2010年に中村俊介がインタビューに答えて話している内容
「本田が何をするのか…。読めないというより、宙ぶらりんで、足元で受けるのが多い。周りが気を使わないと消えちゃうかな。トップ下の位置で横に動くだけで、裏に抜ける動きがない。カメルーンみたいに強い相手になったら、どうなるかな」
はっきりと“本田システム”に疑問を投げかけた。「今までは2トップが前で連動するから崩せていたけど、中でパスを回せなくて、外だけになるかもしれない。臨機応変に俺が中に入ったりしないといけないかな」と、攻撃に連動性を欠くことを心配していた。
「(昨年11月の)アウェーの南アフリカ戦だって、わざわざ(右から本田、岡崎慎司、大久保嘉人の)3トップにしたのにあまり機能しなかったでしょ? トップ下というか、FWって考えた方がいい。その方が周りも割り切ってプレーできる。ゲームをつくるとかはしない方がいい。ただ、(相手の)ボランチに対する守備はやらないと。シュートだけ打てばいいっていうのは違う」
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/gekisaka/article/558
今見るとなるほどと、ちょっと思う所がある。当時は本田が「足元で受ける」のが多いのに対して、逆に中村俊介が「足元で受けれない」ので後ろに戻すパターンが多く、バックパスが多いので批判されたりしていた。今思えば、日本代表がまだポゼッション志向ではないのに中村だけポゼッションサッカーのような事をしていた気がする。当時は思わなかったけど、丁度俊輔がスペインにいた時期だし、あのバックパスは今見るとポゼッションサッカー的なものになんらかしらの影響は受けていたんだろうなぁと。強豪と対戦する時はカウンターサッカーをするしかなかった当時の日本代表から見ると少し現実離れした目標のようではあったが、今その目線で見ると割と中村俊輔の本田の話も妙に現実感があるような気がして面白い。
「本田が何をするのか…。読めないというより、宙ぶらりんで、足元で受けるのが多い。周りが気を使わないと消えちゃう」
これは今のミランで本田を見ると結構当たってる気がする。代表と違ってミランでは本田をカバーしたり周りでオフザボールの動きがないので個人で突破しないとダメなのだが、そうなると不思議と本田が凡庸な選手のように見えてしまうのだ。
補足
注意書きしておかなければいけないのは、当時の中村俊輔の目標は兎も角、現実的にはまだ日本代表ではカウンターサッカーしか選択できない状況でもあった。つまり現実味がなかった。そして中村俊輔が思い描いていたカメルーン戦の想定もはずれた。実際のW杯では日本は本田を中心にしてカウンターサッカーで勝った。
今から思えば勝てた理由は日本代表には当時はまだ強豪を相手にした時にはカウンターサッカーという戦術しか共通理解がなかった事やカウンターサッカーなら出来たことがあると思う。現実的な戦術だったというべきだと思う。宙ぶらりんになる本田にも十分にサポートがついた。なぜなら個人で勝てないからパスワークやチームワークで勝つというのが当時の日本代表の考え方で十分にお互いに協力し合う条件が前提にあったからだと思う。さらに当時の本田はフィジカルがあり、まだこの時は走力も十分であったし、FWを含めた中でも最も決定力だけは合った本田を前において機能した。それは0トップという名だったが、実際は得点能力だけは優れていた本田を単にCFとして機能させたということだと思う。戦術的な問題ではなく決定力でCF本田にしていた形。結果的には1-0でカメルーンに勝った。だから、W杯の結果という意味においては中村の予想も本田の評価も外れている。
ただし当時の日本代表の人材や実行可能な戦術という現実的な側面をのぞけば、MF本田の能力に関しては割りと的確に見抜いていたのではないのかと。MFとしてはフィジカルと決定力の高さ以外の強みは当時も少なかったし、今はそこにフィジカルとスピードが弱みになってミランの試合をみるとある意味中村俊輔の評価も意味が分かるのだ。