「アジア杯2015」カテゴリーアーカイブ

さり気なくミスリードするメディアと、柔軟性の足りないハリル

──前半、内容は良かったが得点が取れなかった。それを受けて後半、どのような修正を考えたか?(大住良之/フリーランス)

 ハーフタイムでは2点目を狙いに行こうと言った。それによって、おそらくわれわれが完全に試合を握ることができた。われわれはボールを奪ったときに、前に行くべきか、少しキープすべきかというところで迷いがあり、ボールを簡単に失ってしまった。また、先ほども言ったように、フィジカル的にきつい選手が何人かいた。暑さもあったが、試合が進むにつれて、何人かの選手が走れなくなっていた。

 この失敗した試合に関しては多くのディスカッションをしないといけない。選手とはたくさんの話し合いをしてきたし、準備もしてきた。だが、われわれよりもフィジカルが強い相手に対して、対抗することができなかった。今日も10以上の決定的なチャンスがあったが、このように失敗し続けてはいけない。がっかりしているが、こうなってしまったと言うしかない。なでしこが負けていたので、われわれは勝たなければならないと思っていただけに、本当にがっかりしている。

──今後も日程的にきつい状況が続く中、フィジカルに関して今後どのような対応を考えているのか?(田村修一/フリーランス)

 次の準備としては、何人かの選手を交代して使うと思う。何人かの選手はかなり疲労しているし、けがもあるのでおそらくプレーできない。今日は空中戦でかなり支配されていた。大したことはできないが、他の選手にチャンスを与えるということだ。日本のフットボール界の責任ある方々は、今日何が起こったのかをしっかり見てほしいと思う。われわれに対して、きちんと疑問を抱かなければならない試合だった。この大会に入る前にも疑問を投げかけたが、今日もそれを繰り返そう。残念ながら私の方に理があると思う。真実を見ないといけない。これが日本のフットボールの現状だと思っている。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201508020006-spnavi

この質問と回答の記事で前後を読み飛ばしているマスコミがあったので、あまりに酷いと思ったから、良心的に全部書いてるスポーツナビのを引用してみた。この省略されてない奴を見て欲しい。

「他の選手にチャンスを与える」の真意

  「他の選手にチャンスを与える」⇒懲罰

のような印象を与えるが、実際には

  日程的にきつい⇒選手をローテーションする

という意味であるのが上の質問と回答を見ると直ぐ分る。

「フィジカル的にきつい選手が何人かいた」の意味

  「フィジカル的にきつい選手が何人かいた」⇒選手のスタミナやフィジカルの問題

のような印象を与えるが、上の質疑応答を見る限り実際には

  「フィジカル的にきつい」⇒日程に問題がある

という意味だと思われる

それでも疑問符も付くハリルの戦術

日程的に厳しいのは随分前から分っていたのではないだろうか。そもそも日程が厳しいからといって負けるほど強い相手だったとも思えない。それでも勝てたでしょと思わざるをえない部分が。コンディションが非常に悪かったとしても、今度は何故そういうコンディション面に配慮した戦術にしなかったのか疑問が出てくる。北朝鮮戦でも、縦に速い永井や突破力のある宇佐美など、前と同じく縦に速い戦術を前提とした布陣だったのは明らか。そしてボールキープせずに素早く攻撃するので当然スタミナが減る。これについてはDFの槙野も苦言を呈している。といっても、槙野も北朝鮮戦では2失点に絡む活躍だったので言い訳なのかもしれないけど。

 今後の修正点としては「90分タテに速いサッカーっていうのはあまりにも不可能」と認めた上で、「ゆっくりする時間帯とタメを作る時間っていうのは必要かなと思います」と語った。

「監督はタテタテと言うけど、もう少し幅を利かせたプレーだったりとか、ボールを動かすこと、時間を作ることを、僕たちが後ろから指示を出すことも必要なのかなと思いますね」

http://news.livedoor.com/article/detail/10425012/

アジア杯の日本代表とオースラリアの意外なスタッツ

興味深い日本代表とオーストラリアのスタッツの比較

日本人の感覚としては、オーストラリアといえば大きな体を生かしたタックルや守備そして高さがあるけど、代わりに日本代表はパスなら勝てるはずと思っていたけど、現実のAFCアジア杯のスタッツは何だか予想外のものだ。少なくとも現時点では。

日本 オーストラリア
パス成功率 86.9% 87.4%
タックル勝率 74.5% 72.4%
1対1の守備勝率 50.3% 47.8%

まず、意外な事にパス成功率がオーストラリアのほうが高い。まあパス回数は日本の方が多いので、パス主体で攻めているのは日本だといえるがパスの成功率自体は僅差なので日本とオーストラリアにそんなに差はない。こういう数値をみると攻撃のスタイルの好みで日豪は分かれているだけなのではないかとも思える。また守備については更に興味深く日本の方がタックルが上手い。しかも1vs1の守備も日本の方が勝率が高い。

アジア杯 日本 vs UAE

日本 1-1 UAE
柴崎岳(後半36分) 得点 マブフート(前半7分)
警告 アル・ハマディ(前半26分)
イスマイール(前半45+3分)
アハメド(延長後半11分)
アブドゥラフマン(延長後半14分)

PK 日本×○○○○× UAE○○×○○○

採点

選手 採点 寸評
GK 川島永嗣 5.0 大事な試合で1失点。PK戦でも止める事は出来ず勝負弱さを見せた。
DF 長友佑都 5.0 スタミナが売りだったが長友が、延長になるとまさかの故障。既に交代枠を使い切っておりかなり試合に影響してしまった。それ以外では守備でも素晴らしい活躍を見せ攻撃参加もしたがDFラインとしては失点を許した。
DF 森重真人 4.5 失点シーンでは裏を取られてしまった。
DF 吉田麻也 5.0 森重と共に、失点シーンでは裏を取られてしまったが、守備ラインからの組み立てでは見るべきプレーもあった。
DF 酒井高徳 5.5 素晴らしい攻撃の組み立てを見せ、守備でも序盤にあったミス以外はほぼ封じ込めた。
MF 遠藤保仁 4.5 この試合では存在感を出す事ができず、パスで違いを生み出す事が出来なかった。スピード不足も悪い意味で目立ってしまった
MF 香川真司 5.5 中二日と思えない運動量と技術で局地的には圧倒したが得点には繋がらなかった。PK戦では最後の一発を外し敗北を決定付けた
MF 長谷部誠 5.0 守備で奮闘したが、開始直後の浮き足立つ場面で押さえこむ事が出来ず失点してしまった。少し動きが重たかったように見えた
FW 本田圭佑 6.0 右サイドはほぼ崩す事ができた、突破してからの形が見えなかった。長友の故障時にカバーにはいるなどリーダーシップも見せた。ただFKも生かすことはできず、PK戦では1発目で外してしまうなどプレースキックの精度の劣化も見えた。
FW 岡崎慎司 5.0 守備では献身的に走ったが肝心の攻撃では消えていた。
FW 乾 貴士 5.0 惜しいシュートを放つなど攻撃では目だったが、点には繋がらなかった
途中出場
FW 武藤嘉紀 5.5 途中出場で入る事で積極的なシュートで流れを変えた
FW 豊田 陽平 4.5 チャンスはあったが生かす事は出来ず途中からは消えていた
FW 柴崎岳 6.5 途中出場で1ゴールし、パスでも違いを作った。更に延長戦ではSBもこなす等圧倒的な存在感を見せた
監督 アギーレ 4.0 中二日と苦しい日程で、先発メンバーを固定してしまい遠藤、長谷部、森重などが明らかに動きが悪く長友などは故障してしまった。こう対策はそれなりに結果を見せたが、試合には敗れ、これにより日本代表はアジア杯をベスト8で終わることになった。これは最近の過去のアジア杯の成績と比較して著しく悪い成績となった。
試合後、アギーレ監督のコメント

相手を全ての面で上回っていた。選手たちは最後まで戦ったし、最後までトライをした。だから今日のチームに対しては誇りを感じる。チャンスは作っていたので後は決めるだけだ。このサッカーを続けていきたい。

https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/558610696791785473

PK戦にもつれ込んでしまったのは選手の選考や、高齢化したメンバーの固定化など選手の責任よりは監督やサッカー協会のリスクを取らない戦わない姿勢が影響したのではないかと思わざるを得ない。もしサブにいたのが宇佐美だったら。もし柴崎をヨルダン戦で使えていたら、もし細貝や山口をヨルダン戦で長谷部の変わりに使えていたら。もし大田を1試合スタメンで起用し長友に休養が与えられていたら、長友はあそこで足を痛めることはなかっただろう。いくつもの可能性の中からアギーレは最も保守的な選択をしたと思う。どんな偉大な選手も、どこかでいつかは若手と交代するのは避けれない。

日本代表の印象

日本の攻撃のチャンスは大量にあったものの決めきる事が出来なかった。豊田を投入するも相変わらずゴール前まで押し込んで敵をゴール前に溜めてしまってからのテレフォンパンチのような攻撃を繰り返す事に。相変わらずカウンターの時にも速度を上げる事が出来ず、常にゆったりとした攻めで緩急の使い分けが出来ない状態に。これは中村俊輔の高齢化で停滞しつつあった南アフリカのW杯前の日本代表によく似たような状況なのではないかと言う印象を受けた。ただし、柴崎や武藤の活躍など連戦していなかった選手はほぼ安定して活躍し、若手の台頭という意味では望ましい面も見られた。日本代表の主力メンバーの年齢的な衰えが厳しい日程と暑さの中での延長戦で露骨に目立ってしまう形となった。

試合の総評

スタッツを一つ二つ

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https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/558598821727334402/photo/1

この試合1試合では判断する事は出来ないが、日本代表の決定率が低いのは何故なのかもう一度考えてみる必要があると思う。

アジアの戦い

アジア杯 日本代表の決勝トーナメントの試合間隔

日本が1位突破としたので決勝トーナメントの出場国が決まったが、日本の試合間隔だけ短くて厳しいと言う話。それぞれの国が決勝トーナメントを勝ち進んだ場合の試合日程はかなり興味深いものに見える。

決勝トーナメント試合間隔

準々決勝 準決勝 決勝 合計
韓国 中4日 中3日 中4日 計11日
豪州 中4日 中4日 中3日 計11日
イラン 中3日 中2日 中4日 計9日
日本 中2日 中3日 中3日 計8日

豪州は開催地でホームなので有利になるのは仕方がないとは思うが、どの国が強く介入しているか一目瞭然なのではないか

選手の休ませ方を考える必要がある

サッカーで負けるならば仕方がないが、怪我や疲労で負けたり、移動が酷くてとかピッチが悪いとかそういう部分で負ける可能性もあるので十分に注意しなければいけない。まあ、日程については選手というより特にサッカー協会が注意するしかない。この大会の試合の組み合わせは日本代表に圧倒的に不利といっていいが、そもそもグループDになってしまっている時点で、選手たちにはどうする事も出来ない。中2日は相当に厳しい戦いで中3日とは全然別物だろう。本来は今気温が高いオーストラリアでは中3日でも休みが少ない気はする。どうやって休むか、どうやって試合後の無駄な時間を短くして休養に入るか取材の受け方や試合後の体のケアなどが非常に大事になりそうだ。ただ、口で言うほど簡単ではなく全く動かなければ回復が速いかというとそうでもないので、この辺は代表の選手というよりコーチの腕の見せ所だろう。また日本サッカー協会も同様に大事だ。サッカー協会が選手の日程や移動手段、食事睡眠を最終的には管理しているわけで、本来は日程が中2日と言う段階でサッカー協会の調整不足といわざるを得ないし、この大会では前の移動手段が格安航空になっていたりとどうも不手際が目立ちすぎている気がする。現状のアジア杯の試合レベルを考えると選手の能力の問題よりも、選手をどうやって休ませるのかマネージメント能力のほうが勝敗を左右するのではないだろうか。

今回も気になる怪我人

この試合でも無理をして出てる岡崎や、顔面をやられた森重などがいたが、既にたったの3試合で怪我人だらけだ

森重岡崎今野

これ以外にも、武藤が蹴られたり、岡崎は頭を足で蹴られるなど、ヨルダン戦でも長谷部の足へのファールは危なかったりと悪質なファールが多い。この大会で日本がもっとも気にしなければいけないのは恐らくこういう部分だと思う。

アジア杯 日本vsヨルダン

日本 ヨルダン
本田圭佑(前半24分)
香川真司(後半37分)
得点
岡崎慎司(後半1分)
乾 貴士(後半4分)
警告 ムスタファ(前半11分)
ユーセフ・モハメド(前半38分)

採点

選手 採点 寸評
GK 川島永嗣 6.0 あまり出番はなかったが無失点に抑えた
DF 長友佑都 5.5 これまでよりも積極的にボールを触り左サイドからの攻撃でも存在感を見せた
DF 森重真人 5.0 守備は良かったが、攻撃の組み立てはミスしてはいけない形でのミスが気になった
DF 吉田麻也 6.0 安定した守備と組み立てで攻守に渡り安定をもたらした
DF 酒井高徳 6.5 ここ数試合の流れと同じく、この試合でも素晴らしい組み立てを見せチーム最高のパス成功率を記録し、ほぼ全てのパスを通した
MF 遠藤保仁 6.0 タッチ数こそ多くなかったが周りを生かすオフザボールの動きが光った
MF 香川真司 7.0 ダメ押しとなる2ゴール目を決め、チーム最多のタッチ数で長谷部と共に中盤のボール回しで貢献
MF 長谷部誠 7.0 ヨルダンの攻撃の目を尽く潰し、組み立て MF の能力の違いで圧倒した
FW 本田圭佑 7.0 先制点を決め試合を安定させた
FW 岡崎慎司 6.5 素晴らしい運動量で攻守に目立ち、本田のゴールにつながるシュートを放った
FW 乾 貴士 6.5 素晴らしい崩しとシュートを見せた
途中出場
FW 武藤 6.0 2点目のアシストを決め少ない時間で結果を残した
MF 5.0 清武 途中出場としては運動量が少なく見せ場を作る事が出来なかった
MF 柴崎 5.0 パスは悪くなかったが、清武同様に強みを見せることは出来なかった
監督 アギーレ 6.5 この試合でグループ突破を決め、新しいフォーメーションでも今の所チームの状態は一定のレベル以上で安定しさせる事に成功している。交代策も当たり交替選手が直後にアシストを記録するなど選手交代の上手さもみせた
試合後、アギーレ監督のコメント

両チームともに勝ちたいと思って戦った試合だった。あとはレフェリーの判断に任せたというところだ。より落ち着いたゲーム展開にするために2点目を取ろうとハーフタイムで話したが、楽な試合ではなかった

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150120-00000532-sanspo-socc

日本代表の印象

この試合で3連勝し、アジア杯のグループリーグを1位で突破する事に成功した。日本代表としては日程を考えると本来サブで勝てないと苦しい試合だったかもしれない。

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https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/557496196013363201/photo/1

試合の総評

アギーレ監督の試合後の話もで少し触れているように感じたが、この試合の審判も不思議な判定を続け厳しいのか緩いのかすらよく分からない展開だった。ヨルダンはアレだけ怪我になりそうな危険なラフなプレーを繰り返したにもかかわらず何故かカードは日本と同じイエローが2枚。更にゴールラインを割っていないように見える乾のゴールや、オフサイドには見えない本田のゴールも取り消しており、全体的に見て日本が 4-0 か 3-0 くらいでもっと楽に勝負できたはずの試合だったと思うた。これにより次の試合は中二日で迎える事になるが、サッカーの試合としてはこれも厳しい日程だ。

スタッツを一つ二つ

今回も酒井の組み立てが思った以上に機能しており、この試合では酒井、長谷部、香川のラインが恐ろしいタッチ数とパス成功率を記録しておりヨルダンを完全に支配した事がよく分かる。得に酒井はレギュラー争いに常に敗れてサブ出ていたが、この試合での出来が安定しているのならば酒井は SB の代表レギュラー争いで一歩リードしたのではないだろうか

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https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/557494359751274496/photo/1

マンオブザマッチは香川

AFC asia cup 2015 ヨルダン戦 MoM
https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/557494111872102401

アジア杯 日本VSイラク

日本 イラク
本田圭佑(前半23分) 得点
清武弘嗣(後半28分)
今野泰幸(後半47分)
警告 アラー・アブドゥル(後半6分)
サラム・シャキル(後半16分)

採点

選手 採点 寸評
GK 川島永嗣 6.0 イラクのシュートは多くはなかったが、2回のセーブで0点でに抑えた。
DF 長友佑都 5.5 体の小ささからくる弱点も感じたが、素晴らしいスタミナで試合終了直前まで攻撃参加ししっかり戻る守備でスプリントをみせるなどカバーした。
DF 森重真人 5.0 守備は安定していたがDFラインのカで見るとボールへの関与が少なく存在感が薄くなっていた。得に左サイドからのパスによる組み立てはあまり成功しているとは言い難い状態だった
DF 吉田麻也 6.0 安定した守備で、攻撃でも惜しいヘディングによるシュート、高いパス精度で組み立てに貢献した
DF 酒井高徳 6.0 前の試合に続き今回もタッチ数が多く日本代表の組み立てのかなりの部分を担った。ここ数試合のDFのパスの起点となっている。
MF 遠藤保仁 7.0 決定的なパスを前半で連発しPKに繋がる形を作り上げた。この試合ではタッチ数も多く試合の流れを作った
MF 香川真司 6.5 遠藤と共に決定的な形をつくり、ボールをもらう側の動きも見せた。
MF 長谷部誠 5.5 守備では機能したがパスミスも目立った。前回に比べるとボールへの関与が少なく、前にボールを運べない状況が多かった
FW 本田圭佑 7.0 PKをもらい自らPKを決めた。ポストやバーに何度も当てるなど決定機を得たがゴールは出来なかった。また、右サイドからの崩しはあまり機能していなかった
FW 岡崎慎司 6.0 献身的な動きで前線を安定させた。香川からのボールに惜しい形もあったが外す。マークがキツイ
FW 乾 貴士 6.5 フィジカルで押される部分はあったがパス成功率は100%を記録
途中出場
MF 今野泰幸 6.5 遠藤の交代として守備的なよさで安定をもたらし遠藤とは違う守備的な良さをみせた。
MF 清武弘嗣 6.0 前戦に入った事で前回に比べ清武のクロスが生きたが、攻撃が右サイドに偏重したためパスがあまりもらえずチームとしては機能しにくかった
監督 アギーレ 5.5 手堅く勝利はした点や、遠藤と今野の交代は以前の交代の仕方に比べてチームが安定するなど後半の時間帯の戦術で改善が見られた。ただ、全体としての完成度は高いとはいえなかった。
試合後、アギーレ監督のコメント

相手がしっかり守ってきて、攻撃に危険な選手を置いていたので、あまり大きな展開のない試合になった。より早い時間に2点目を取っていれば良かったが、それは簡単ではない。

(後半途中から選手を代え、システムを変えた狙いは?)システムは変えていない。中盤の選手たちは頑張っていたが、疲れていたのでリフレッシュしようとした。(練習していたクロスからPKのシーンを迎えたが)今日はクロスを何度かトライして、良い形になって良かった。
(ヨルダン戦は)今日もそうだが、勝ちを狙う。勝ち点を9に伸ばしたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150116-00301146-gekisaka-socc

日本代表の印象

この試合では決定機があった割にはゴールにつながらなかった。チャンスは十分作れているので組み立てに問題があるとは思えないが、最後の所の微妙な差でゴールを逃すシーンが多く。まだチームとしての調整が完璧ではないが、調整で克服できる可能性は十分に感じさせる内容だった。

試合の総評

安定して勝利したが、良くいっても審判が少し笛を吹きやすいタイプだった点で、全体の試合運びには課題を残した印象。特に不用意なロストした時にどうしても時間を作るため、素早くプレスする必要がある。そこでDFが無理をしてしまうとファールになりFKを誘発しやすい。この試合ではFKがイラクの攻撃の一番の脅威になっていた。かといってプレスしないのがいいとは言えない。従って不用意な攻撃のロストでカウンターをされないようにするか、それともリスクをとってでも攻撃に行くのかを相手や審判に応じてもう少し戦略的に選択できれば

スタッツを一つ二つ

前回に続き酒井からの組み立てが多い。今回は長谷部を前回ほど極端には経由せずに直接香川と本田につなげる形を多用した。その為左サイドが少し物足りないものとなったがそこに遠藤が時折見せる鋭いパスで左サイドの切れ味も残す形になった。

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https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/556041650338660352/photo/1

シュート数の割りに攻撃が成功していない点も注目に値するスタッツだろう。

Match Centre  Asian Cup

マンオブザマッチは本田

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https://twitter.com/afcasiancup/status/556042581943922689

アジア杯 日本 vs パレスチナ

日本 4 – 0 パレスチナ
遠藤保仁(前半8分)
岡崎慎司(前半25分)
本田圭佑(前半44分)
吉田麻也(後半4分)
得点
警告 マハジナー(前半46分、後半28分)
アラモール(後半15分)
アル・バハダリ(後半24分)

採点

GK 川島永嗣 6.0 日本の攻撃が多く見せ場は少なかったが、素晴らしい飛び出しでカウンターを防ぐなど無失点に抑えた
DF 長友佑都 6.0 攻撃は物足りなかったが、しっかりと戻り最近の代表の試合ではベストに近い守備を見せた
DF 森重真人 5.5 安定した守備を見せた
DF 酒井高徳 6.0 DFラインで一番のタッチ数。DFからの攻撃の組み立てに貢献したが、一部不用意なミスもあった
DF 吉田麻也 7.0 素晴らしいヘッドで1ゴール。更に守備ではクリーンシートに貢献した
MF 遠藤保仁 7.5 試合の流れを作る先制点を含め完全に試合をコントロールした
MF 香川真司 8.0 2アシストとPKになるファールを取るなど3得点に絡み、決定機をほぼ全て演出した
MF 長谷部誠 7.0 マークの厳しい主要メンバーの間を縫うようにボールをもらいチームNo1のタッチ数を記録、酒井とともにボールを運ぶ裏方を見事にこなした。守備でもカウンターを防ぐ素晴らしい守備と安定したプレーを見せた
FW 本田圭佑 6.5 PKで1ゴール。それ以外も安定したプレーをしたが、本来の本田からすればコンディションは完璧とは言い難い状態だった
FW 岡崎慎司 7.0 素晴らしい反応で1ゴール。前線でボールをロストしにくく攻守にわたってチームを安定させた
FW 乾 貴士 6.5 1点目の遠藤への素晴らしいパスで先制点を演出した
途中出場
FW 武藤嘉紀 5.5 持ち味のドリブルや強引なシュートなどが影を潜めていた
FW 豊田陽平 5.0 交代して入った頃には相手ボールの時間も増えており不運な面もあったがチャンスを生かせなかった
FW 清武弘嗣 5.0 遠藤の代わりとなる事はできなかった。
監督 アギーレ 6.5 大事な初戦で安定したゲームを展開し勝利をもたらした。後半にメンバーを交代させた所まではほぼ完璧な試合展開を見せたが、相手に退場者が出て数的有利を作った後の日本代表はあまり機能しておらず交代メンバーで構成するチームに不安要素を残した。
試合後、アギーレ監督のコメントから気になった所だけ

――満足できるのは勝てたことと勝ち点3を取れたことということだが、攻撃面での連携についてはどうか?(田村修一/フリーランス)

アギーレ 今日のパレスチナはしっかりと守備ができていたと思う。時間帯によって、形がまったく崩れずにプレッシャーをかけながら守ることができていた。インテンシティー(プレー強度)のある、戦えるチームだった。われわれに欠けていたのは、前半はスピードだったかもしれない。後半はミドルシュートだった。1本、2本、アンラッキーなミドルがあったが、そういったところももう少しトレーニングしないといけない。

これは個人的にも思ったけど、パレスチナの守備はけして悪くはなかった。1点目は立ち上がりの隙を突く狡猾なゴールで、2点目は運もあったし、3点目はPKとならなくてもおかしくはなかった。4点目は綺麗なゴールだったが、既に3失点しているパレスチナにどこまで意欲が残っていたかというと怪しい。それにもかかわらず10人になってからも守備をし続けた気持ちの強いチームだという印象。

アギーレ 日本とパレスチナの間に差があったように思われるかもしれないが、難しいゲームだった。彼らは中国やウズベキスタンと親善試合をしているが、中国には引き分け(2014年12月21日、0−0)、ウズベキスタンには1失点しか与えなかった(14年12月13日、0−1)。決して弱いチームではない相手に、これだけのスコアを挙げるのは簡単ではない。

これも日本では勘違いされてそうな点を言及している。備考として最近のパレスチナの試合の結果を調べてみた。FIFAのページの情報では下のように、サウジに0-2、中国に0-0、ウズベキスタンに0-1と最近はそれなりの試合をしている。実はそこまでの弱小国ではない。

パレスチナの最近の試合
パレスチナ 0-2 サウジ
パレスチナ 0-1 ウズベキスタン
パレスチナ 0-0 中国

Palestine- Fixtures and Results - FIFA.com
http://www.fifa.com/associations/association=ple/fixturesresults/gender=m/index.html

日本代表の印象

主に遠藤の経験値に頼った試合展開だったと言う点で遠藤を交代した後半のチーム構成に問題点を感じた。厳しいマークが予想された香川は意外と普通にプレーできており、特に香川はタッチ数も多く攻守に渡り決定的な仕事をし3ゴールに絡むなど違いを見せたが、後半に相手チームが一人退場し数的に有利な場面でも遠藤が交代してしまうとチームが機能しなくなったのは注目に値する。遠藤が抜けると、香川、本田、長谷部、清武などのゲームを作れる選手がいる状態でも試合の流れをどうするかという全体像が失われてしまい無駄に攻め急いだり、攻撃できそうな場面でも溜めてしまうなど、試合の流れとしては悪くなってしまっていた。ここは遠藤の年齢を考えると大きな課題といわざるを得ない。

試合の総評

開始直後の相手チームの運動量を安定したプレーでいなし、ベテランの遠藤が上手く機能し先制点を上げるなどチームの経験値での違いを見せた。メンバーを上手く温存する形で交代している点も今後の体調面では有利に働きそうな試合の流れにする事ができた。ほぼ日本のプランどおりの展開だったのではないだろうか。

スタッツを一つ二つ

今回はAFCアジア杯の公式ページがあるので詳しくスタッツを見る事ができる。まずは試合全体のスタッツを適当に

Sports Centre  OptaSports Centre  Opta(1)Sports Centre  Opta(2)Sports Centre  Opta(3)

特に個人的に興味を引かれたスタッツ

いつもの遠藤ではなく酒井と長谷部のタッチ数が多く、右サイドによる組み立てで試合を作っており、更に前の選手では香川が多く、遠藤が意外と触っていないと言う点はかなり試合を見た直感とは違う数値なのではないだろうか。確かにいつもは遠藤のタッチ数が多いのだがこの試合では少ない。にも拘らず後半遠藤が抜けるとゲーム展開が変わったと言うのは興味深い点だと思う。遠藤の試合コントロールというのは必ずしもボールに触る事だけではなく、オフザボールの動きコミュニケーション、メンタル的なものが相当にあるようだ。

アジア杯:日本 – パレスチナ 戦 の日本代表タッチ数
選手 タッチ数
酒井 101
長谷部 101
香川 86
本田 71
長友 63
遠藤 46
清武 46
29

http://www.afcasiancup.com/match-centre/en/