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日本 vs イラク オリンピック代表

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日本 2 – 1 イラク
久保裕也(前半26分)
原川力(後半48分
得点 スアド・ナティク・ナジ(前半43分)
南野拓実(後半36分) 警告 ムスタファ・ナディム・アルシャバニ(後半49分)

試合の印象

試合は後半ギリギリまで1-1の同点で並んでおり、最後のロスタイムで日本のゴールで2-1で日本が勝利した。この試合の勝利で日本のリオオリンピック出場が決定した。試合会場はドーハ。決まったのはロスタイム。ドーハと言えば「ドーハの悲劇」だが、逆パターンで見事出場を決めた。

イラクの印象

この大会を通じてみてもイラクは手堅いチームで予選で戦った他のチームと比べても比較的レベルが高かったのではないかと思う(北朝鮮もレベルは高かったかもしれない。)。ただし、イラクはショートパスでつなぐ攻撃を何度も繰り返してくれた。おかげでイラクの強みであったフィジカルがそれほど機能したわけでもなく、このオリンピック代表の日本の強みであるMFのプレスの強さを生かすことができラッキーだった面もある。失点シーンも結局CKからハイボールで失点しており、もし日本のラインを下げられてフィジカルの強さだけを利用してロングボールでクロスを繰り返されたら危なかったのではないだろうか。幸いにもイラクのロングボールは速めにあげた裏へのボールばかりを狙っており日本のラインコントロールによりオフサイドになっており、イラクの放り込みはあまり機能していなかった。

日本代表の印象

ロスタイムで決勝点と技術や戦術以上に勝負強さがあった。今までの日本代表といえば、むしろ逆に圧倒的に攻めているのに最後のギリギリのところで失点して逃すようなメンタル面や勝負弱さが何時もどこかに付きまとっていたように思う。実力は日本の方が上に見えても勝てない事がよくある。この世代の日本は正直言って実力的に相手を圧倒しているわけではないかもしれないが、実力の僅かな差をしっかり勝利につなげる。ある意味妥当な結末。しかし、サッカーは実力差を正確に勝利につなげるのが思う以上に難しい。そういう意味ではこの世代は勝者のメンタリティ的なものがあるのかもしれない。
また守備面でも面白い違いがあった気がする。日本のフル代表はただのハイボールというよりDFの裏へ出すボールに弱い面があるが、このオリンピック代表はラインコントロールはイラクを上回っており、単純に裏に出すだけではほとんど問題がなかった。またSBの攻撃参加が少なめで、選手も守備に堅さのある選手が採用されておりサイドからのクロスを徹底して潰し日本が苦手とする放り込み出のフィジカル勝負対策がされていた点も見逃せない。弱い所で勝負しないための工夫というか、勝てるところで勝負するための一工夫がされているように思う。DMFが非常に硬く、その堅い守備陣の前で中島や南野などが積極的にボールを追い回すため守備陣の硬さをいかして中盤がボールを拾いやすくなっていた。攻撃に関しても前線も武蔵が1人でハイボール勝負したりフィジカルでも負けずに勝負したり出来るので少数での攻撃を可能となっており、強烈なカウンターをされにくく非常に手堅い。今のオリンピック代表は攻撃力が高いわけではないが決定力はそれなりにあるので、少ないチャンスで点を確実に取れている。実力で勝負すれば勝てる相手には不運な負けを呼び込まない構成なのではないだろうか。次の課題はオリンピック本戦になった時に、中盤の実力で押される相手に当たった時に見えてくると思う。

簡単な選手評

この試合も室屋はすごかった。植田もハイボールに強く素晴らしいCBに見えた。久保もしっかり1点とり安定した仕事をした。浅野は相変わらず後半に出ると相手との足の差で決定的な仕事が出来る。前半から出るとひょっとすると後半にここまで差が出ないかもしれないので、スーパーサブとしての方が効果的なのだろう。南野は消えていた時間も長かったが、決勝点になるシーンでは素晴らしい連携を見せた。ボールを持った時には下で組み立てる良いプレーをしていたので、もっと南野へボールが集まらなかったのは残念。まあ主に逆サイドで中島が持ちすぎているせいではないかと思うが・・・。中島はもっとシンプルに出すか苦手なドリブルはやめて戻すか得意に見えるミドルを打つべきだと思う。ドリブルに出るなら回りももっとフォローしないと中島ではキープできない。献身的な守備は良かっただけにボールの持ちすぎがもったいない。DFは岩波、亀川に代えて山中、奈良だったが今回の方が守備は堅かったように思う。この交代をTVの解説では危惧していたが、攻撃面と引き換えに守備で固かったことは良い風に作用したように思える。前回の試合で岩波の守備は正直軽かった。岩波もパスはいいのだが、山中も持ち味は見せた。亀川はその前にコンディション面が悪かった時があったようなので連戦より奈良になったのも分る采配。櫛引はファインセーブで全て許されたけど、それ以外は問題もあったように思う。特に急いだボールのフィードが余り結果に繋がっていなかったばかりかカウンターを誘発しがちだった印象。武蔵も初めの得点の突破が素晴らしかったが失点に絡んでいたので、あの良い突破からのアシストがなければ総合的に見れば落第点になる所だったように思う。足の状態がよくないようだったので仕方がない気はするが、いためた武蔵がいたのにボールをつなぎ続けていたDFラインはとうかと、気づいてなくても後ろから見て見えたはずのGKが声をかけれるシーンだったように思う。

水沼貴史の記事から見える水沼貴史という人物

水沼貴史の記事は水沼貴史を語る

昔は解説者として個人的にそれほど水沼貴史の評価をしていたわけではないが、数年程前に見た水沼貴史が語る日本代表の記事を見て個人的な評価が全く変わった。現在の日本人解説者というと、選手時代の目線を引きずりすぎて自分のやっていたポジションばかりへの偏った解説をする人や、理解していても上手く言語にできない感覚的な解説をする人。スポンサーやサッカー協会やクラブとの大人の関係によって無難な発言しかしない人。そんな人が多すぎる。割と批判的な事が言える重鎮すら現代の戦術的な問題には言及できず精神論を繰り返す有様。

そんな中ブラジルのW杯前に水沼貴史の書いた記事を見た。現状把握から改善点に至るまでセットになっており、素晴らしい見識だった。まあ私が何か言うより見てもらう方が実際読んでもらった方が理解してもらえると思うので、適当に抜き出してみる。

 日本代表が0対1で敗れたベラルーシ代表戦を見ていて、非常に気になるシーンがあった。FWハーフナー・マイク(フィテッセ)が投入された後半40分以降、アルベルト・ザッケローニ監督がタッチライン際で何度も大きなゼスチャーを見せていた点だ。派手なボディーランゲージから伝わってくる選手たちへの指示は明確だった。

「ハーフナーへクロスを上げろ」

 しかし、身長194cmのハーフナーの高さは、最後まで生きることはなかった。というよりも、あえて生かそうとしない周囲の選手たちがいたと表現したほうがいいかもしれない。
 ピッチ上の選手たちのプレーを見ていれば、彼らが何を狙っているのかはテレビ越しでもよく分かった。前線で孤立してしまったハーフナーが気の毒でならない。

 日本代表の選手たちが狙っていたこととは、試合後にMF本田圭佑(CSKAモスクワ)が言及した「新しいこと」に集約されるだろう。ベラルーシ戦では、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)が最終ラインの前あたりの低い位置にまで何度も下がってきていた。
 ときには本田が下がることもあったように、ポジションを流動的にしながら相手の隙を突いて、ボールを受けて、さばいて、あえて相手選手が密集している中央を崩そうという意図だったと思う。

ザッケローニ監督は「飾り物」

 いままでのようにDF長友佑都(インテル)を中心とする左サイドに偏ってばかりいたら、来年のW杯で世界を驚かすことはできない。ならば、いまのうちに新しいことを試そうと選手たちが考えるのは、進歩を促す意味でも決して悪いことではない。

 しかし、現状において危惧されるのは、ザッケローニ監督と選手たちとの間でしっかりとコミュニケーションが取れているのかどうかという点だ。

 監督が新たな方向性を掲げ、その上で選手たちが話し合ってトライしているのならばまだいい。あくまでも私の憶測になるが、試合内容や試合後の選手たちコメントから外に伝わってくるのは、ザッケローニ監督という存在がどうしても「飾り物」に見えてしまう点だ。

ザックと選手の意図が大きくずれている

 ハーフナーの高さを生かそうとしない点だけではない。FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)の相手の裏に抜ける能力が生かされない点も、ザッケローニ監督と選手たちの意図が大きくずれていることを物語っているように思えてならない。

 ベラルーシ戦後には、セレッソのチームメイトであるMF山口螢がこんなコメントを残している。
 

「ボランチの選手がボールを持ったときに、曜一朗君は背後を取るような動き出しを何度もしている」

 一方でMF遠藤保仁(ガンバ大阪)は「裏を取れない」と言っている。原因は何なのか。ただ単に前を見ていないのか。見ているけどタイミングが合わなくて縦パスを出せなかったのか。あるいは、タテ一発で素速く崩すサッカーを志向していないのか。

この先も変わらなければチームは成り立たない

 本田は誰もが認めるリーダーであり、これまでも周囲の高い期待に応えてきたし、ベラルーシ戦後にコメントしていたように、これからもぶれることなく日本代表をけん引しようとするだろう。
 ただ、ぶれない、イコール、意固地にはなってほしくない。現状を見る限り、本田が意固地になりかけていると映ってしまうからこそ、あえてこのようなメッセージを送りたい。
 今回の欧州遠征で内容を伴わない試合が2つも続き、この先も変わらないようであれば、W杯本大会を前にしてチームの体をなさなくなってしまうおそれがあるからだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131019-00000003-wordleafs-socc

記事の中で出てきた「この先も変わらないようであれば、W杯本大会を前にしてチームの体をなさなくなってしまうおそれがあるからだ。」という危惧は見事に的中し、その後のブラジルW杯で日本代表は空中分解する。これを見抜く慧眼だけではなく、サッカーに対する正直な姿勢は特筆すべき物があると思う。私はこれを見て、というかこの記事を1度書いただけでも今後個人的な水沼さんの評価が落ちる事はないと思う。色々なスポーツ記事を見ているけど、こういうレベルに達して予想まで見事に当てている記事は中々ない。そもそも、こういう素晴らしい見識を披露する機会というのはそんなに多くはない。W杯の予見をするのは4年に1度のチャンスしかなく、その時に適切な問題点を見抜き政治的な課題をクリアし実際に記事に出来る解説者が一体何人いるだろうか。これを書いた結果ひょっとしたら水沼さん自身は少々苦境に陥ったかもしれないが、それすらこの記事を輝かせている材料の一つだと思う。

ハーフナーが再び代表へ招集される可能性が高い中、またこの記事が再び意味を持ち出していると思う。

コートジボワール戦で日本は何故失点したのか

特に見てなかったのだけど、ギリシャ戦を前にニュースをみたら Yahoo のコメント欄に香川叩きが多くて驚いた。特に失点に関しての話が多い。コメント欄だけではなく、例えばサッカーファンには毎度おなじみの杉山さんとかも猛烈な香川批判。ただ、この人の場合はあえて突っ込み待ちみたいな気がする。まあ、香川はエースなんだからしっかりして欲しいという意味では言いたい意味は分かるけど。

どう分析されているか

前置きはこのくらいで肝心の失点がどのように分析されているか

香川真司 3.5

選手の中では最大の戦犯。本田が満足な状態になければ、次にチームをリードするのは香川であるはず。2人は日本の両エースであるはずだが、香川にはその自覚がないようだ。何よりプレイにひたむきさがない。で、肝心なところで大きなミスを犯す。同点ゴールを奪われたのは香川のミスの直後。彼の軽率なプレイが、相手を勢いづかせる結果になった。奪われたら即、追いかける。この基本ができていない選手がピッチに立っていると、見る側の応援精神は失せるのだ。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sugiyamashigeki/20140618-00036512/

まずは、一番の突込み所としては、”同点ゴールを奪われたのは香川のミスの直後”というコメント。では実際の1点目の失点シーンを見てみよう。

まず出てくるのは何故か本田なんだけど、基本的な流れは

  • 香川→本田→ロスト

おや?と思うのが、まずこれは香川のミスなのか?という所。そう、どちらかといえば本田のミスに見える。ちなみに明確な香川のミスのシーンもあるのだけど、それは失点のシーンではなく、その少し前の時間におきている。それも似たような形でロストしたあとクロスが上がりゴール前まで行くが失点にはなってない。試合動画をスキップしながらみてて、このシーンと失点シーンを間違えでもしたのではないか。

1失点目の問題は何だったのか

では本当の失点シーンは何が問題だったのか。この1失点目は本田が奪われた後も本田がチェイスし香川も寄せてカウンターを遅らせている。そこで右にだされているので裏に居る選手には遠藤か長友がよるしかないが、長友はもう1人上がっている選手についているので、遠藤かFWであまっていた大迫がカバーに回るしかない。遠藤は後半出場でまだ走れる時間だったし、中央は山口が抑えていた事を考えると回されたらダッシュで寄せなければいけないシーンだったが、遠藤の守備はいつもスピードが出ない感じで何度も裏の長友の所までいってしまう事を考えれば今更という話かもしれないが。

大迫の交代のタイミング

そして次に問題なのがFWの大迫。前からのプレスが必須の日本ではFWのプレスが大事だが、取りに行くタイミングが合わずにスタミナがなくなってしまっていた。この3分後に大迫は交代するが、ザックは既に大久保の準備をしていたので、このタイミングがもう少し速ければフレッシュな大久保が守備に回れた可能性もあり、こういう細かい所は明確にザックの采配ミスといっていいんじゃないかと思う。ただ、大きい流れはザッケローニは読めていたからこそ大久保を準備していたわけで、本当に一瞬のタイミングの差ではある。

2失点目の問題は何だったのか

2失点目は、ロングボールのボールを拾い、そこから中に楔でいれてから外にはたくという、かなり綺麗なボールを回しをコートジボワールが見せる。一度くさびで中に入れてから外にはたいた為マークが遅れた。ここは確かに香川の守備だ。さらに中にコートジボワールが4人も走りこんでおり守備の数でも有利ではなかった。問題はやはりロングボールを日本が競り勝ったにもかかわらず、遠藤長友はセカンドボールが拾えず、その後寄せた遠藤が軽く交わされ、釣られていた香川もクロスに寄せきれずにあげられる。そして中に低目のボールで入ってきた所で長友がニアの選手をフリーにしており失点。致命的なミスが3つも続いた形での失点といえると思う。

失点シーンを上から見れる動画

2失点目で一番直接的な問題は時間的猶予があったのに中で相手をフリーにしていた長友かCBだと思う。次がボランチで守備ができない遠藤と、振り切られている香川。香川の守備を問題視するなら1失点目ではなく、むしろこの2失点目ではないだろうか。ただ、アベレージで見た時に香川の守備は突出して良い数字を残しているので本質的な能力不足だとは思わない。一瞬の油断だろう。遠藤の方は選手として守備がそれほど上手くないので遠藤を入れる以上、この問題は常に付きまとうと考えなければいけない。

全体のハイライト


http://www.nicovideo.jp/watch/sm23798175