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CL 2016 で最も枠内シュートを打った選手

今シーズンのCLで最も枠内シュートを打った選手
ロナウド Ronaldo (33)
レヴァンドフスキ Lewandowski (22)
グリーズマン Griezmann (20)
ミュラー Müller (19)
イブラヒモビッチ Ibrahimovic (16)

香川のシュートが下手という風評被害

 以前も代表での決定率を比較して日本代表で本田や香川が決定率が不当に低く見られているという話を書いたが、最近もまだその傾向が強い。最近の風評とは違い、統計的には実は香川も今のシュート能力自体は安定してる。問題はどちらかというと失敗を気にしすぎている事で、実際ドルトムントのほかのメンバーに注目すれば、そこまで致命的な問題とは思えない。他のメンバーのシュートがゴールになる確率を高い順にすると

■シュートに対しての得点率

 オバメ 43.3%
 ホフマン 33%
 ロイス27.8%
 ギンター 25%
 ラモス20%
 香川 15.4%
 牛丼 0%
 ヤヌ 0%
 カストロ0%
 ヴァイルグ 0%
 ベンダー 0%

DFなのに点を決めているギンターなどの例外はいるものの基本的に決定率が高いのはゴールに近い位置でボールをもらえるFW。MFの中では、ホフマンの得点率がやや高いだけで、香川は2番目。他のMFは1ゴールも上げれていないので0%。香川がそれほど悪いわけでもない。ヤヌや牛丼、カストロなど香川とほぼ同じようなMFとして使われている選手もまったく点を取っていないので今のトゥヘルのスタイルでは最後の確実なボールをFWに集める戦略なんだろう。

また去年のゴール率と比較すると分るが去年はオバメですら19%だったので、20%前後というのは実はソコソコの数字。一定の試合数を重ねて平均値が落ち着いた状態で25%とかは実は素晴らしい数字。今のオバメは驚異的な数字でロイスとかも普通の状態から見れば悪くはない。ホフマンは33%と高いが出場時間が短いので偶々ゴールして確率が上がってるだけだと思う。

ちなみに見てみたところ香川は去年も決定率は16%程度、ハリルジャパンでも決定率は17%程度、ザックジャパンでも14%。大体長期的に見ると20~15%弱で安定している。

■参考
適当にトップ下付近もやりそうな有名選手の数値

 デブ 23.1%
 マタ 23.1%
 シルバ 16.7%
 ルーニー14.3%
 メッシ12.5%
 クリロナ 11.9%

主旨とは外れるけど、例のアイドル二人が今まさに絶不調中なのかよく分る。まあアイドルなので不調でも不調とは簡単にいえないのか、あんまり噂にならないけど

■面白かったのでついでに調べてみた選手

 ゲッツェ 20%
 トッティ 16.7%
 エジル 12.5%
 コスタ 4% ←これは意外
 ポグバ 3.8%
 ドラクスラー 0%

あと、シュートが入らないといっているイメージは恐らくドル初期やマンU初期のイメージからなんだと思われる。

■香川の決定率変遷

 現在 15.4%
 ドル復帰1年目 16.7%
 モイマンU 0%
 ガムマンU 37%
 ドル 2年目 23%
 ドル1年目 24%

香川のシュート決定率を見ていくとモイーズに破壊されるまではストライカーも驚愕する脅威の決定率を誇っていたわけで、どちらかというとMFとしては決定率が高い。得点力が高いタイプのOMFだとすらいえると思う。

日本代表において本田や香川の決定力が低いという風評

日本代表がアジア杯をベスト8で敗退した事で、特にUAE戦のスタッツで日本代表が圧倒しているにも拘らず点が入っていないと言う部分で、FWやMFの決定力不足という話になっている。特に何故かFWでもない本田や香川の決定率が低すぎると言うように言われているが。まず本当に香川や本田は日本代表において決定率が低いMFなのだろうか。そこに酷い誤解があるようにしか思えない。下に試合数が多いザッケローニ時代の日本代表のシュート数と決定率の表を見てもらおう。

ザックジャパンのシュート数ランキングと決定率

ランキング 選手 シュート数 決定率
1 本田 圭佑 162 10.5%
2 岡崎 慎司 129 17.1%
3 香川 真司 123 13.8%
4 長谷部 誠 49 2.0%
5 前田 遼一 46 17.4%
6 遠藤 保仁 45 8.9%
6 長友 佑都 45 0.0%
8 吉田 麻也 29 6.9%
8 ハーフナー マイク 29 13.8%
10 李 忠成 21 9.5%

最近も出場しているFWの選手がかなりシュート数ランキングにランクインしている。決定率の方を見てもらうと分かるように、実はFWを除けばシュートを打つ選手の中では香川の決定率が高く次いで本田となっている。ザック時代から実は香川と本田は控えFWより遥かにシュートを良く打ち、しかも決定率も高い。気になる人の為にゴール数ランキングも一応提示すると

1 岡崎 慎司 22
2 香川 真司 17
2 本田 圭佑 17
4 前田 遼一 8
5 柿谷 曜一朗 5
6 遠藤 保仁 4
6 ハーフナー マイク 4
8 栗原 勇蔵 3
8 大迫 勇也 3
10 吉田 麻也 2

決定率だけでなく、絶対値で見ても香川と本田がFWを押しのけて2位につけている。この実績から行けば、長期的に見れば本田も香川も決定率は低いとは言えずむしろ高いといってもいいだろう。そして、アギーレジャパンではどうなのかという点だが。まだ数試合しかしていないのでスタッツとしては問題があるが、下の表がアギーレジャパンでのシュート数と決定率

アギーレジャパンのシュート数ランキングと決定率

ランキング 選手 シュート数 決定率
1 本田 圭佑 42 9.5%
2 岡崎 慎司 28 7.1%
3 香川 真司 17 5.9%
4 武藤 嘉紀 13 7.7%
5 乾 貴士 12 16.7%
6 柴崎 岳 10 20.0%
7 長谷部 誠 7 0.0%
8 遠藤 保仁 6 33.3%
8 豊田 陽平 6 16.7%
8 清武 弘嗣 6 0.0%

アギーレジャパンではまだ試合数が少ないので少しスタッツとしては信憑性が低い数値になるが、それでもやはり上位3人は岡崎、本田、香川の3人となっている。アギーレジャパンとザックジャパンの違いを考えると本田がより攻撃的にシュートを打つポジションになった事で、決定率は下がったもののシュート数が伸びている。変わりに岡崎や香川といった今までパスの受け手として機能していた選手の決定率が下がっており、本田がシュートを打つ側に回った事でパスの質が落ちたのではないかとおもわざるを得ない面がある。香川に関しては調子を落とすまではマンUでもファーガソン時代は実は香川28.5%という驚異的な決定率を残してる。

解決策はあるのか

スタッツをみると実はシュート力などで話題に良く上がっている武藤よりも、実は乾や柴崎、豊田の方が決定率は高く、ほとんど出場機会のない豊田や柴崎は少ない時間で結果を出していると言う意味では期待が持てる。UAE戦でも豊田の責任にする話などもあったが、この数値をみると決定率という意味で豊田を攻めるのは流石に悪質な批判といってもいい。また、宇佐美という選択も見えてくる。宇佐美はJリーグでも決定率が高く、ここでいい数値を残している豊田よりも決定率なら安定して高い選手。

シュート決定率
豊田 0.1957
大久保 0.1897
宇佐美 0.2273

しかも宇佐美は、まだ22歳である。最近若手が成長していないという日本代表への危機感を煽る報道があるが、個人的には今の若手は武藤だけではなく宇佐美、酒井高徳、柴崎、南野、宮市、など22歳前後としては過去ないほど実績がある選手が溢れかえっている。しかもそれぞれ強い個性を持ってもいる。「若手が育っていない」のではなく、「若手を起用していない」の間違いだろう。心配なのはCBやDMFという守備的な若手が若干人材不足という点はあるかもしれない。遠藤の後継者よりも実は長谷部や今野の後継者の方が若手には少ない気がする。

参考にしたデータ

フットボールラボ
http://www.football-lab.jp/japan/ranking/

長友の苦悩「サイドを駆け上がった末に見える景色」

シュート 成功率
1 本田 圭佑 144 9.7%
2 岡崎 慎司 122 17.2%
3 香川 真司 109 13.8%
4 前田 遼一 46 17.4%
5 長谷部 誠 44 2.3%
6 遠藤 保仁 40 7.5%
7 長友 佑都 38 0.0%

2014 3/6 のデータ http://www.football-lab.jp/japan/ranking/

これは日本代表のシュートが多い順ランキングで、長友はそこで7位につけてる。これ自体は非常に攻撃的で悪い数字ではない。ただ、決定率が0%という問題を除けばだけど。この問題は意外なほど長友のプレーにおいては苦悩を生み出しているのではないかと前々から思っている。長友は派手なドリブル突破、強靭なフィジカルを生かしたボールキープや守備、さらにスタミナを生かしたスプリント回数など素晴らしい特性のある選手だが、日本代表においては一つの問題がある。それはボールを持ち上がった後どうするかという所だ。日本代表のFWは世界の強豪と比べると基本的には決定力が低い傾向があるし、身長も低い選手が多く。ポストプレーで優位に立てない選手が多い。そんな中、サイドでボールを持ちあがった長友は中にクロスをあげても、効果的ではない場面があまりにも多い。そこで自分で切れ込んでシュートを打つパターンが出てくる。しかしシュートが入らない。クロスについては以前の長友は代表では成功率がかなり低い時期があったが、最近は長友自身のクロスの質はかなり良くなってきた。ただし代わりに中にいる選手から前田やハーフナー、豊田という長身でポストプレーも出来るような選手が今はいなくなってしまっている。今のFWは裏へ飛び出してボールを要求するタイプが多く、長友本人も裏への飛び出しがしたいタイプなので二者択一な選択になりがち、長友が裏まで抜けてしまうと相手のラインが下がってFWが裏に抜けるのは難しいし、そこで折り返してもクロスの効果が眼に見えて減っている。そこでシュートかクロスかという2択をせまられるが、中に切れ込んでのシュートが入らない・・・これは長友のプレーを見てると持ち上がった後どうするか本当に苦労してる印象がある。今回のブラジルW杯もハーフナーが選ばれず、長友の苦悩は続きそうだ。