが、ショートパスでは香川との上手い連携を何度かみせた。後半は何故か右SBをやる事になったがSBの動きはあまり慣れているとはいえなかった。
FW 岡崎慎司 7.0 ハイボールに合せるシーンでは苦労していたが、流れの中ではしっかりと仕事をし2得点
FW 宇佐美貴史 5.5 交代で入ったが違いを作る事は出来なかった
FW 武藤嘉紀 5.0 ドリブルでは突破できなかったが体を使ったプレーでファールなどを取っていた。ただしアフガニスタン相手という事を考えるとストロングポイントのフィジカルを使ったドリブルで突破できなかったというのは逆に課題
MF 遠藤航 5.5 遅い時間で投入された為、評価するのは難しいが、短い時間では特に違いは作れなかった
試合後、ハリルホジッチ監督のコメント

 -6-0の快勝

 ハリルホジッチ監督 この大差で勝ってすばらしいと思います。それを要求していたのでこのような日にこのような大差をつけて勝つのは難しかったので、よくやってくれた。

 -次のシリア戦に向けて

 ハリルホジッチ監督 しっかり休んで、そこからだと思う。しっかり休んだ後に次の準備をしたいと。おそらくこのグループで一番強いのはシリアだと思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150908-00000142-nksports-socc

日本代表の印象

基本的には圧倒的に攻め失点もなくシンガポール戦の二の舞は避ける事ができた。しかし、本田と岡崎は若干疲労も見えた。移動距離が長い海外組みは構造的に常にコンディション面での問題があると思う。何らかの対応はしなければいけないだろう。アフガニスタンやカンボジアのような相手には本来ターンオーバーでスタメンから温存しても良かったのではないかと思う。それにその場合、宇佐美や武藤、原口などの実力を試すにはアフガニスタンでも程よい実力になるのではないだろうか。

試合の総評

アフガニスタンは、前回のカンボジアやシンガポールに比べれば攻撃をする動きが見られたが、全体としては終始日本が攻撃し続けほとんどハーフラインを超える事なく0-6で試合を終えた。日本側の攻撃に関しては、いつもの香川、岡崎、本田の3人だった。守備は大体、森重、吉田。それ以外の交代で出た若手などには決定的な部分での仕事に少し不満が残る試合だったかもしれない。

スタッツを一つ二つ

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日本人のストロングポイントとは一体何なのか?

最近読んだ日本代表に関する分析の話の一言が、個人的に非常に刺激されるものが合ったので、それを紹介してみたい。

日本人選手の特性に関する興味深い分析

 20~30メートルの日本選手のスプリント能力は高く、「縦に速い攻撃」の効果がよく出ていた。

 相手のディフェンスライン背後のスペースが20メートル以下になる前に仕掛けること。そうすれば日本のスプリント能力を生かすことができる。これは間違いなく日本が強くなるためのテーマの1つだ。しかし、「常に」それを狙うのは正しくない。

 いくらラインの背後が空いているといっても、精度の低いパスではチャンスにはならない。また、日本選手が速いのは20~30メートルだけで、それ以上走ってもさほど速くないし、プレーの精度も落ちる(もちろん個人差はあるが)。むやみに縦に急ぐだけでは当然上手くいかない。

 得点シーンは後方のポゼッションから生まれていて、カウンターアタックではない。スピードを生かす攻め方=カウンターとは限らないわけだ。縦に速いが雑な攻撃を繰り返した今大会の最後に良い形で得点できた。

http://www.footballchannel.jp/2015/08/10/post101153/

当初の狙いだったであろうカウンターは3試合ともあまり上手くいっていない。前線のターゲットにボールが収まらなかった。収められる人材がいないなら、ロンドン五輪のように永井の走力を生かしたほうが良かったかもしれない。

 ポゼッションして「間」をとり、奪われたら前線からプレス。それで中国に対して優勢だったことはとくに収穫とはいえない。低い位置に引き込んでカウンターという実験は失敗に終わっていて、このままではザッケローニ前監督時代の3-4-3と同様にフェードアウトの危険すらありそうである。

http://www.footballchannel.jp/2015/08/10/post101153/2/

「20~30メートルの日本選手のスプリント能力は高い」という一言から広がる戦術

 この記事には個人的には、物凄くワクワクする部分があった。

「20~30メートルの日本選手のスプリント能力は高い」

 その距離での速度の優位性が決定的ならば、それから必然的に決まる詳細な戦術だってあるのではないかと。そして、この記事を読んだらサッカーファンなら、思わず頭をよぎる戦術があるのではないだろうか。すっかり日本でもおなじみとなったドルトムントの戦術だ。思わず少し考えずにはいられなかった。

theThinker

ポゼッションの高さとDFラインの高さの関係性

 日本で注目されている戦術といえば、今もまだ少し前のバルサのようなポゼッションを重視する戦術だろう。ボールをつないでポゼッションを高め、パスワークによって相手を崩す。日本ではパスサッカーといわれるものだ。ドルトムントの戦術はそこから見ると少し分りにくい。まずポゼッションが高い方が負けやすいという不思議な傾向がある。少し混乱する事実だが、一般的に思われているのと少し違ってポゼッションが高ければ勝つというチームとポゼッションが高くても勝てないチームがある。つまり、ポゼッションは勝敗との決定的な相関関係があるわけではなく、チームが選択する戦術によって有利なポゼッションの数値が変化している。

 ドルトムントの場合は、ポゼッションが高くなっても相手に引かれると苦戦する。DF ラインの後ろにスペースがないと得意の攻撃パターンが作りにくいからだ。だから裏のスペースを意図的に発生させる戦術を取っている。あえて相手にボールを持たせ、DF ラインが崩れながら上がった所を狙いプレスを仕掛けショートカウンターを仕掛ける。このショートカウンターの威力でドルトムントが一気に注目されるチームになったといっても過言ではない。
 そのボールを奪う工夫の一つにゲーゲンプレスがある。相手にボールを持たせても奪えないのでは一方的に攻められるだけになってしまうので、そこに工夫をしていて、奪った時のポジティブトランジションの意識が異常に高い。極めて攻撃的な、攻撃をする為の守備になっている。川崎vsドルトムントの親善試合が少し前に日本で行われて 6-0 という結果だったが、これは川崎のポゼッションサッカーとドルトムントがボールを保持させてからの攻撃を得意とする戦術的な相性とも無関係ではないだろう。

 そしてもう一つ。日本代表と比較して「縦に速い」という言葉の意味が少し違う所がある。ドルトムントの場合、相手の裏のスペースを使う為に、結果的に攻撃が早くなる。ゆっくりとした攻撃では相手の DF が引いてしまうので、守備の隙間、スペースをどうやって作るかという空間をコントロールする為の早さといっていい。縦に速かったから結果的にスペースがあったのではなく、むしろ先にスペースがあり、そこを狙うために縦に速い。その辺も戦術の発想が違うと思う。だからスペースがなければ速い攻撃をするわけでもない。「速い攻撃」という発想が先に来てしまうと、いつでも速くなるが、相手がこちらの得意パターンにハマっている時だけ縦に速いわけだから、攻撃をいつ遅くしようとかいつ速くしようという発想自体がマズ生まれないと思う。チャンスだから急いで攻めるのであってチャンスじゃなければ焦って攻めないだけの話に集約される。

ラインコントロールを巡る戦い

 では次はその対策の話。特にブンデスでは色々なドルトムント対策がされている。一般的に日本では守備というと、ラインを高く保つ為に直ぐラインを押し上げ中盤を厚くし裏はオフサイドを狙うのが定番だが、最近のブンデスの戦略をみるとラインコントロールはそう単純ではないなと思う部分がある。例えば、守備の時にラインを下げてしまい裏のスペースをあまり作らないドン引き守備をしたりする。しかもこれがドルトムントに意外と効いてる。少し前の日本vsシンガポールのような構図だ。こういう場合は高い位置からハイプレスで支配するのではなく MF はあくまで攻撃を遅らせる事を目的にしていて一定のラインまで安全に後退しスペースがなくなった所でボールを奪う守備に切り替わる。結果的に逆にラインが高く足がそれほど速くないドルトムントの DF にカウンターを仕掛ける動きをしている。
 他にも、GK にラインの裏をカバーさせたりする工夫もある。バイエルンのようなチームの場合はラインはドン引きしないで、裏へのボールのかなりの部分を GK のノイアーが処理し事実上スペースを埋めている。これはブンデスでも強力な GK をもついくつかのチームが実践しているが、こうすることでラインも高くなり MF と DF の間の空間もないため選手の密度が高く中盤の守備力も高かまる。そしてハイプレスを高い位置から行い、基本的にMFでボールを取られないようにするため、ドルトムントが出来るカウンターの回数自体が極端に少なくなる。ノイアーが前に飛び出て守備しているのはノイアーの趣味ではなく、バイエルンのチーム戦術の一環だろう。
 ただし、逆にドルトムントから見た場合は、実は相手が高い DF ラインでボールをつなぐ状態というのはドルトムントの攻撃のための理想系の一つでもある。相手のボールはまだ最終ラインにあり、こちらのゴールからは遠い。自陣にはスピードが不足しても高さに対しては十分強い CB をそろえてハイボールの放り込みには強い。フィジカルは弱くても運動量が多くチェイスが上手い MF がそろっているのでフリーで放り込みをさせない。ドルトムントにとっては相手の最終ラインからの攻撃がいきなりハイリスクにならない自信がある。逆に相手 DF ラインの後ろにはスペースしかなくボールとゴールを挟むのは GK だけ。もしボールが奪えれば一瞬で優位に変化でき、相手側からボールをゴールに近づけるには時間がかかる。ドルトムント側のリスクは少なく相手側の攻撃リスクだけが一方的に高い。そういう状態が相手の DF ラインでボールをまわしている状態になる。

 あえて昨シーズンのドルトムントの難点を言えば、ハイボールでも下がりながら CB に処理させるとスピード負けして裏を利用されていたという点があった。ヴァイデンフェラーはノイアーのような守備範囲はないのでほぼ CB がハイボールを防ぐのだが、アーリークロスのように早めに裏に出されると純粋な足を止めての高さ勝負でなくなり守備ラインが崩壊していた印象がある。まあ、そもそも選手個人には動きを教えて戦術的な理解は本人に任せているのではないかなという気もするので、それぞれ違う意図でプレーしているかもしれないが全体としてはそういう風に見える。

スタッツから読み解かれていない日本人の強みを掘り起こせるのではないか

 ほとんどドルトムントの話になってしまったが、日本代表に戻すと。よく日本代表の走行距離などが表示されいるが、あまりスタッツが生かされていたとも思えない。一体日本人のサッカーの傾向としてどこに強みがあるのだろうか。小さな強みから手繰り寄せるように、圧倒的強みを構築していく欧州のチームの戦術と比べて、日本はまずどこに強みがあるかもよく分らないが、とりあえず海外で流行っているサッカーを真似てみたという感じが凄く強い。その点に関してはザッケローニは自分の戦術に固執せずに日本人に合わせた柔軟性のある戦術を提示していたし、十分面白かったと思う。ただ、長期にわたる選手の管理という面で、クラブチームと違い代表では選手が監督の手の届かない所にいるという点が失敗だったように思う。そしてコンディション管理に関して、日本代表のメディカルスタッフや興行的な日程を組むサッカー協会は信用できない。代表の試合後の怪我の多さは酷いものがある。

東アジア杯2015 中国 vs 日本

中国 1-1 日本
前半10分(中国)ウー・レイ 得点 前半41分(日本)武藤

採点

選手名 採点 寸評
GK 東口順昭 5.0 長く代表で試合に出ていなかったが、酷いプレーはなくまずまずの出来。ただし良い意味で違いが見えるプレーも見当たらなかった。
DF 槙野智章 5.0 素晴らしいプレーもあるが波があり、MFなら問題ではないがDFとしては相変わらず安定性に欠けた
DF 森重真人(Cap) 6.0 安定した守備を見せた。またMFが司令塔として機能しない中、攻撃でも最終ラインから相手をかわしてのパスなどが目立ち、事実上のレジスタ的な役割もこなした。
DF 丹羽大輝 4.5 失点シーンでは寄せ切れず、上がった後の裏を突かれるシーンもあったが、試合全体では悪くはなかった。ただし、数回あった一瞬のミスの内の一つが失点へとつながった。
DF 遠藤航 5.5 ボランチの位置で十分機能し非常に安定していたが、若干守備的で攻撃面では同ポジションの柴崎などと比べると物足りなさも残った。
DF 米倉恒貴 5.0 攻撃面で良いプレーを何度か見せたが、決定的なものではなかった。
MF 山口蛍 5.5 守備に奔走したがミドルは打たせてしまっていた。攻撃では縦への良いパスもあったが、このチームではその後パスをつなぐ技術もシュートに行く積極性もなかった点を考えると、司令塔としては難しい部分もあった。
MF 武藤雄樹 6.0 FW陣が調子が出ない中、1ゴールを決め結果を出した。
FW 永井謙佑 5.0 前半の引っ込み思案で消極的なプレーと、後半の吹っ切れたチェイスと運動量で良い面悪い面両方出ていた。
FW 宇佐美貴史 5.0 いいシュートはあったが、相変わらず運動量が少ない。得意のドリブルも少なく突破力に欠けた。
FW 川又堅碁 4.0 ポストプレーのかなりの場面で失敗し、小さなミスの連続でチームの攻撃が途切れてしまった。
MF 柴崎岳 5.0 交代後のパスにアクセントはつける事が出来たが得点にはつながらなかった
FW 興梠慎三 5.0 パスをつないで、川又との違いは見せたが結果にはつながらなかった
FW 浅野拓磨 時間が短すぎて採点不能
監督 バヒド・ハリルホジッチ 4.5 大きく先発メンバーを変えたが、効果的な組み合わせとは言い切れなかった。縦への攻撃も逆に攻め急ぐ形となるシーンが多く見られ、このメンバーの場合においては突破力が足りず、戦術的な幅の狭さも露呈した。
試合後、ハリルホジッチ監督のコメント

「いい試合をしたと思う。勝てる資格はあったと思う。徐々に向上している。フィジカル的にもフレッシュな状態で2、3日前に現地に入っていれば全ての試合に勝てたと思う」

「課題はたくさんあります。それを解決していこうと思いう」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150809-00000268-sph-socc

確かに試合の印象としては相手の技術的なレベルがあまり高くなかったので、どの試合でも選手の技量で負けていた感じはなかった。ただし、勝てなかった。

日本代表の印象

試合を通じて攻撃をみると、シュートにまで持っていけるのが、宇佐美、武藤の2人だけだった。永井は前線からのチェイスや豊富な運動量など献身性は見られたが、スピードで裏に抜けることは出来なかった。宇佐美もシュートは見せたが数は少なく、持ち味を十分生かせない形で選手のストロングポイントがあまり生きていなかった。また相手も1ゴール後は十分守備的で裏にそれほどスペースもなかったが、引いた相手の裏を狙うロングパスが多く、真ん中の縦へと出すボールがほとんど通っていなかった。またパスが通ったシーンでも永井や川又のトラップミスが気になった。縦に速く出すパスが多く最終的に囲まれた川又にボールを出すことになっていた。これでは事実上、戦術川又になっていたが、それにはもう少し川又のポストプレーか裏への飛び出しで絶対的な武器が必要だったのではないだろうか。そこまでやるならCF永井とか宇佐美で、一発の抜け出しやシュートの方が強みとしては強かったのではないかとすら思えてしまった。また偶々サイドから抜け出しても中に人が入っていないなど連携的にもあっていない部分があり、全体的に自滅するような形が多すぎたように思う。

試合の総評

中国が凄く上手かったとか凄く強かったという感じもなかったが、DFラインだけ普通に固めていた日本は点が取れなかった。MFからの崩しはあまり意識されておらず、得点シーン以外は日本の側にも決定的な攻撃が作れてはいなかった。こういう少ない攻撃チャンスで決める試合をするには、日本はもう少し守備が堅くなければ機能しないように思ったし、中国も1点取った後の守備が以外とゆるかった。お互い特に攻撃の形がもなく微妙な守備の崩れから偶に入ってしまうゴール。W杯予選でもこの水準の試合をしてしまうと苦戦するのではないだろうか。

東アジア杯の日本代表の総評

攻撃は意図した縦への攻撃という戦術では機能していなかったように思う。この大会では宇佐美、永井などスピードとドリブルのある選手を両サイドにそろえていたが、あまり効果的にサイドから突破できたシーンはなく、両サイドの本来の破壊力やスピードからすると少し物足りない。相手が引いてきた場合に裏にスペースがないと突破できないという点や、相手が十分に警戒して戻りが早いと返って孤立して囲まれて取られてしまうというシーンが多かった。また攻撃が結局CFを経由する崩しだったのでCFがボールをキープできないと成立しない。このやり方で攻撃を通すにはCFのポストプレーやキープ力がかなり大事に成るのではないかと思うが、日本のCFは岡崎くらいしか安定しておらず、その岡崎もそういうボールをさばいたりポストプレーが売りという選手でもない。むしろ日本で言えば本田などが一番得意とするプレーだが、本田は最近サイドをやっており、ハイボールに弱くポストプレーがほとんど出来ない香川がトップ下なので戦術的な相性は最悪の部類になりそうな事を試している気がする。少しちぐはぐな部分があるように思えた。

東アジア杯2015 日本 vs 韓国

日本 1-1 韓国
前半39分 山口 得点 前半27分 張賢秀
警告

採点

選手名 採点 寸評
GK 西川周作 5.0 PK以外は失点しなかった。ハイボールの処理も、FKも上手く処理した。ただ攻撃ではパスの技術的な上手さと戦術的な難点が混在していた
DF 太田宏介 5.0 守備で貢献したが、得意のクロスは精度が低く、攻撃時のパスの連携も微妙で見せ場なく終わった
DF 槙野智章 5.5 少し危ないシーンもあったが何とか守りきった、また攻撃でも光るパスを見せた
DF 森重真人 5.0 守備の要となっていたが、PKを招いたファールもした
DF 遠藤航 6.0 前回の試合から引き続き攻守に安定しており、安定性ではこの代表では一番といって良い出来
MF 柴崎岳 5.5 何度もいいパスを見せたが、ボールをロストして危険なシーンも作った
MF 藤田直之 5.0 裏方役として中盤の運動量を支えた
MF 山口蛍 6.5 攻守の核として機能し、更に1ゴール
FW 永井謙佑 4.5 足はみせたが、パスの遅さ、判断の遅さ、パスの位置が常にマイナスに来る悪い癖が出ていた
FW 興梠慎三 4.0 空中戦にほとんど負け決定的な仕事はできず後半にはスタミナが切れて運動量まで落ちた
FW 倉田秋 6.5 攻撃面では十分に機能し1アシスト素晴らしい動きを見せた
FW 川又堅碁 4.5 途中出場で時間が短かったものの前試合同様、見せ場は作ることが出来なかった
FW 宇佐美貴史 5.0 宇佐美という選手は、最後のシュートチャンスに宇佐美へとボールが集まらないと評価するのが難しい。今回はシュートを打つ所までボールが運ばれなかった
FW 浅野拓磨 5.5 ボールチェイスなどで上手い追い込みを見せ守備の良さが出ていた
監督 バヒド・ハリルホジッチ 4.5 フィジカルの強い相手に守備面では対策することが出来たが、縦への早い攻撃はこの試合でも上手く機能していなかった。そして大会連覇を逃した。
試合後、ハリルホジッチ監督のコメント

 試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「今日はディフェンス面に関しては、かなり前回よりも良い状態だった。我々はしっかりポジションをとってコントロールしました」と試合を振り返った。そして、「我々よりもフィジカル的に強い相手だったので、厳しい状況でしたけど、後半少し得点のチャンスがあって、慌てた状況がなければ勝つ可能性もあったと思います」と、勝利への可能性に言及するが、「同等の結果だった」とコメントしている。

http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20150805/337343.html

日本代表の印象

前回の北朝鮮戦から見ると、かなり守備の対策が戦術的に整理されてきており、前にいる相手の大型のFWを押さえるためのDFの動きや、相手にボールをあげさせないプレッシャーをかける守備などが北朝鮮戦よりは上手く機能していた。攻撃面にまではまだ手が回っておらず、攻撃の方向性やカウンターで急ぐ場面と落ち着かせてキープする場面の緩急をどうするのか、常にラインを上げプレスをかけるのか引いて守るのか、細かい所はまだ完成度が高いとはいえなかった。PKに関してはやや不運で、持っているポテンシャルとしては現在のメンバーでも調整時間さえあれば十分勝てたのではないかと思う。また更に良くなる可能性を秘めている感じさせた。ただし現時点ではチームとしては海外組みを含むの日本代表とはかなりレベル差があるといわざるをえない。今回は遠藤と倉田という控えが機能しそうだという点は、かなり成果があったと思う。

試合の総評

韓国は北朝鮮と比べると放り込みよりつなぐサッカーを意識していたが、韓国もチームとしての技術力の問題があり、つなぐサッカーにはかなり綻びが見えた。日本の方が技術的にはかなり上だったと思うが、日本もまだチームとしては戦術的な意思統一に問題があり結果的には、良い勝負になった。また審判が少し癖がありPKやオフサイド、最後の森重のファールなどもちょっと特殊な傾向があるジャッジだったと思う。結果的にそれも日本に不利に働き、この試合に引き分けたことで、東アジア杯の優勝の可能性はなくなった。

試合のハイライト動画

https://www.youtube.com/watch?v=1MuvtiY_pl8
https://www.youtube.com/watch?v=1MuvtiY_pl8

試合のスタッツ

日本 vs 韓国 試合情報 - LEGENDSSTADIUM with EAFF東アジアカップ2015 公式動画

東アジア杯2015 日韓戦スタメン

スタメン
ポジション 選手名
GK 西川周作
DF 太田宏介
DF 槙野智章
DF 森重真人
DF 遠藤航
MF 柴崎岳
MF 藤田直之
MF 山口蛍
FW 永井謙佑
FW 興梠慎三
FW 倉田秋
控え
GK 東口順昭
GK 六反勇治
DF 水本裕貴
DF 藤春廣輝
DF 米倉恒貴
DF 丹羽大輝
MF 武藤雄樹
MF 米本拓司
MF 谷口彰悟
FW 川又堅碁
FW 宇佐美貴史
FW 浅野拓磨
監督 バヒド・ハリルホジッチ

参考

日本対韓国 – サッカー日本代表スコア詳細 : 日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/score/2015/2015080501.html

さり気なくミスリードするメディアと、柔軟性の足りないハリル

──前半、内容は良かったが得点が取れなかった。それを受けて後半、どのような修正を考えたか?(大住良之/フリーランス)

 ハーフタイムでは2点目を狙いに行こうと言った。それによって、おそらくわれわれが完全に試合を握ることができた。われわれはボールを奪ったときに、前に行くべきか、少しキープすべきかというところで迷いがあり、ボールを簡単に失ってしまった。また、先ほども言ったように、フィジカル的にきつい選手が何人かいた。暑さもあったが、試合が進むにつれて、何人かの選手が走れなくなっていた。

 この失敗した試合に関しては多くのディスカッションをしないといけない。選手とはたくさんの話し合いをしてきたし、準備もしてきた。だが、われわれよりもフィジカルが強い相手に対して、対抗することができなかった。今日も10以上の決定的なチャンスがあったが、このように失敗し続けてはいけない。がっかりしているが、こうなってしまったと言うしかない。なでしこが負けていたので、われわれは勝たなければならないと思っていただけに、本当にがっかりしている。

──今後も日程的にきつい状況が続く中、フィジカルに関して今後どのような対応を考えているのか?(田村修一/フリーランス)

 次の準備としては、何人かの選手を交代して使うと思う。何人かの選手はかなり疲労しているし、けがもあるのでおそらくプレーできない。今日は空中戦でかなり支配されていた。大したことはできないが、他の選手にチャンスを与えるということだ。日本のフットボール界の責任ある方々は、今日何が起こったのかをしっかり見てほしいと思う。われわれに対して、きちんと疑問を抱かなければならない試合だった。この大会に入る前にも疑問を投げかけたが、今日もそれを繰り返そう。残念ながら私の方に理があると思う。真実を見ないといけない。これが日本のフットボールの現状だと思っている。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201508020006-spnavi

この質問と回答の記事で前後を読み飛ばしているマスコミがあったので、あまりに酷いと思ったから、良心的に全部書いてるスポーツナビのを引用してみた。この省略されてない奴を見て欲しい。

「他の選手にチャンスを与える」の真意

  「他の選手にチャンスを与える」⇒懲罰

のような印象を与えるが、実際には

  日程的にきつい⇒選手をローテーションする

という意味であるのが上の質問と回答を見ると直ぐ分る。

「フィジカル的にきつい選手が何人かいた」の意味

  「フィジカル的にきつい選手が何人かいた」⇒選手のスタミナやフィジカルの問題

のような印象を与えるが、上の質疑応答を見る限り実際には

  「フィジカル的にきつい」⇒日程に問題がある

という意味だと思われる

それでも疑問符も付くハリルの戦術

日程的に厳しいのは随分前から分っていたのではないだろうか。そもそも日程が厳しいからといって負けるほど強い相手だったとも思えない。それでも勝てたでしょと思わざるをえない部分が。コンディションが非常に悪かったとしても、今度は何故そういうコンディション面に配慮した戦術にしなかったのか疑問が出てくる。北朝鮮戦でも、縦に速い永井や突破力のある宇佐美など、前と同じく縦に速い戦術を前提とした布陣だったのは明らか。そしてボールキープせずに素早く攻撃するので当然スタミナが減る。これについてはDFの槙野も苦言を呈している。といっても、槙野も北朝鮮戦では2失点に絡む活躍だったので言い訳なのかもしれないけど。

 今後の修正点としては「90分タテに速いサッカーっていうのはあまりにも不可能」と認めた上で、「ゆっくりする時間帯とタメを作る時間っていうのは必要かなと思います」と語った。

「監督はタテタテと言うけど、もう少し幅を利かせたプレーだったりとか、ボールを動かすこと、時間を作ることを、僕たちが後ろから指示を出すことも必要なのかなと思いますね」

http://news.livedoor.com/article/detail/10425012/