南米(CONMEBOL) | 欧州(UEFA) | アフリカ(CAF) | アジア(AFC) | 北中米カリブ海(CONCACAF) | オセアニア(OFC) |
4.5 | 13 + 開催国 | 5 | 4.5 | 3.5 | 0.5 |
現在のワールドカップの割当が上の表になる。このワールドカップの出場枠は、最近はアジアの出場枠が増える傾向にあり、これがおかしいとか色々言われているが本当におかしいのだろうか。枠が多いのか少ないのかは少なくともいくつかの指標があると思う。1つは「出場チーム数に対しての出場枠」つまり競争倍率。そして「地域ごとの優勝回数」。それぞれを見て比較してみたいと思う。
競争倍率
地域 | 加盟国数 | 出場倍率 |
アフリカ | 56 | 11.2 |
欧州 | 55 | 4.23 |
アジア | 47 | 10.44 |
北中米 | 41 | 11.71* |
オセアニア | 14 | 28 |
南米 | 10 | 2.22 |
*北中米は実は参加国の中に小さいカリブの島がカリブ海サッカー連合(CFU)加盟国として1カ国扱い(ケイマン諸島みたいな小さな国も1カ国扱い)になっている。実際にサッカーができる実質的な参加国は本当はもの凄く少ない。
勝率が高い欧州や南米は、参加国に対して出場枠は他の地域の何倍も割り当てられている。1国あたり枠では圧倒的。アジアと欧州を比較でも2.5倍近くの競争倍率に差があり、南米との比較では4.5倍以上の開きがある。これを見るとアジアの枠の拡大というのも割とうなずける話になってくる。また、勝率や競争倍率を見るとでは南米が優遇されているようにも見えるが、過去の優勝回数を見ると全然イメージは変わる。
地域ごとの優勝回数
ブラジル | 5 | 2002,1994,1970,1962,1958 | ||||||
イタリア | 4 | 2006,1982,1938,1934 | ||||||
西ドイツ | 3 | 1990,1974,1954 | ||||||
アルゼンチン | 2 | 1986,1978 | ||||||
ウルグアイ | 2 | 1950,1930 | ||||||
スペイン | 1 | 2010 | ||||||
フランス | 1 | 1998 | ||||||
イングランド | 1 | 1966 |
欧州 | 10 |
南米 | 9 |
大陸別優勝回数を見ると南米のイメージも全然違って見える。55ヵ国も参加している欧州が10回優勝。それに比べて、たった10ヵ国でしかない南米が9回も優勝しているわけで、一番不遇なのは南米にも見えてくる。W杯の歴史の半分近くの優勝回数があるのに、同じような優勝回数の欧州に比べて出場枠は3分の1しかないのだ。
付け加えるとするなら
この視点に更に付け加えるとするなら。人口比や面積比などもあると思う。参加している地域の人口で換算して出場国数が平等になるようにすると言うパターン。これはあまり加盟国の数が多くはない南米などでは、人口比にして算出するとより公平な競争倍率がえられると言う点で優れていると思う。大きな国が広い面積で占めていて国の数が少ない地域や、小国ばかりで実際にはほとんど競技に参加してないのに国の数ばかり増えている地域などでは重要な視点だろう。
面積比については、そもそも大陸の大きさが全然違うので、特に欧州だけ本来は異常に小さい地域の話であり、他の場所の半分以下の大きさしかない。アジアと比較すると5分の1近い小ささなのだ。この小さな地域にある沢山の小国がひしめく地域と北米みたいにほとんどアメリカとカナダしかない地域を比較すれば出場枠はおかしな話になるので、純粋に面積比で換算するという考え方もあると思う。
個人的に思ったこと
一番統計的に見れる勝率と参加国の競争倍率の関係でいえば、アジアの増加は割りと当然の流れという気もする。しかも最近のアジアの勝率は伸びている傾向もある。しかも商業的にもアジアからは沢山の収入が見込める。金だけ取って参加枠が少ないというのは商売としての不公平感も出てくる。中国だけではなく東南アジア、中東でのサッカー熱は加熱する一方であり資金も潤沢だ。
色々と視点を変え得ることで、ヨーロッパ人の言うように欧州の出場枠は本当に少ないのかは結構疑問があるなと思った。むしろ印象としては競争倍率や優勝回数なども見ると欧州は多すぎるとも見える。しかし勝率が高いので減らすのは不自然。そこで出場枠の拡大となるのは到って自然な流れだと思う。
どうしたら良いと思うか
個人的には地域の区切り方で別の問題があるように思う。そもそもアジアは西アジアと東アジアでは地域が違いすぎる。まず遠い。予選も移動が多く大変。更に近年成長が目覚ましいのは東アジアであり西アジアは停滞している。勝率などももっと地域を限定すれば極端に差がでてくるだろう。
本来それなりに強い東欧やトルコやギリシャみたいな地域はウズベキスタンのように中東か中央アジアあたりと一緒の枠の方が地域的にも近くて自然なのではないだろうか。しかも結果的に欧州地域の出場枠を伸ばすことにもなるし、元々東欧や中央アジア中東の距離的な近さや文化的な類似性は東アジアと西アジアに比べたら問題にならないほど小さい。
そして逆に東アジアは別枠にすれば移動距離も短く安定した試合が望める。観客の増加も見込める上に、しかも試合時間が同じ少ない時差の中に含まれればテレビの放映や視聴者の増加にもつながる。そもそもアジアの勝率は東アジアの日本韓国を中心に上昇しており、そこにオーストラリアも加わり最近成長が著しいASEANも含まれるので有力な国が少なすぎたり競争が少なすぎるとは思えない。将来的には、サッカー熱が過熱しているタイやベトナム、マレーシアなどに加えて、中国やインドネシアなどの人口が多い国が含まれているので、これでもまだ過当競争の地域になることはほぼ間違いないと思う。
あとは本質的にはプレーオフで出場枠から漏れた国の中から上位の国を戦わせる出場枠をある程度の数作れば結構欧州の枠も増えるのではないだろうか。
過去のW杯出場枠の変遷
回 | 予選 | 欧州 | アフリカ | アジア | オセアニア | 北中米カリブ海 | 南米 | 合計 |
13 | メキシコ 1986 | 12.5+C | 2 | 2 | 0.5 | 1+H | 4 | 24 |
14 | イタリア 1990 | 13+H | 2 | 2 | 0.5 | 2 | 2.5+C | 24 |
15 | アメリカ合衆国 1994 | 12+C | 3 | 2 | 0.25 | 1.25+H | 3.5 | 24 |
16 | フランス 1998 | 14+H | 5 | 3.5 | 0.5 | 3 | 4+C | 32 |
17 | 日本韓国 2002 | 13.5+C | 5 | 2.5+H+H | 0.5 | 3 | 4.5 | 32 |
18 | ドイツ 2006 | 13+H | 5 | 4.5 | 0.5 | 3.5 | 4.5 | 32 |
19 | 南アフリカ共和国 2010 | 13 | 5+H | 4.5 | 0.5 | 3.5 | 4.5 | 32 |
20 | ブラジル 2014 | 13 | 5 | 4.5 | 0.5 | 3.5 | 4.5+H | 32 |
21 | ロシア 2018 | 13+H | 5 | 4.5 | 0.5 | 3.5 | 4.5 | 32 |