「ペップ」タグアーカイブ

ガリーネビルが分析するバルサのDFライン

個人的にプレミアの解説で見かけるなかではガリーネビルが一番気に入っているのだけど、まあ下の動画を見てもらいたい。ガリーネビルが解説するバルセロナのDFラインについての動画だが、前線からのハイプレスという発想と、DFラインの取る位置についての動画。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm22300189

少し前にバイエルンの話では、バイエルンが守備ラインの裏をGKのノイアーが大きくカバーしているという話を書いた。ペップはバルセロナとバイエルンで同じ事をやっているように思われがちだが、基本構想は同じでも良く見ると実はかなりの違いがあるように思う。ガリーネビルが解説するバルサ時代は今からすると少し前の試合で、今のバイエルンのやり方と完全に同じというわけでもない。それに昔のバルサ時代のペップはそんなにGKが前に行っていた記憶はない。今のバイエルンではノイアーの役割がもう少し大きくGKの動きが少し違っているように思う。そういう意味では実は変化している。

ちなみに、これを見た所ではドルトムントの攻撃と比較がされていた。トゥヘルが監督となったドルトムントの攻撃ではかなり類似点があるのではないかと。そのドルトムントの攻撃はこちら

 以前からドルトムントはCBのフンメルスの高いパス能力に攻撃が依存していた部分があるので、その辺はトゥヘルになったから極端に変化したわけではない。ただし、トゥヘルはプレスやボール回しという部分で、確かにクロップに比べてよりバルセロナに近い部分がある。クロップ時代の場合、怪我の選手が多かった事も影響していると思うが、GKやCBからのロングボールで一発という攻撃も多用していた。初期のクロップはレヴァンドロフスキにボールを当ててポストプレーから素早い攻撃を主体としていた。これはレヴァに当てたボールがこぼれて敵に渡る事も想定した攻撃で、こぼれた所にゲーゲンプレスで詰め寄る前提となっていてブンデスを席巻していた。クロップ後期のドルではスピードのある選手の裏への飛び出しをDFラインからやっており、これにプレスとショートカウンターで素早く裏を突く攻撃を組み合わせている。全体に速くてリスキーな戦術だが破壊力はあるというもの。本人が自分の戦術をロックだといっていたのもプレーを見ると割りと納得できる部分がある。

 トゥヘルは、ロングボールは少なくもう少し後ろからショートパスで組み立てている。クロップ時代には相手に引かれてしまうと苦戦したが、トゥヘルの場合は戦術的に相手をひきつける事で裏のスペースを作る発想が見られる。

トゥヘルとクロップの類似点

トゥヘルがマインツでやって見せていたのはゲーゲンプレスを進化させたような守備だった。そういう意味ではトゥヘルとクロップには類似点がある。トゥヘルが元々ゲーゲンプレスをしていたクロップの後任となる脈絡も十分ある。全く新規性だけで選ばれているわけではないと思う。

ブラジルvsドイツ 2014W杯

ドイツのショートパスを主体としたカウンターがブラジルを切り裂く

ブラジル 1 vs 7 ドイツ
0 (前半) 5
1 (後半) 2
ブラジル ドイツ
得点 オスカル (後半45分) トーマス ミュラー (前半11分)
ミロスラフ クローゼ (前半23分)
トニ クロース (前半24分)
トニ クロース (前半26分)
サミ ケディラ (前半29分)
アンドレ シュールレ (後半24分)
アンドレ シュールレ (後半34分)
警告 ダンテ (後半23分)
ブラジル ドイツ
18 シュート 14
14 直接FK 11
0 間接FK 3
7 CK 5
0 オフサイド 3
51 ボール支配率 49

http://brazil2014.yahoo.co.jp/game/result/?gid=2014070801

2014年ブラジルW杯で、恐らくもっとも衝撃的な試合となったブラジルvsドイツ戦。実は試合前情報でもブラジル人たちはネイマールの怪我とチアゴシウバが欠場により、始まる前から苦戦するだろうと予想をしており半ば敗戦ムードすら漂っていたという部分がある。そしてその攻守の要がかけた代償は思った以上に大きかったようだ。試合の総評は、すでに語りつくされてそうだし、特にいう事がないのでこんな所で。

スタッツを一つ

この試合で気になったスタッツを一つ二つ。あちこちのニュースやブログなどで、ドイツのメンバーはバイエルンの選手が多く、パスサッカーが炸裂して買ったのでペップの影響が大きい。というような話が良く出ているが正直、スタッツは全くそうではない。下に両チームのパス回数とポゼッションを載せる

ブラジル ドイツ
381 パス成功回数 428
86% パス成功率 84%
47% ポゼッション 53%

http://www.goal.com/jp/match/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB-vs-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84/1220138/stats?ICID=MP_MS_4

パス回数はドイツが多いが、パス成功率ではドイツが負けており、ポゼッションもそれほど差がない。これはどういう事かといえば、ドイツは攻撃時に早く攻めたという事だ。ショートパスは主体としたが、バルサやペップ流にポゼッションを高める為のボールキープは選択していない。逆にこのパス回数と試合内容としてはポゼッションが低すぎるので、ドイツはボールを取ったらすぐにショートパスを主体としたカウンターで攻めあがったといえると思う。これはバルサ流の兎に角ボール保持率を高めるやり方のサッカーとはとても呼べないし、カウンターだからといっても一発のスルーパスやロングパスでCR7が裏へ出てドリブルで切り裂くレアルのような今良く見るカウンターサッカーとも別のスタイルだといっていい。持ち上がる時に細かく繋ぐショートパス主体のカウンターチームという組み合わせは、結果的に見てみると意外と新しいサッカーだといわざるを得ない。