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吉田麻也の誤解と盲点「危険な選手の隣に居て欲しいのは吉田麻也」

 吉田の守備が酷いという風潮は偏見だと個人的には思っている。そして吉田が持つ本質的な弱点は別にあるような気がする。というような事を以下データを見てて思ったので書いてみる。まず、前回の日本vsコスタリカ戦でも多くのサイトで吉田の守備の不安要素を語り、森重の安定性について主張する話が多かったが、単純なボール奪取回数とボールロストした回数を見ると吉田に対する一部の主張は偏見なのではないかという気がしている。まずは、それについてのデータが下の表だが、ボール奪取回数とボールロストした回数を出している。

選手名 ボール奪取回数 ボールロスト回数
22吉田 麻也 14 1
16山口 蛍 13 2
6森重 真人 7 1
21酒井 宏樹 6 0
4本田 圭佑 6 1
1川島 永嗣 6 2
15今野 泰幸 5 1
10香川 真司 5 2
14青山 敏弘 4 1
7遠藤 保仁 4 1
18大迫 勇也 3 2
2内田 篤人 2 1
13大久保 嘉人 1 1
5長友 佑都 0 0

http://www.football-lab.jp/japan/report/?year=2014&month=06&date=02

調べて見ると、さらに一試合前のキプロス戦も同様に吉田がボール奪取回数No1だと分かる。この二つの試合でも吉田を批判的に語る論調はあったが、この数字を見る限り吉田の守備の問題は、単純な対面能力ではない。むしろ代表チームでは最もボールを奪う、山口と共にボールを奪う能力に特化した選手だといえるだろう。

そこで、タイトルに書いたように「危険な選手の隣に居て欲しいのは吉田麻也」なのだが、これの意味する所は、危険な選手の隣に吉田がいない時があるという事。ちゃんと相手に寄せてさえ居れば吉田は現在の代表で最もボールを奪うのが上手い選手だといわざるを得ないが、その吉田も相手の近くに居ない事には守備が出来ない。あえて吉田の問題とこれからの課題を考える場合は、試合中に見える重要なタイミングでマークを外して相手をフリーにしているシーンなどこそが吉田の本質的な問題だと思う。

同様に分かる選手の守備能力の問題

ちなみに、同様の問題は香川や本田に対しても向けられており、何故か日本では「トップ下=守備ができない」というような論調が中村俊輔以来常に付きまとっているが、実はこういう数値を見ていくと完全な誤解だと分かる。コンディションが悪いとされ守備も批判されていた本田だが、このコスタリカ戦に関しては守備では機能していたといわざるを得ない。また、特に香川はこの試合に限らず安定して常にボール奪取回数が多く。香川の守備能力が代表全体を見てもむしろ高い方だと分かる。香川の場合はインターセプトが上手くパスカットのスタッツが他の情報で見ても素晴らしい数字を常に出している。プレミアリーグにおいても香川のインターセプト回数は素晴らしくマンUの攻撃陣でも1位2位を争う。この数字を見る限り香川の守備に対する批判は、日本の一部のサッカーファンの間に漂うあまりに印象的すぎた中村俊輔の亡霊といわざるを得ない。

香川真司のボールロスト率の話

香川真司のボールロスト率の話が2chに出てて謎の主張がされてたので軽く、客観的な数字を出して見る事に。

香川真司のボールロスト率が異常 モイーズの起用法はやはり妥当
2013年12月31日8件
マンチェスター・ユナイテッド

633: 名無しに人種はない@実況はサッカーch 2013/12/30(月) 11:42:31.82 ID:V+oNWPrG0
香川のライバルはアザールでもヤヌザイではなく、ましてやルーニーやエジルはもってのほか
真のライバルはヤングです、そのヤングに対しても現在若干不利な状況
よってモイーズの起用は香川に関しては極めて妥当です

Sinji Kagawa
出場試合7 0G0A シュート0.6(4) ドリブル0.9(6) キーパス0.6(4) 平均パス数35.3(247)
パス成功率87.9% クロス成功数0(0/8) ロングパス成功数2(14/17) ボールロスト2.7(19)

Eden Hazard
出場試合17 7G4A シュート1.9(34) ドリブル3.6(65) キーパス2.6(46) 平均パス数43.6(818)
パス成功率83.4% クロス成功数0.5(9/37) ロングパス成功数1.5(27/38) ボールロスト2.2(40)

Adnan Januzaj
出場試合13 3G1A シュート2.0(26) ドリブル1.8(24) キーパス0.8(10) 平均パス数21.4(278)
パス成功率81.3% クロス成功数0.2(2/25) ロングパス成功数0.9(12/17) ボールロスト2.3(30)

Mesut Ozil
出場試合15 4G7A シュート1.3(20) ドリブル1.7(25) キーパス3.0(45) 平均パス数62.7(941)
パス成功率87.1% クロス成功数1.7(25/66) ロングパス成功数1.7(26/34) ボールロスト1.4(32)

Wayne Rooney
出場試合16 9G9A シュート3.2(51) ドリブル1.6(25) キーパス2.4(38) 平均パス数46.6(746)
パス成功率79.9% クロス成功数1.3(21/104) ロングパス成功数5.3(84/108) ボールロスト2.4(39)

Ashley Young
出場試合9 1G0A シュート0.7(6) ドリブル0.7(6) キーパス0.9(8) 平均パス数20.6(185)
パス成功率77.3% クロス成功数0.7(6/38) ロングパス成功数1.1(10/16) ボールロスト0.8(7)

http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/football/1388275511/

 例によってこの後謎の香川罵倒と擁護が始まるのだけど、香川関係の話はいつも香川云々以前に数字の読み方がおかしい気がする。何でこういう不思議な読み方が出来るのか謎だけど・・その辺をまともな形でだすと。普通のスタッツとして読むには

 1.横についてるカッコの中の数字を比べる
 2.そしてそれをタッチ数で割る

 すると何回のタッチに対して何回ロストしているのか分かるから、多少は意味のある数字になる。基本的にボールタッチが少ない選手の場合は1試合辺りのボールロストが勝手に減るからね。今提示した計算の香川の数字が良くなるか悪くなるかは知らないけど。ただ少なくとも正しく読むにはそうしないと話にならない。試しにここに出てる数字で一番近い数値をだすと

香川 8%(19/247)
アザール4%(40/818)
ヤヌザイ 11%(30/278)
エジル 3%(32/941)
ルーニー 5%(39/746)
ヤング 4%(7/185)

大体こんな感じ。まあタッチ数とパス回数が比例傾向にはあるけど厳密ではないし、さらにロスト回数の計測がどの範囲でロスト読み込むかで結構違いがありそうなので、何ともいえない数字には違いないが。それでも、あそこに出されてる数字よりは、ロスト率としてまだ意味のある数字だとは思う。スタッツの話は実はこういう何回触ったのに対して何回何かが起こったという率を出すスタッツと、そもそもゴール数のように順数に数字が多ければ多いほどいいという絶対値に意味があるスタッツがある。得点に絡まないポジションや出場時間が少ない選手の個人のパフォーマンスを見る場合はほとんど率で見るしかない。したがって試合数とタッチ数あたりはめちゃくちゃ大事な母数で、ほとんどのスタッツを読むにはコレで割らないと意味がない数字になると思う

長友の苦悩「サイドを駆け上がった末に見える景色」

シュート 成功率
1 本田 圭佑 144 9.7%
2 岡崎 慎司 122 17.2%
3 香川 真司 109 13.8%
4 前田 遼一 46 17.4%
5 長谷部 誠 44 2.3%
6 遠藤 保仁 40 7.5%
7 長友 佑都 38 0.0%

2014 3/6 のデータ http://www.football-lab.jp/japan/ranking/

これは日本代表のシュートが多い順ランキングで、長友はそこで7位につけてる。これ自体は非常に攻撃的で悪い数字ではない。ただ、決定率が0%という問題を除けばだけど。この問題は意外なほど長友のプレーにおいては苦悩を生み出しているのではないかと前々から思っている。長友は派手なドリブル突破、強靭なフィジカルを生かしたボールキープや守備、さらにスタミナを生かしたスプリント回数など素晴らしい特性のある選手だが、日本代表においては一つの問題がある。それはボールを持ち上がった後どうするかという所だ。日本代表のFWは世界の強豪と比べると基本的には決定力が低い傾向があるし、身長も低い選手が多く。ポストプレーで優位に立てない選手が多い。そんな中、サイドでボールを持ちあがった長友は中にクロスをあげても、効果的ではない場面があまりにも多い。そこで自分で切れ込んでシュートを打つパターンが出てくる。しかしシュートが入らない。クロスについては以前の長友は代表では成功率がかなり低い時期があったが、最近は長友自身のクロスの質はかなり良くなってきた。ただし代わりに中にいる選手から前田やハーフナー、豊田という長身でポストプレーも出来るような選手が今はいなくなってしまっている。今のFWは裏へ飛び出してボールを要求するタイプが多く、長友本人も裏への飛び出しがしたいタイプなので二者択一な選択になりがち、長友が裏まで抜けてしまうと相手のラインが下がってFWが裏に抜けるのは難しいし、そこで折り返してもクロスの効果が眼に見えて減っている。そこでシュートかクロスかという2択をせまられるが、中に切れ込んでのシュートが入らない・・・これは長友のプレーを見てると持ち上がった後どうするか本当に苦労してる印象がある。今回のブラジルW杯もハーフナーが選ばれず、長友の苦悩は続きそうだ。

松木安太郎の監督としての成績は意外といい

いつもネタで馬鹿にされてる松木安太郎。実は監督としての実績は結構なものだという事は意外と知られていない。Jリーグの歴代の監督でも実は日本人では勝率が2番目に高く、他に勝率上位に並ぶ監督は助っ人で来た外人監督ばかり、今やアーセナルの名将となったベンゲルに並んでそこには松木安太郎の名前が。

順位 監督名 試合数 勝率
1 鈴木 政一 73 59 6 8 80.82
2 バウミール 34 26 0 8 76.47
3 ハビエル・アスカルゴルタ 66 45 0 21 68.18
4 エメルソン レオン 82 55 1 26 67.07
5 ゼ・マリオ 32 21 1 10 65.63
6 ホルヘ・ソラリ 20 13 0 7 65
7 オタシリオ 62 40 0 22 64.52
8 アーセン・ベンゲル 73 47 0 26 64.38
9 レネ・デザイェレ 30 19 0 11 63.33
10 松木 安太郎 128 78 0 50 60.94

ちなみに、名監督と思われてる監督を並べるといっそう際立つ

西野朗 52.88 % (勝数は最多)
関塚 隆 52.68 % (1試合あたりの得点数は日本人監督では歴代2位)
レヴィー クルピ 50.56 %
長谷川健太 44 %
反町 康治 43.88 %
岡田武史 43 %
早野宏史 41 %
原博実 41 %

松木 安太郎 60.94 %

 監督時代のチームが強かったという事を含めても突出した成績といえると思う。というわけで、当サイトでは密かに松木安太郎の汚名を返上する為に勝率を書いてみた。解説してる時も2chなどで居酒屋で観戦しているおっさんと思われているが、実は大分普通に監督をしていた人だという所をあえてピックアップしたい。
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