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日本代表に纏わり付くメディアが適当な事ばかり書くという悲劇

“アジア杯も不完全燃焼 FW岡崎慎司にちらつく「代表引退」”という記事がゲンダイから出ていて、その中で、こう書かれている。

 大きな国際大会になると、平凡なストライカーに成り下がる岡崎。「日本代表を引退してクラブに専念した方がいいかも……」と親しい友人にボヤいているという。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/156845/3

しかし、その後で岡崎自身のブログで「アジアカップを終えて」というタイトルで引退説否定の投稿がされた。

最近出た代表引退をちらつかせるという記事!

僕は一度たりとも言ったことがない!

大抵の記事は放っておくけど、

今回の記事はあまりにも無責任だと思う。

代表に呼ばれる事は名誉な事で

簡単な事ではないと思っている!

すいません急にキレ気味にブログを書いてしまい!

http://ameblo.jp/okazaki-shinji/entry-11984722762.html

いいよいいよ。取材もせずに適当な事を書いている記事には、言いたい事を言ってもファンは岡崎の側についていくから気にせずに書いてもいいと思うんだよ。そして、ファンもはっきりといってやったほうがいいと思うんだよ。「ふざけんな、ゲンダイ」と。特にサッカーの内容とかで選手を批評するくらいならまだしも、引退とかで事実と違う適当な記事は流石に酷すぎる。

ウズベキスタン選手が韓国選手を3発殴り退場

タイで行われた「2015 タイ国王杯(キングカップ)」に参加した U-22 の韓国代表がウズベキスタン代表に3発殴れれるという変わった事件が起きたらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=XW3mZo6QCHw
https://www.youtube.com/watch?v=XW3mZo6QCHw

殴っているシーンしか移っていないので、他のシーンで韓国側も露骨な対応をしていないとは言い切れないが、代表戦で、いつも殴る側といえば大体中国がか韓国というイメージの日本人からするとちょっとした珍事件だと思う。

イビチャ・オシムが何故持ち上げられるのか

イビチャ・オシムが何故持ち上げられるのか、分からない人も多いかもしれないが、個人的には最近色々見ていたら何となく分かった気がする。下にその一例となりそうな日本代表戦での監督別勝率を書いてみる。

監督 勝率[%]
イビチャ・オシム 65
ハンス・オフト 62.96
アルベルト・ザッケローニ 56.36
ジーコ 53.52
加茂 周 52.17
岡田 武史 47.62
フィリップ・トルシエ 46

これは勝率だけなので試合数の問題もあるため一概にオシムが監督して圧倒的に実績があるとは言い難いが、少なくとも勝率は一番高い。試合数も考慮した場合は、ジーコ、ザック、岡田、トルシエ、加茂、この当たりは十分比較できる程度の試合数を戦っている。

日本代表において本田や香川の決定力が低いという風評

日本代表がアジア杯をベスト8で敗退した事で、特にUAE戦のスタッツで日本代表が圧倒しているにも拘らず点が入っていないと言う部分で、FWやMFの決定力不足という話になっている。特に何故かFWでもない本田や香川の決定率が低すぎると言うように言われているが。まず本当に香川や本田は日本代表において決定率が低いMFなのだろうか。そこに酷い誤解があるようにしか思えない。下に試合数が多いザッケローニ時代の日本代表のシュート数と決定率の表を見てもらおう。

ザックジャパンのシュート数ランキングと決定率

ランキング 選手 シュート数 決定率
1 本田 圭佑 162 10.5%
2 岡崎 慎司 129 17.1%
3 香川 真司 123 13.8%
4 長谷部 誠 49 2.0%
5 前田 遼一 46 17.4%
6 遠藤 保仁 45 8.9%
6 長友 佑都 45 0.0%
8 吉田 麻也 29 6.9%
8 ハーフナー マイク 29 13.8%
10 李 忠成 21 9.5%

最近も出場しているFWの選手がかなりシュート数ランキングにランクインしている。決定率の方を見てもらうと分かるように、実はFWを除けばシュートを打つ選手の中では香川の決定率が高く次いで本田となっている。ザック時代から実は香川と本田は控えFWより遥かにシュートを良く打ち、しかも決定率も高い。気になる人の為にゴール数ランキングも一応提示すると

1 岡崎 慎司 22
2 香川 真司 17
2 本田 圭佑 17
4 前田 遼一 8
5 柿谷 曜一朗 5
6 遠藤 保仁 4
6 ハーフナー マイク 4
8 栗原 勇蔵 3
8 大迫 勇也 3
10 吉田 麻也 2

決定率だけでなく、絶対値で見ても香川と本田がFWを押しのけて2位につけている。この実績から行けば、長期的に見れば本田も香川も決定率は低いとは言えずむしろ高いといってもいいだろう。そして、アギーレジャパンではどうなのかという点だが。まだ数試合しかしていないのでスタッツとしては問題があるが、下の表がアギーレジャパンでのシュート数と決定率

アギーレジャパンのシュート数ランキングと決定率

ランキング 選手 シュート数 決定率
1 本田 圭佑 42 9.5%
2 岡崎 慎司 28 7.1%
3 香川 真司 17 5.9%
4 武藤 嘉紀 13 7.7%
5 乾 貴士 12 16.7%
6 柴崎 岳 10 20.0%
7 長谷部 誠 7 0.0%
8 遠藤 保仁 6 33.3%
8 豊田 陽平 6 16.7%
8 清武 弘嗣 6 0.0%

アギーレジャパンではまだ試合数が少ないので少しスタッツとしては信憑性が低い数値になるが、それでもやはり上位3人は岡崎、本田、香川の3人となっている。アギーレジャパンとザックジャパンの違いを考えると本田がより攻撃的にシュートを打つポジションになった事で、決定率は下がったもののシュート数が伸びている。変わりに岡崎や香川といった今までパスの受け手として機能していた選手の決定率が下がっており、本田がシュートを打つ側に回った事でパスの質が落ちたのではないかとおもわざるを得ない面がある。香川に関しては調子を落とすまではマンUでもファーガソン時代は実は香川28.5%という驚異的な決定率を残してる。

解決策はあるのか

スタッツをみると実はシュート力などで話題に良く上がっている武藤よりも、実は乾や柴崎、豊田の方が決定率は高く、ほとんど出場機会のない豊田や柴崎は少ない時間で結果を出していると言う意味では期待が持てる。UAE戦でも豊田の責任にする話などもあったが、この数値をみると決定率という意味で豊田を攻めるのは流石に悪質な批判といってもいい。また、宇佐美という選択も見えてくる。宇佐美はJリーグでも決定率が高く、ここでいい数値を残している豊田よりも決定率なら安定して高い選手。

シュート決定率
豊田 0.1957
大久保 0.1897
宇佐美 0.2273

しかも宇佐美は、まだ22歳である。最近若手が成長していないという日本代表への危機感を煽る報道があるが、個人的には今の若手は武藤だけではなく宇佐美、酒井高徳、柴崎、南野、宮市、など22歳前後としては過去ないほど実績がある選手が溢れかえっている。しかもそれぞれ強い個性を持ってもいる。「若手が育っていない」のではなく、「若手を起用していない」の間違いだろう。心配なのはCBやDMFという守備的な若手が若干人材不足という点はあるかもしれない。遠藤の後継者よりも実は長谷部や今野の後継者の方が若手には少ない気がする。

参考にしたデータ

フットボールラボ
http://www.football-lab.jp/japan/ranking/

日本は前から決定率が低くパスが得意だったのか?

アジア杯で日本代表がベスト8で敗退した事で、特にUAE戦のスタッツをみてシュート決定率が低い事で日本代表は何時まで決定率が低いのかと言う問題提起がされている。特に岡田元日本代表監督がNHKの解説で「いつまで決定力不足とか言ってんだよ。もう10年近く言ってる」と言うような事を話していたのが印象的だった。

だが、しかし決定率は本当に日本の長年の問題だったのだろうか。そもそもの問題として、決定率が個の能力で決まると言うのは神話なのではないか?という事を最近日本代表のスタッツをみていて思ったでのでそれ付いて書いてみる。

南アフリカ大会の日本代表のパス成功率

ベスト16のみならず出場32か国で最下位だったのが「パス成功率」だ。60%という(1477本中890本)という成功率は、FIFAランキングでも日本より大きく劣る北朝鮮(65%)や、ニュージーランド(61%)よりも低かった。ちなみにパス成功率のベスト3は1位スペイン(81%)、2位ブラジル(80%)、3位アルゼンチン(77%)だった。そういうサッカー大国とはまったく質の違うサッカーを、日本はしていたということになる。

http://news.livedoor.com/article/detail/4945949/

ちなみに、具体的なパス成功率ランキングでは

1位 80% スペイン
2位 79% ブラジル
3位 76% アルゼンチン
3位 76% コートジボワール
5位 75% メキシコ

30位 61% ウルグアイ
31位 60% ニュージーランド
32位 59% 日本

という事で、出場国中で日本が最下位という、あまりうれしくない数字を残している。にも関わらず決勝に進出できたのは、”「枠内シュート率」において、驚くことに日本はベスト16のチーム中トップだった(59%)”という事実があるから。前回の南アフリカ大会は世界中がバルサに席捲されパスサッカーが一世を風靡していた時期だが、日本は居合い切りの如く、シュートも少なくパスもあまりつなげないが、ボールを奪ってからのカウンターで相手を一閃する。カウンターサッカーを採用していた。ちなみにカウンターサッカーも世界を席捲していた時期もあるので、けして弱いサッカーというわけではないとは思う。ただ、こういう数字をみると、今の日本代表は前回から日本は随分とサッカーの中身を替えてパスサッカーへと変貌している事がよく分かる。今回は世界が対バルサ戦略を構築してきてちょっと違うもう少しスピード感のあるサッカーが注目され始めている時に、日本はパスサッカーを選ぶという若干世界の果ての島国なためか時流とは少しズレもあるサッカーだとは思う。

メンバーはほぼ同じでもシステムが違えば決定力が変わる

そしてこれが特に個人的には言いたい事だが、南ア大会も本田を中心しとしたチーム。岡崎がストライカーで、遠藤で組み立て吉田や長谷部で守ると言う基本的に今いるメンバーと主軸とほぼ違いはない。あえていうなら香川が増えている程度。しかし枠内シュート率が高い。一体これはどういう事なのか考えてみる必要がある。特に岡崎や本田など現在も主要メンバー出る事を考えると、メンバーの選定によって決定率が決まるのではなく、システムの選定によって決定率が決まるのではないかという疑惑が出てくる。これはもっと多くの事例を検討してみるべき価値があるだろう。実際に比較した時、日本代表の決定率が低いという事が本当に言えるのだろうか。あまり調べもせずにマスコミなどは日本の決定力不足と直ぐ嘆く記事を書いているが、それは戦術面の出来の悪さを選手の個の問題に押し付けてそれで終りとしてしまっている可能性もあるのではないかと。

本田や香川のシュートに関する問題もマスコミでよく言われる問題提起と実際のスタッツには整合性がないと思っているので、それについてもまたいずれ書きたいと思う。

アジア杯の日本代表とオースラリアの意外なスタッツ

興味深い日本代表とオーストラリアのスタッツの比較

日本人の感覚としては、オーストラリアといえば大きな体を生かしたタックルや守備そして高さがあるけど、代わりに日本代表はパスなら勝てるはずと思っていたけど、現実のAFCアジア杯のスタッツは何だか予想外のものだ。少なくとも現時点では。

日本 オーストラリア
パス成功率 86.9% 87.4%
タックル勝率 74.5% 72.4%
1対1の守備勝率 50.3% 47.8%

まず、意外な事にパス成功率がオーストラリアのほうが高い。まあパス回数は日本の方が多いので、パス主体で攻めているのは日本だといえるがパスの成功率自体は僅差なので日本とオーストラリアにそんなに差はない。こういう数値をみると攻撃のスタイルの好みで日豪は分かれているだけなのではないかとも思える。また守備については更に興味深く日本の方がタックルが上手い。しかも1vs1の守備も日本の方が勝率が高い。

アジア杯 日本 vs UAE

日本 1-1 UAE
柴崎岳(後半36分) 得点 マブフート(前半7分)
警告 アル・ハマディ(前半26分)
イスマイール(前半45+3分)
アハメド(延長後半11分)
アブドゥラフマン(延長後半14分)

PK 日本×○○○○× UAE○○×○○○

採点

選手 採点 寸評
GK 川島永嗣 5.0 大事な試合で1失点。PK戦でも止める事は出来ず勝負弱さを見せた。
DF 長友佑都 5.0 スタミナが売りだったが長友が、延長になるとまさかの故障。既に交代枠を使い切っておりかなり試合に影響してしまった。それ以外では守備でも素晴らしい活躍を見せ攻撃参加もしたがDFラインとしては失点を許した。
DF 森重真人 4.5 失点シーンでは裏を取られてしまった。
DF 吉田麻也 5.0 森重と共に、失点シーンでは裏を取られてしまったが、守備ラインからの組み立てでは見るべきプレーもあった。
DF 酒井高徳 5.5 素晴らしい攻撃の組み立てを見せ、守備でも序盤にあったミス以外はほぼ封じ込めた。
MF 遠藤保仁 4.5 この試合では存在感を出す事ができず、パスで違いを生み出す事が出来なかった。スピード不足も悪い意味で目立ってしまった
MF 香川真司 5.5 中二日と思えない運動量と技術で局地的には圧倒したが得点には繋がらなかった。PK戦では最後の一発を外し敗北を決定付けた
MF 長谷部誠 5.0 守備で奮闘したが、開始直後の浮き足立つ場面で押さえこむ事が出来ず失点してしまった。少し動きが重たかったように見えた
FW 本田圭佑 6.0 右サイドはほぼ崩す事ができた、突破してからの形が見えなかった。長友の故障時にカバーにはいるなどリーダーシップも見せた。ただFKも生かすことはできず、PK戦では1発目で外してしまうなどプレースキックの精度の劣化も見えた。
FW 岡崎慎司 5.0 守備では献身的に走ったが肝心の攻撃では消えていた。
FW 乾 貴士 5.0 惜しいシュートを放つなど攻撃では目だったが、点には繋がらなかった
途中出場
FW 武藤嘉紀 5.5 途中出場で入る事で積極的なシュートで流れを変えた
FW 豊田 陽平 4.5 チャンスはあったが生かす事は出来ず途中からは消えていた
FW 柴崎岳 6.5 途中出場で1ゴールし、パスでも違いを作った。更に延長戦ではSBもこなす等圧倒的な存在感を見せた
監督 アギーレ 4.0 中二日と苦しい日程で、先発メンバーを固定してしまい遠藤、長谷部、森重などが明らかに動きが悪く長友などは故障してしまった。こう対策はそれなりに結果を見せたが、試合には敗れ、これにより日本代表はアジア杯をベスト8で終わることになった。これは最近の過去のアジア杯の成績と比較して著しく悪い成績となった。
試合後、アギーレ監督のコメント

相手を全ての面で上回っていた。選手たちは最後まで戦ったし、最後までトライをした。だから今日のチームに対しては誇りを感じる。チャンスは作っていたので後は決めるだけだ。このサッカーを続けていきたい。

https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/558610696791785473

PK戦にもつれ込んでしまったのは選手の選考や、高齢化したメンバーの固定化など選手の責任よりは監督やサッカー協会のリスクを取らない戦わない姿勢が影響したのではないかと思わざるを得ない。もしサブにいたのが宇佐美だったら。もし柴崎をヨルダン戦で使えていたら、もし細貝や山口をヨルダン戦で長谷部の変わりに使えていたら。もし大田を1試合スタメンで起用し長友に休養が与えられていたら、長友はあそこで足を痛めることはなかっただろう。いくつもの可能性の中からアギーレは最も保守的な選択をしたと思う。どんな偉大な選手も、どこかでいつかは若手と交代するのは避けれない。

日本代表の印象

日本の攻撃のチャンスは大量にあったものの決めきる事が出来なかった。豊田を投入するも相変わらずゴール前まで押し込んで敵をゴール前に溜めてしまってからのテレフォンパンチのような攻撃を繰り返す事に。相変わらずカウンターの時にも速度を上げる事が出来ず、常にゆったりとした攻めで緩急の使い分けが出来ない状態に。これは中村俊輔の高齢化で停滞しつつあった南アフリカのW杯前の日本代表によく似たような状況なのではないかと言う印象を受けた。ただし、柴崎や武藤の活躍など連戦していなかった選手はほぼ安定して活躍し、若手の台頭という意味では望ましい面も見られた。日本代表の主力メンバーの年齢的な衰えが厳しい日程と暑さの中での延長戦で露骨に目立ってしまう形となった。

試合の総評

スタッツを一つ二つ

B8CKk1hCIAA4SYJ
https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/558598821727334402/photo/1

この試合1試合では判断する事は出来ないが、日本代表の決定率が低いのは何故なのかもう一度考えてみる必要があると思う。

「平静を保ち、ケーヒルにクロスをあげよ」

tim_cahill

Keep Calm and Cross it to Cahill

第二次世界大戦中のイギリスで作られた「Keep Calm and Carry On」(平静を保ち、普段の生活を続けよ)という標語をもじったもの。「Keep Calm and Carry On」と言う標語自体は古いものだが、2005年頃に再発見されて人気となっていたらしい。昨日のアジア杯のオーストラリアvs中国戦でこれをもじった「keep calm and cross it to cahill」(平静を保ち、ケーヒルにクロスをあげろ)という文字が書かれた旗が得点したケーヒルの交代の時に画面に写っていた。日本だとクロスを多用する戦術をやりたくてもハイボールに強い選手は多くはないが、オーストラリは確かにケーヒルがいるのならばパスを回すより単にクロスをあげればいいと思う。それがイギリスのサッカーの伝統に近いし、しかもアジアにおいては恐らく十分通用する。