韓国 | 2 – 3 | 日本 |
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クォン・チャンフン(前半20分) チン・ソンウ(後半2分) |
得点 | 浅野拓磨(後半22分) 矢島慎也(後半23分) 浅野拓磨(後半36分) |
警告 | 山中亮輔(前半23分) 岩波拓也(後半41分) |
試合について
この試合でもリードされてから日本がおいつく流れ。1点リードされ前半の折り返し後半になってから更に追加点で2-0。そこから日本が一気に3点とって逆転。チーム力の差が出たように思う。
韓国代表について
韓国の攻撃陣は中々の選手がそろっていて、特にドリブルから切れ込んでのシュートが印象的だった。前も書いたようにこの日本のオリンピック代表はSBが1vs1の縦への突破に強く、他の試合でほぼクロスを上げさせなかった。しかも中も高さに強いCBで単純な放り込みなら防げる。やや波があるといってもラインコントロールもよく裏は簡単に取れないのではないかと思われた。戻りも早くてカウンターにも穴が出来にくい。そういう意味では日本の守備は工夫されていた。
しかし、日本を分析したのか韓国代表は単純にサイドを縦に抜くとか放り込むとかではなく、サイドからドリブルで中に切れ込む動きと、サイドの裏に内側から走りこみショーとパスでPAまで切れ込む。これは「なるほど」と思った。日本のCBは高さある植田と岩波で、単純なハイボールならば相当硬い構成。しかし、足元で言えば必ずしも高さは生きない。ドリブルで抜いてきたり、低いボールでの折り返しが混ざれば強み以外で勝負されてしまう。またSBが硬くても、人数差を作ってからのパス交換でSBとの勝負を避けて内側に入ってくる。同じパターンからサイドではなくスピードにのった足元の上手さのあるドリブルでしかも中へも切れ込む2択に出来る。ドリブルを選べばSBではなくDMFと1vs1勝負にできて対応次第で確かに隙間があった。固くみえた日本の守備に広がっていた思わぬほど大きな隙間だったように思う。そういう意味では戦術的には韓国に軍配があがっていたのではないかと思った。
ただし、戦術云々の前に総合力として日本より劣った部分があったのではないかと思う。例えば後半失速したのは単純に韓国の守備が問題だったのではなく、前半に全力で行き過ぎていたからではないだろうか。点を取った後に試合を終わらせる調整ができていなかったチームの若さ。さらにハーフタイム後に加点してから、ゲームプランを失っていたように見える。個々の個人技やチーム戦術のレベルの高さに比べて、戦略的な試合配分やコンディション管理、選手交代や控え選手まで含めた総合力と言う意味では日本より劣っていたように見えた。大きな眼で見ると韓国は不運で負けたわけではなく、総合力の差から負けるべくして負けたように思う。
この大会を通じた日本代表の印象
前回書いたようにこの世代の日本のオリンピック代表の粘り強さや勝者のメンタリティ的なものがあると思う。また、それを後押しするサポートも充実している。選手のコンディション管理の徹底が感じられるし、ローテーデョンさせながら勝つ為の選手層の幅の広さ、またその手持ちのカードをローテーションさせながら生かす戦術、総合力の向上が見られる代表チームだと思う。
日本代表というのは選手の能力向上は著しいし注目されているが、それ以外のスタッフやサポート、コンディション管理などについてはほとんど関心が向けられていない。最近のザックジャパンでのコンディション管理の失態を見る限り、選手の管理に関してはレベルが向上する所かむしろ劣化していた。下手をしたら、ほとんどその辺についての認識自体がなく考慮されいないレベルにあるのではないかと思える部分が多々あった。だが、このオリンピック代表のチームは23人をフルに活用しローテーションされており、それによって戦術が崩れてしまうことなく一定のレベルを保てるように考慮されている。これは強豪国でよく見られる勝負強さに繋がっていると思う。ゲルマン魂なんて日本ではよく言うが、最後の精神力や根性の勝負に持ち込めるのは選手をサポートするチームの総合力、団結力があそこに現れているのだと前から勝手に思っている。選手をローテーションすればピーク値の強さは落ちるかもしれない。だが一瞬だけしか実現できない強さのピーク値で強さではなく、総合的に見て数試合続けた時の平均値が高くなければ勝率には繋がらない。出場機会が増え選手層も厚くなる。この日本のオリンピック代表チームもピーク値の強さに関しては、やや問題が残っているが、調子が悪くてもそこそこの結果が出せる安定性があると思う。
簡単な選手評
高さ以外に不安が残ったCB。総合的に見た場合、植田はもっと評価されるべきで長期的に期待ができそう。吉田のように無駄に怪我をさせたり権田のように潰してしまわないように日本サッカー協会のスタッフには注意をしてもらいたい。攻撃に関しては見るべきところがある岩波だが、この試合では不安要素があった。CBに関しては特に高さとかそういう問題ではなく、足元への折り返しとドリブルで切れ込まれた形で決定的なシーンが何度も作られていた。SBは相変わらず室屋が固くてあがるタイミングに隙がない個人的にはこの大会でもNo1のSBだったと思う。この試合、山中は守備で散々縦に抜かれ、レベルの高い相手には守備に相当に問題があったが、後半には素晴らしい攻撃参加で結果につなげた点は大きかった。勿論その分のリスクはあったが、負けていて攻撃をしなければいけない状況では間違いなく一つの武器だと思う。良い面と悪い面が両方とも出ていた。MFは安定した遠藤と見劣りした大島。大島は1失点目やオフサイドで取り消しになったゴールシーンでも大事な場所で絡んでおり正直この試合で最も守備の穴になっていたように思う。違いを作った川原。川原は前の試合で少し上手く行っていなかった点があったが、前回の出場時とは違い攻撃に違いを作った。矢島と中島は良い形でカウンターになれば、ボールが運べないと言う問題点がカウンターによって相当軽減されていたように思う。これは如何にカウンターの切れ味を上げるかで矢島や中島の良い面が引き出せるかが変わるといってもいいかも知れない。そのためには例によって相手の足が止まっている必要があるというのがやや課題。相手が疲労するまでは攻め切れなかった。現時点では実はスタミナ勝負の長友のようなサイド攻撃で、後半投入の浅野などとセットで機能している。相手が疲弊するまでまってカウンターという形で攻撃参加する浅野のスピードに対抗できるDFは世界にもそう多くはないのではないだろうか。
試合のハイライト動画
https://www.youtube.com/watch?v=8Uj4cmsourE