W杯2018予選 オーストラリア vs 日本 1-1

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オーストラリア 1 – 1 日本
マイル ジェディナク 後半 得点 原口 元気 前半5分
ライアン マクゴーワン 前半40分
マッシモ ルオンゴ 前半47分
警告 槙野 智章 後半42分

採点

Pos No. 選手名 採点 寸評
GK 12 西川 周作 5.0 失点はPKのみだが、毎試合セットプレーでやられておりファールやセットプレーへの対策が必要だろう。
DF 6 森重 真人 5.0 フィジカルで押される中で競り合い流れの中では失点しなかった。
DF 20 槙野 智章 4.5 いいプレスや目立つプレーもあった代わりに、イージーなミスも目に付いた。
DF 21 酒井 高徳 5.0 右サイドがあまり機能していなかったが酒井が攻撃参加したタイミングでは一応崩すことが出来ていた。ただ、崩した後のクロス精度がほしかった。守備は致命的なミスは起きなかった。
DF 22 吉田 麻也 5.0 今回は攻撃参加はあまりなかったが、フィジカルで押される日本側の守備では重要な役割をはたした。
MF 4 本田 圭佑 6.0 ワントップでポストプレーでボールをつなぎ組み立てで何度もチャンスを作った。スピードのなさから相手が押し上げてきた時に裏を付くことは出来なかったが、得点シーンでは決定的なパスでアシストをした。
MF 10 香川 真司 5.5 得点シーンでは原口と連動してプレスしそこからカウンターが決まった。運動量が多くプレスでは中盤で非常に重要な役割を果たしたが、OMFとしては後ろに下がってプレーすることが多く攻撃参加が減ってしまった。
MF 16 山口 蛍 5.0 プレスは機能していたがDMFとしてはフィジカルで押された場面やハイボールの処理に課題は残った。
MF 17 長谷部 誠 5.5 安定した守備と左サイドで原口香川と連動し攻撃の組み立てを見せた。
FW 8 原口 元気 6.0 自らボールを奪ってから左サイドを突破し3試合連続の得点。守備でも献身的に動いたがPKにつながるファールをしてしまったのが唯一よくない点だった。
FW 14 小林 悠 4.0 後半に惜しいヘッドがあったものの攻撃ではほぼ消えていた。縦への突破はほぼ成功しておらずパスも精度を欠いた。右サイドは左サイドと違い酒井の上がりがあったにもかかわらず存在感を示すことが出来なかった点でベンチにいたのが好調の清武や浅野だと考えると采配に疑問。守備面では比較的動いたが、守備面でも控え選手に岡崎がいることを考えると運動量では物足りない。ベテラン枠でもあったことを考えるとチームに対しての影響力も弱すぎたように思う。
DF 2 丸山 祐市 出場時間が短く採点不可。何のためにハリルがDFをあの時間に交代をしたのかもよく分からなかった。いつもの東京ガスのスポンサー枠か何かだろうか。
MF 13 清武 弘嗣 5.5 前回続き好調を維持しており、短い時間ながら違いを見せた。
FW 18 浅野 拓磨 5.5 足の止まった時間に出場しチームの運動量を補った。攻撃のチャンスも作った。
監督 ハリル 4.0 同点に追いつかれてから日本の足が止まっているにもかかわらず交代枠を残したまま雨後かなったことで引き分けを決定付けた。スタメンの問題は賛否両論あるとしても、試合中の交代枠の運用には明らかに問題があった。

日本代表の印象

選手選考と配置

 前回の試合で本田のポストプレーが好調だったためか、この試合では本田のワントップで、本田の高さを生かす配置にになっており、実際に試合でも左サイドを原口がえぐり折り返しての形や、香川や長谷部の崩しから本田に当てる形などが見られ、左サイドを中心とした攻撃は機能していた。ただし、右サイドは裏に抜ける動き一辺倒でほとんど崩す形を作ることは出来ず、酒井が上がった時のみ機能する形になっていた。これはCF本田のポストプレーをする全体の形に対して、右サイドの小林が裏に抜けるのが得意な選手ということで全体の戦術と右サイドの戦術がちぐはぐだったと思う。選手の持ち味と配置という意味では、右サイドにもクロスが得意な清武や組み立てもできゴール前での得点力もある岡崎、縦に突破して折り返せる浅野などもいたが何故か小林だった。
 また裏抜けではなく本田を利用する形をチームとしては選んでいたが、オーストラリアはイラクなどと違いDFラインが高く後ろにスペースがあったことを考えると左サイド同様に、スピードで突破できる選手を配置したほうが相性的にはよかったのではないかと思う。

交代策

 1-1に追いつかれるまでは兎も角、追いつかれてからカードを切れなかったのはかなり問題だったと思う。追いつかなければいけない時間に明らかに日本側の足が止まっており、なぜ選手交代をしなかったのか。また、相手のラインが高かったことを考えれば、後半の早い段階でスピードで裏に抜けれる浅野や、足の止まった選手に変えて全体の運動量を増やしてボールを取るための岡崎や清武を投入するべきだったと思う。
 実際は明らかに時間がなくなった段階で交代選手を投入したが、投入したことにより流れ自体は日本に傾いたように思う。ただし得点をえるにはあまりに時間が短かった。

感想

 ちぐはぐなスタメンや遅すぎる交代と、全体を通して監督の采配が謎だったが、いくらなんでも最後の交代などは疑問が残りすぎるので、出場枠が決まっていて仕方がなく使ったとか何か理由があるのではないかという気がする。そもそも最近代表で見かけた、大島、小林、丸山、この辺は出すのがかわいそうな位な状況であり明らかに異質すぎた。大島はまだ若手枠という事で分かるが、小林や丸山は年齢を考えても29歳と27歳と、若手枠でもなく小林に至っては年齢的に次のW杯でも同じパフォーマンスが出来るかという時点でギリギリの選手。これだけ有力な若手が台頭する中どういう意図で選らんだのか理解に苦しむ。

試合の総評

 オーストラリアが近年の弱体化からやや持ち直しかけてはいたが、それでもまだプレーが雑でフィジカルに頼ったチームのままだったと思う。これなら以前のロングボール主体の放り込みで一発の方がおそらく日本とは相性がよかったとは思うが、この試合ではオーストラリアが中盤をつなげて来たためほとんどオーストラリア側から決定的な形になることはほとんどなかった。一番危険なシーンはセットプレーで、日本のファールから高さで放り込まれる所だった。オーストラリアのホームという事もあってか、審判がややオーストラリアに有利で危ない位置で何度も笛が吹かれた。ファールとならなくてもおかしくはないが吹かれてもおかしくないというシーンではほぼファール扱いだったので、審判の癖をみてPKも含めファールには注意すべきだったようには思う。まあ日本側の顔への蹴りや足首を手で掴み倒すプレーなどレッドでもいいラフプレーがイエローだった点という点からして審判が日本に不利な笛を吹くという意識は必要だったかもしれない。
 全体としては、オーストラリアはあまり強くなかったので勝って当たり前の相手ではあったと思う。PKに関しては原口の責任もあるが、前の選手に全員が釣られて後ろで一人フリーにしてしまった所に原口が戻って寄せた形なので、そもそもあそこで完全にフリーで受けていたことに問題があったように思う。そしてPKも入れられたことは仕方がないとしても、コースは緩く西川がける前からこけていたのは若干残念だった。総じて全体的に温い相手と厳しい審判で何故か負けるという最近よくある試合だったと思う。

スタッツ

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W杯予選 日本 VS イラク 2-1

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日本 2 – 1 イラク
原口 元気 前半25分
山口 蛍 後半 50分
得点 サード アブドゥルアミール 後半15分
酒井 宏樹 後半21分 警告 ワリード サリム 後半27分
モハメド ハミード 後半37分
アラー アブドゥルザフラ 後半49分

採点

Pos No. 選手名 採点 寸評
GK 12 西川 周作 5.0 この試合では前回と違い相手がシュートを何本も打ち込み失点の可能性もあったが流れの中での失点は抑えた。失点したセットプレーの場面は止めれた可能性があったように思う。
DF 6 森重 真人 5.0 流れの中からの失点は防いだが、セットプレーにCBの課題が残った。
DF 19 酒井 宏樹 4.5 簡単パスミスなどがあり、失点の原因となるファールもあった。一方でイラクの高さやフィジカルに対抗するためにSBというより高さ対策として効果があった。
DF 21 酒井 高徳 4.5 試合の流れの中では安定していたが、失点したセットプレーの場面での対応はもう少しがんばってほしかった。
DF 22 吉田 麻也 5.5 イラクと比べ高さに課題があった日本の守備の高さを埋めた。また終盤ロスタイムに攻撃参加しで追いつく流れを作った。
MF 4 本田 圭佑 5.5 サイドではほぼ突破できず上げるクロスも精度を欠いたが中央に入ってのヘッドやポストプレーが効いており、特に原口清武のクロスに対しては実質的にはCFのような価値があった。
MF 7 柏木 陽介 5.5 攻撃面では中盤の底からの組み立てで大事な役割を果たした。守備面でも以前よりよく戻っており、清武と柏木という組み合わせに感じた守備の不安を払拭した。点につながる攻撃や、守備で動いた時のスタミナやフィジカルの問題はこれからに期待。
MF 13 清武 弘嗣 6.5 前半にカウンターから走って1アシスト。組み立てではワンタッチのダイレクトプレーで違いをみせた。ワンタッチでボールを保持しないことで危険なカウンターを未然に防いだ。またセップレーでのキックの高い精度も武器となった。
MF 17 長谷部 誠 5.5 攻撃面は柏木より目立たなかったが、守備では危険な場面でいいプレーを見せた。特に終盤の厳しい時間での戦術的なファールや、吉田を前に出して守備に入った長谷部の戦術面での幅の広さが光った。
FW 8 原口 元気 7.0 いい守備で自らボールを奪い、その後カウンターから流れの中で得点。またドリブルで常に左サイドを突破しサイドでのプレーの質の高さを示した。また終盤まで積極的に走りスタミナも見せた。
FW 9 岡崎 慎司 5.0 裏へ抜け出すいいシーンはあったが得点にはつながらなかった。
MF 16 山口 蛍 6.5 交代出場でミドルでゴールを決めた。このゴールで勝利をもたらした。得意の守備でもボールを奪う能力を見せた。
FW 14 小林 悠 4.0 途中出場で時間がなかったとはいえ完全に消えていた。またゴールに関連しない場面でも、途中出場の利点であるスタミナの違いや運動量の違いを見せることが出来ず、結果的にボールはスタメンの選手が運んでおり戦術的にも問題があった。年齢を考えるとベテランであり、戦術的な判断にも疑問が残る。代表に残るには出来る限り速く結果が必要だろう。
FW 18 浅野 拓磨 5.5 少ない時間で吉田のポストプレーと連携した攻撃の流れをみせ、高さがない選手にもかかわらずクロスからの攻撃でも可能性を感じさせた。
監督 ハリルホジッチ 5.0 内容はかなり問題を含んでいたが、この試合に関しては予選落ちの可能性まで出てきていたので、まずはこの試合に勝った事に意味がある。

試合後のハリルホジッチ監督のコメント

 「ドラマティックな試合でしたけど、あきらめずに戦った選手を褒めたい。最後まで応援してくれたサポーター、国民に感謝したい」

http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=19422

 試合後に目を赤くしていたとか、コメントを見る限り、流石にギリギリの戦いになった点に対して何か感じることがあるんじゃないかと思った。今後の対応に期待。

 交代策に関しては、結果的に山口が得点した事を考えれば成功したといっていいと思う。ただし小林は完全に消えており、終盤にパワープレーで高さで攻めたことを考えれば本田を残した方がよかったのではないかと思った。

柏木+清武の守備の改善

 スタメンに関しては、柏木と清武というやや守備面に心配がある組み合わせではないかと思ったが、柏木の守備の意識が以前より明らかに高く、予想以上に機能していた。また清武に対するプレスが強かったが、ワンタッチでボールをさばくセンスと上手くファールを誘う事が出来ていた。その結果前にボールを出した時に取られるリスクを下げて長谷部、柏木とDFラインの連携で安定してボールがまわせるようになっていた。本田を主体としたトップ下の時にはトップ下でボールをキープしてからボールを出す形が多かった為、トップ下のプレスがきつい強豪相手には苦戦していたが今回の形はトップ下本田の代わりの戦術の一つとしての形にはなっていたように思う。ただチームとしてこの形で機能するにはもう少しプレーの質や連携がよくなる必要があるとは思った。

日本代表の印象

 試合を通しての戦術がザック時代の回して連携で崩したのとも、引いて守ってカウンターとも違った形になっていた。ボランチで回して清武に当てて連携で崩すパターンと、柏木やサイドの原口が突破してのクロスを多用していた。この攻撃方法の場合、CFを裏に抜けるタイプにするのかタワータイプにするのか考える余地があるように思う。後半に吉田を前に上げて放り込むだけで簡単に崩せた事からも、浅野や岡崎のようなスピードや裏抜けが得意な選手だけではなく高さで勝負できる選択肢がFWにないのは問題がある。現状のメンバーで考えるならCF本田にして岡崎を右にするか。吉田森重の誰かを前にあげて代わりのCBを入れるしかない。
 また、守備面では、この試合でも流れの中からの失点はしておらず、セットプレーで失点しており、守備は相変わらずセットプレー対策や高さ対策が課題の一つだったように思う。

試合の総評

 前半に日本が1点入れる事でリードしたが、一方的な展開ではなくイラクも十分チャンスがある均衡した試合となった。実力では全体に日本の方がややウワ待ったが決定的な差とは言いにくかった。シュート数は日本が12に対してイラクが8で、決定力と守備の差で日本が上回ったという試合だったと思う。

スタッツ

12 シュート 8
13 直接FK 14
2 間接FK 2
3 CK 7
0 PK 0
5 GK 9
2 オフサイド 2