日本代表がアジア杯をベスト8で敗退した事で、特にUAE戦のスタッツで日本代表が圧倒しているにも拘らず点が入っていないと言う部分で、FWやMFの決定力不足という話になっている。特に何故かFWでもない本田や香川の決定率が低すぎると言うように言われているが。まず本当に香川や本田は日本代表において決定率が低いMFなのだろうか。そこに酷い誤解があるようにしか思えない。下に試合数が多いザッケローニ時代の日本代表のシュート数と決定率の表を見てもらおう。
ザックジャパンのシュート数ランキングと決定率
ランキング | 選手 | シュート数 | 決定率 |
1 | 本田 圭佑 | 162 | 10.5% |
2 | 岡崎 慎司 | 129 | 17.1% |
3 | 香川 真司 | 123 | 13.8% |
4 | 長谷部 誠 | 49 | 2.0% |
5 | 前田 遼一 | 46 | 17.4% |
6 | 遠藤 保仁 | 45 | 8.9% |
6 | 長友 佑都 | 45 | 0.0% |
8 | 吉田 麻也 | 29 | 6.9% |
8 | ハーフナー マイク | 29 | 13.8% |
10 | 李 忠成 | 21 | 9.5% |
最近も出場しているFWの選手がかなりシュート数ランキングにランクインしている。決定率の方を見てもらうと分かるように、実はFWを除けばシュートを打つ選手の中では香川の決定率が高く次いで本田となっている。ザック時代から実は香川と本田は控えFWより遥かにシュートを良く打ち、しかも決定率も高い。気になる人の為にゴール数ランキングも一応提示すると
1 | 岡崎 慎司 | 22 |
2 | 香川 真司 | 17 |
2 | 本田 圭佑 | 17 |
4 | 前田 遼一 | 8 |
5 | 柿谷 曜一朗 | 5 |
6 | 遠藤 保仁 | 4 |
6 | ハーフナー マイク | 4 |
8 | 栗原 勇蔵 | 3 |
8 | 大迫 勇也 | 3 |
10 | 吉田 麻也 | 2 |
決定率だけでなく、絶対値で見ても香川と本田がFWを押しのけて2位につけている。この実績から行けば、長期的に見れば本田も香川も決定率は低いとは言えずむしろ高いといってもいいだろう。そして、アギーレジャパンではどうなのかという点だが。まだ数試合しかしていないのでスタッツとしては問題があるが、下の表がアギーレジャパンでのシュート数と決定率
アギーレジャパンのシュート数ランキングと決定率
ランキング | 選手 | シュート数 | 決定率 |
1 | 本田 圭佑 | 42 | 9.5% |
2 | 岡崎 慎司 | 28 | 7.1% |
3 | 香川 真司 | 17 | 5.9% |
4 | 武藤 嘉紀 | 13 | 7.7% |
5 | 乾 貴士 | 12 | 16.7% |
6 | 柴崎 岳 | 10 | 20.0% |
7 | 長谷部 誠 | 7 | 0.0% |
8 | 遠藤 保仁 | 6 | 33.3% |
8 | 豊田 陽平 | 6 | 16.7% |
8 | 清武 弘嗣 | 6 | 0.0% |
アギーレジャパンではまだ試合数が少ないので少しスタッツとしては信憑性が低い数値になるが、それでもやはり上位3人は岡崎、本田、香川の3人となっている。アギーレジャパンとザックジャパンの違いを考えると本田がより攻撃的にシュートを打つポジションになった事で、決定率は下がったもののシュート数が伸びている。変わりに岡崎や香川といった今までパスの受け手として機能していた選手の決定率が下がっており、本田がシュートを打つ側に回った事でパスの質が落ちたのではないかとおもわざるを得ない面がある。香川に関しては調子を落とすまではマンUでもファーガソン時代は実は香川28.5%という驚異的な決定率を残してる。
解決策はあるのか
スタッツをみると実はシュート力などで話題に良く上がっている武藤よりも、実は乾や柴崎、豊田の方が決定率は高く、ほとんど出場機会のない豊田や柴崎は少ない時間で結果を出していると言う意味では期待が持てる。UAE戦でも豊田の責任にする話などもあったが、この数値をみると決定率という意味で豊田を攻めるのは流石に悪質な批判といってもいい。また、宇佐美という選択も見えてくる。宇佐美はJリーグでも決定率が高く、ここでいい数値を残している豊田よりも決定率なら安定して高い選手。
シュート決定率 | |
豊田 | 0.1957 |
大久保 | 0.1897 |
宇佐美 | 0.2273 |
しかも宇佐美は、まだ22歳である。最近若手が成長していないという日本代表への危機感を煽る報道があるが、個人的には今の若手は武藤だけではなく宇佐美、酒井高徳、柴崎、南野、宮市、など22歳前後としては過去ないほど実績がある選手が溢れかえっている。しかもそれぞれ強い個性を持ってもいる。「若手が育っていない」のではなく、「若手を起用していない」の間違いだろう。心配なのはCBやDMFという守備的な若手が若干人材不足という点はあるかもしれない。遠藤の後継者よりも実は長谷部や今野の後継者の方が若手には少ない気がする。
参考にしたデータ
フットボールラボ
http://www.football-lab.jp/japan/ranking/