カンボジア | 0-2 | 日本 |
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得点 | オウンゴール(後半6分) 本田圭佑(後半45分) |
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ソス・スハナ(後半34分) | 警告 | 槙野智章(前半30分) 山口蛍(後半12分) |
採点
選手 | 採点 | 寸評 | |
GK | 西川周作 | 6.0 | ほぼプレーする機会はなかったが無失点に抑えて代表の連続無失点記録を伸ばした |
DF | 長友佑都 | 5.5 | 後半はスタミナの差で攻撃の見せ場を作ったが、両SBが同時にあがり、SBの裏が攻撃されるというパターンもいつもどおり。攻撃時のリスク管理には課題を残した |
DF | 槙野智章 | 5.5 | ドリブルで切れ込まれる場面もあったものの、ポジション取り自体は至って手堅く、自己犠牲的な守備で重要な場面を何度も止めた。 |
DF | 藤春廣輝 | 5.5 | 縦への速さは見せたが、長友同様守備でのポジション取りで危ない所も |
DF | 吉田麻也 | 4.5 | 珍プレーと好プレーの繰り返しで激しい波があった。カンボジア相手という事を考慮すると安定性に問題があった |
MF | 遠藤航 | 4.5 | 守備が崩れたわけではなかったが、攻撃の組み立てでは違いを作ることが出来ず見せ場はあまりなかった |
MF | 香川真司 | 5.5 | 技術は見せていたが、連携が何度も失敗しておりチームとの意思疎通に課題が残った |
MF | 山口蛍 | 5.0 | 守備では重要なシーンは押さえたが、柏木が投入されるまでは明らかに攻撃が繋がらなかった |
FW | 原口元気 | 5.5 | ドリブルでの突破では明らかに違いを見せたが、ゴールには繋がらずFWとしては物足りない |
FW | 岡崎慎司 | 5.5 | ゴールへの嗅覚と飛び出しは良くオウンゴールを誘ったが、自らの得点はできずPKまで失敗し結果に繋がらなかった |
FW | 宇佐美貴史 | 4.0 | 縦へ抜くプレーもクロスも特に見せ場はなく、運動量の少なさなど悪い点が目立った。 |
MF | 柏木陽介 | 7.0 | 途中出場で試合の流れを変えた。セットプレーでも高い精度をみせた。 |
FW | 本田圭佑 | 6.5 | サイドで出場したが中に入りCFの動きをみせ、相手との身長差を生かし空中戦を制して1ゴール。サイドとしては問題もあったが本田の得点力が生きた |
MF | 南野拓実 | – | 出場時間が短すぎて採点不能。 |
監督 | ハリルホジッチ | 5.5 | 最低限の目標であった勝利とサブのメンバーを試すことが出来た。カンボジアというアジアでも強いとはいえないチーム相手を利用してスタメンの選手を大幅に交代をした所は良かったが、あまり機能せず戦術的には課題を残した。またセットプレーも相変わらずで、セットプレーからの得点も柏木のクロスの精度によるオウンゴールで狙い通りとは言いがたかった。流れからの崩しはほぼ成功しておらず、クロスやロングボールで攻撃する形が多く見られたが1得点しか入らなかった。クロスやセットプレーが決まらない明らかな理由のひとつはターゲットになる高さで勝負するFWが1人もいなかった事と無関係ではないだろう。クロスを挙げる戦術を選ぶのなら高さがありポストプレーが出来る選手を入れていないのは良くわからない。 |
試合後、ハリルホジッチ監督のコメント
「勝利はした。しかし、前半には全く満足していない。後半は良くなったが、2点しか取れなかった」
「試合には満足していない。何人かの選手には怒っている」
日本代表の印象
5バックで固めた相手に攻めあぐね前半はノーゴール。後半も柏木を投入して流れが変わるまでは効果的に相手の裏を付く事ができなかった。ほぼ空中戦に勝てる事を生かし、本田投入後は低身長の相手DFにクロスを繰り返し本田が競り勝ってゴール。高さを生かした攻撃を主体とするとしては現代表にはタワータイプのFWが不足しており結果的に本田のフィジカルを生かしてCFの代用で得点を決めるという形になった。
明らかに問題があるサッカー協会のコンディション管理
個人的な意見としてはメンバーを入れ替えて実験した事事態は良かったと思う。むしろW杯予選でも最終予選ですらないわけで全ての試合でサブや試したことがない選手を使っても3点くらいはとって勝つのが普通だと思うので。親善試合に至ってはサブどころか久保や南野といった若手やJリーグの選手で調整すればいいのではないかと思う。ザックジャパンで起きたメンバー固定によるコンディションの極端な悪化を考えれば、無茶な日程は出来る限り避けるべきだろう。
今回も実は怪我人が出ている。無理な日程で投入されていた清武が右第5中足骨を骨折。クラブでは中心選手で降格争いの大事な時期での怪我となってしまい非常に残念。前回のシンガポール戦で活躍した金崎夢生も打撲、武藤も調子が悪い。前回のシンガポール戦の感想でも書いたが、長谷部は頭をやられ出血していたし森重も膝への危険なプレーがあり、あの試合のラフプレーは酷かったので本来はサッカー協会がシンガポールに抗議して当然のレベルだと思う。この試合も長谷部や森重を入れ替えたのはコンディション面の問題が含まれていたのではないだろうか。
試合の総評
試合は順当に勝ったが、一言で言うとある意味異常な試合だった。W杯公式の予選にもかかわらずボールが謎のベトナム製(一応FIFA公認ではあったらしい)、ピッチは人工芝でキックするとしたからゴムチップが舞い上がり、水もまかれておらずボールがやけに止まる。そして31度という高温。一見サッカーのようではあったが、野球の試合にテニスボールを使ったような不思議さがあった。正直W杯の予選としては競技以前の条件がかなり異なっていたことは事実だろう。
スタッツを一つ二つ
追記:私は前回こう書いた。そして今回もいいたい放題書く
自分で書くのもなんだけど、最近以前書いた事と次の試合で起きた事に妙に因果関係があるような気がしているので、あえて前回何を書いていたかについて、ちょっと言及したいと思う。
MF | 長谷部誠 | 7.0 | 攻撃の組み立て、決定的な場面での守備と攻守に目立った。相手に削られ出血もしたが苦にせず中盤を制圧した。この試合のMoM候補 |
FW | 本田圭佑 | 6.5 | サイドというより相変わらずゴール前の動きで違いを作り、2点目のゴールでは相変わらず高い得点能力を見せた。スタミナが持たずに後半は足が止まり消えてしまった。 |
相変わらず続くDMFの後継者問題
この試合では長谷部がいない時にDMFがあまりに組み立てれない問題が露呈していた。柏木が入ったことで一気にボールが回るようになった。これはこの試合でもDMFの質にチームが大きく依存しているということだし、遠藤山口の極端な展開力のなさとも言える。そして、あえていいたいのは遠藤が特別山口より劣ったとは思えないという点。遠藤も山口もどちらもDMFだったので組み合わせの関係上バランスが悪かったというだけで、恐らくあの時点で遠藤の変わりに山口が交代して柏木が出ても流れは変わったのではないかと思う。そして香川についても同様で、いいボールがこない状態で香川の良し悪しを語るのはそもそも難しい。むしろドルトムントでアレだけのプレーをしている香川があそこまで消えるという事は回りの動きがどれだけ酷いのか考えて見なければいけない。
相変わらず決定力は捨てがたい本田の場所
そして本田だがこの試合でもやはりCFのような決定力がいい影響を与えていた、逆に言うとサイドからの崩しという意味ではあまり目立たなかったので、この傾向は前回から変わっていないといえるだろう。サイドとしての本田にはこの構成で望む場合大いに疑問でCF本田にした方が初めから放り込みにも強くてあっさりと結果が出たのではないかと思う。ただし、CFで放り込みから頭で決めるだけの役割ならばハーフナーや豊田の方が本田より向いている。この活躍だけで本田が磐石だとは全く思えない。むしろ放り込みの展開にするしか点が入らないのならば余計にCFに専門のタワーを入れて置くべきで、そうなると本田にCFの場所はない。それかタワーを置いて右サイドからのクロスマシーンに本田がなれるかというあたりだが、それだと恐らく清武のクロス精度に勝てないので、やっぱり本田の場所がない。あえて本田が生きそうな形といえば、2トップにでもして、タワーの補助も出来てタワーもできてパスもできるし決定力も低くないという器用なFWとでもしない限り本田の場所が見つけずらいという印象が強まった。
相変わらず放り込みしたいのにターゲットのいないSBとザルなSBの守備
SBに関しては個人的には相手のレベルを考えれば本来は守備のミスが何度かあったという事や縦に抜けない時間帯があったこと自体がありえないといわざるをえない。縦に抜けないのならばあがる意味が良くわからなくなってくるし、あがってもシュートが全く武器にならないのではクロスを上げるしかないが、クロス精度が高いとは言えずCFにタワーがいないのだから本田が真ん中に入らないと点にならないのは当たり前。そしてこの戦術をつかうなら本田よりも完全にタワーとして機能するハーフナーや豊田を中に入れて本田や清武というクロス精度が高い選手にクロスを入れさせれば、放り込むだけで圧倒できたのではないかと思う。
ちなみに、この試合でも何故かCBの問題として色々いわれているが、個人的にはこの試合CBもそれほどよくはなかったが、それ以上に両方のSBが同時にあがりすぎて裏がザルになっている問題の方が遥かに目に付いた。守備に関してはCBだけの責任というよりSBの戦術的問題が凄く大きいと思う。